トランプ大統領のロシア疑惑、“アメリカ版モリカケ問題” として野党・民主党が文句を付ける展開になる

 「トランプ大統領が選挙でロシアとの共謀を図っていた」との疑惑が持ち上がっていた件で、「共謀は認定されなかった」との捜査結果が明らかになったと NHK が報じています。

 疑惑を立証できなかったのですから、この件は終わりです。しかし、野党・民主党は「潔白は証明されていない」と文句を付けているのです。『アメリカ版モリカケ問題』の様相を呈していると言わざるを得ないでしょう。

 

 アメリカのいわゆる「ロシア疑惑」をめぐり、司法長官はトランプ陣営とロシアとの共謀は認定されなかったという捜査結果を明らかにし、トランプ大統領は「完全な潔白が証明された」と強調しました。一方、野党 民主党は「潔白は証明されていない」として、今後、議会を舞台に追及を強める構えです。

 アメリカの民主党が採っている姿勢は日本の民主党系議員が『森友・加計問題』で採っていた姿勢と同じです。

 何が問題かと言いますと、『悪魔の証明』を要求しているのです。「疑惑がある」と主張するなら、言った側が「疑惑の根拠」を示さなければなりません。

 ところが、民主党は自らの責務を果たしていないのですから、問題と言わざるを得ないでしょう。

 

「疑惑を持たれた方が潔白を証明しろ」と主張するアメリカの民主党

 アメリカの民主党も日本の民主党系議員と同様に「問題」と言わざるを得ないでしょう。なぜなら、『推定無罪』の原則を全否定するコメントを出しているからです。

画像:推定無罪を無視するナドラー下院議員

 「嫌疑を晴らすものではない」とナドラー司法委員長(民主党)はコメントしていますが、検察の仕事は「有罪の証拠を見つけること」です。

 「無罪の証拠を出す」のは検察の仕事でもなければ、疑惑を持たれた人物の役割でもないのです。「潔白を証明することができなければ有罪」というのは中世の “魔女狩り” と同じであり、現代で堂々と主張するには時代遅れと言わざるを得ないことなのです。

 

メディアと組んで『悪魔の証明』を求めることで他者を陥れることができた時代は終わった

 「疑惑がある」と主張する権利は誰にでもあります。しかし、疑惑の根拠も合わせて提示することができなければ、単なる “言いがかり” に過ぎません。

 根拠や証拠を提示しなくて良いなら、相手に『悪魔の証明』を要求していることと同じです。

 司法の場面で『悪魔の証明』を要求されるケースはほぼ皆無となりましたが、メディアによる “マスコミ裁判” では現在でも有効です。これはマスコミが「一方に肩入れすること」で、視聴者や読者に「疑惑の人物」との印象操作を行うことが可能だったからです。

 ただ、インターネットの一般化により、既存メディア以外にも情報伝達経路が確立されました。これにより、偏向しすぎた報道を行うメディアの信頼が低下し、気に入らない人物を社会的に葬り去って来たマスコミの力が低下する要因になったと言えるでしょう。

 

「根拠を示した批判」をしなければ、世間一般に支持が広がることは期待できない

 日本もアメリカも野党が「疑惑がある」と批判していますが、これでは不十分です。なぜなら、野党第一党が政権交代を実現させるためには「支持者以外からの支持を得る」必要があるからです。

 その際、言いがかりでは支持が伸び悩むことは目に見えています。中間層や対立する政党の支持者が「批判には根拠が伴っており、主張する内容は正しい」と判断しなければ意味がないのです。

 支持者向けのパフォーマンスは必要ですが、「支持者を増やす」という点においては “身内受け” を狙った言動や行動は慎まなければなりません。

 先鋭化するほど、支持者は減少してしまうのです。どの政権でも成果を出すことができていない政策を有しているのですから、「疑惑」で攻めるのではなく、「結果」を基に正攻法で批判を展開すべきでしょう。

 根拠すら示すことができない疑惑で倒閣運動を展開していることが限界を示していると言わざるを得ないのではないでしょうか。