「12歳の長女への性的暴行容疑で無罪」との判決に対し、一部の左派界隈から『判決理由』を無視した批判が起きる

 『人権』に重きを置くことが左派の特徴の1つですが、それを無視して “魔女狩り” を要求する言論を行っている人々もいます。

 静岡地裁で「12歳だった長女への性的暴行容疑」を問われた裁判への判決が下されたのですが、「犯罪行為を裏付ける的確な証拠がない」とした判決理由に対し、「有罪だ」と主張する左派がいるのです。

 もし、左派の希望どおりに「有罪」となれば、大きな問題と言わざるを得ないでしょう。なぜなら、証拠がないにも関わらず、被告に有罪判決を下すことは明らかな冤罪だからです。

 

 当時12歳だった長女に対し性的暴行をするなどしたとして、強姦(ごうかん)と児童買春・児童ポルノ禁止法違反の罪に問われた県中部の男に対し、静岡地裁は28日、強姦罪を無罪とした上で罰金10万円(求刑懲役7年)を言い渡した。

 伊東顕裁判長は判決理由で、強姦について「犯罪行為を裏付ける適確な証拠がない」と無罪判決の理由を説明した。児童相談所職員に長女が当初訴えた被害詳細と非公開で行った証人尋問の内容が変遷した点などから「児相の一時保護解除を控えた被害者が虚偽の被害を訴えた可能性がある」として証言の信用性を認めなかった。

 

共産党・池内さおり氏などが “魔女狩り判決” を要求している

 静岡地裁の判決に文句を言っている左派の1人が池内さおり氏(日本共産党・前衆院議員)です。

画像:池内さおり氏のツイート

 「心がつぶれそう」とツイートしていますが、犯罪行為を裏付ける証拠がない被告に有罪判決を下す方が大きな問題です。この前提を無視した主張は問題と言わざるを得ないでしょう。

 なぜなら、池内氏を始めとする “判決に文句を言っている一部の左派” は判決理由を読んでいない可能性が高いからです。

 

「性行為を裏付ける適格な証拠」がない以上、(強姦罪で)有罪判決を下すことは不可能

 この裁判で注目すべきは「被告は2件の罪に問われ、証拠があった案件では有罪判決が下されている」という点です。

  • 強姦罪
    → 犯罪行為を裏付ける適格な証拠がないため無罪
  • 児童買春・児童ポルノ禁止法
    → 画像などの証拠があるため有罪

 まず、後者では「画像が保存されていた」という “犯罪を裏付ける適格な証拠” が認定されたため、有罪となりました。この部分に対して文句を言う人はまずいないでしょう。

 問題となるのは『強姦罪』が問われた前者です。強姦罪は刑法177条で定義されており、静岡地裁は下図の判断を示したと考えられます。

画像:強姦罪に対する基本的なフローチャート

 被害者は当時12歳とのことですから、争点は「性行為があったかどうか」です。

 証拠となり得るのは「長女の証言だけ」という案件で、肝心の証言が「児相職員に当初訴えた被害詳細」と「非公開で行われた証人尋問」で変遷するという状況にあったのです。また、被告宅は7人暮らしで、家族の誰も被害者の声に気づいていないことは不自然と言わざるを得ないと判断されたのです。

 これは静岡地裁の判断は「妥当」と言えるものでしょう。この状況で有罪判決が下された方が明らかな冤罪となるからです。

 

「子供は嘘を付かない」との決め付けがあるから、『無垢な子供』がプロパガンダに利用される

 「『子供の証言』は無条件に信じるべき」との主張が堂々と行われているから、『無垢な子供』をプロパガンダに利用する “大人” が後を絶たないのでしょう。

 静岡地裁の判決が「間違っている」と考えるなら、その根拠を示す必要があります。「家族の誰も父親に不利な証言ができなかった」との自説を展開したところで、『犯罪行為を裏付ける適格な証拠』にはなり得ないのです。

 “個人の憶測” が裁判で有力な証拠として使われることの方が問題です。そのような『人治主義』を要求する左派界隈(の一部)に対しては批判の声をあげる必要があると言えるのではないでしょうか。