衆院・大阪12区の補選で野党共闘候補の宮本岳志氏が惨敗、注目点は「次回・第49回衆院選での宮本岳志氏の立場と肩書き」

 4月21日に衆議院・大阪12区の補欠選挙が行われ、維新の藤田文武氏(新人)が初当選を果たしました。

 大阪で与党の地位にあるのは『維新の会』ですから、順当な結果と言えるでしょう。気になるのは「野党共闘」を掲げて大阪12区の補選に出馬した宮本岳志氏(共産党)の今後の身の振り方です。

 次回の第49回衆議院議員選挙で「日本共産党の比例・近畿ブロック単独2位(小選挙区での立候補なし)」という “安定した立場” に戻るのかが注目点と言えるでしょう。

 

衆院・大阪12区補選の選挙結果

 前職の逝去によって行われた衆議院・大阪12区の補欠選挙の結果は以下のとおりです。

  1. 藤田文武(維新・新):6万0341票 当選
  2. 北川晋平(自民・新):4万7025票
  3. 樽床伸二(無・前):3万5358票
  4. 宮本岳志(無・前):1万4027票

 大阪で与党の地位にある維新が順当に制しました。その一方で、実質的な “野党共闘候補” である宮本岳志氏の得票率が 8.9% に留まっています

 得票率が 10% に満たない候補者は供託金が没収されます。2017年に行われた前回(= 第48回)の衆院選では共産党公認の松尾正利氏が2万2858票を獲得し、得票率は 14.4% でした。その時よりも1万票弱も減らしており、この点は重く受け止める必要があるでしょう。

 

「共産党の比例近畿・単独2位」の立場にあった宮本岳志氏が大阪12区で再び戦う気骨を持った政治家なのかが注目点

 今後の注目点は「宮本岳志氏が次の衆院選にどのような立場・肩書きで出馬するか」でしょう。なぜなら、2017年に行われた第48回衆院選で宮本氏は安定した立場を手にしていたからです。

画像:第48回衆院選での日本共産党による近畿比例代表の名簿

 宮本岳志氏は「共産党の比例近畿・単独2位」で出馬。小選挙区で立候補しない比例単独候補でした。

 『希望の党』でさえ、比例近畿で3議席を獲得しました。そのため、単独2位に記載されていた宮本岳志氏の衆議院議員としての地位は保証されていた状態と言えるでしょう。

 したがって、次回の第49回衆議院議員選挙で宮本岳志氏がどの選挙区からどのような立場で出馬するのかが注目点になります。「共産党の比例近畿・単独2位」の座で再びあぐらをかくのか、それとも大阪12区から出馬するのかで “本気度” が示されることになるからです。

 

自身が居住する大阪18区(= 岸和田市)で出馬していないことは疑問点と言わざるを得ない

 なぜ、上述のような否定的な見解を宮本岳志氏に向けるのかと言いますと、他の共産党に所属する衆院選・比例選挙区の候補者は「小選挙区との重複立候補」をしているからです。

 宮本岳志氏は「岸和田市に住んでいる」と公言しているのですから、岸和田市が含まれる大阪18区から出馬していない方が不思議なのです。宮本氏だけが “比例単独候補” であり、奇特と言えるでしょう。

 もちろん、「特定の小選挙区を持っていない衆院議員」という立場でしたので、宮本氏は大阪12区の補選には出馬しやすい状況でした。ただ、小選挙区で出馬した以上、今後は「寝屋川など大阪12区のために働くのか」それとも「岸和田など大阪18区のために働くのか」を選択しなければなりません。

 補選のためだけに大阪12区から出馬し、次回の衆院議員選挙では「共産党から比例近畿・単独2位」に戻るようでは休暇と同じです。

 宮本岳志氏が “気骨ある政治家” であるかは次の衆院選に立候補した際の内容で明らかになると言えるのではないでしょうか。