日本語能力が不足している外国籍生徒に対して国や公立校が特別対応を施す必要はない、「学力」に基づき他の生徒と公平に扱うべきだ

 「日本語教育が必要」と判断されたものの、その指導を受けられていない日本の公立学校に通学する外国籍の生徒が全国に1万人超もいるため、国レベルでの対応が急務だと毎日新聞が主張しています。

 この問題が国が予算立てて対策を講じるものではありません。なぜなら、外国籍という理由で一部の生徒が便宜を図られることになるため、公平性が損なわれるからです。

 配慮をするなら、小学校に通う外国籍の生徒まででしょう。中学生以上で公立校に通う学生については「日本人と同等の日本語能力」を要求し、達していないなら「落第」という形で公平性を保つ必要があります。

 

 日本の公立学校(小中高と特別支援学校)に通い、学校から「日本語教育が必要」と判断されたにもかかわらず、指導を受けられていない外国籍児らが全国で1万400人に上っている。毎日新聞が文部科学省に情報公開請求したところ、こうした児童生徒が全都道府県にいることが判明した。日本語が分からず授業が理解できない「無支援状態」の児童生徒が、外国人集住地域だけでなく全国に広がっていると言え、国レベルの対策が急務になっている。

 

「一定の年齢に達すれば誰でも入学できる」という制度の弊害

 この問題は「一定の年齢に達すれば、誰でも公立校への入学資格を得られる」という制度による弊害が根幹にあります。

 “能力に応じて等しく教育を受ける権利” が憲法第26条で保証され、保護者には “教育を受けさせる義務” が存在します。そのため、一定の年齢に達すれば、誰でも公立校に入学できる「義務教育」という制度が運用されているのです。

 ところが、「誰でも入学できる」という運用が続いたことによる問題が表面化しました。毎日新聞が「無支援状態」と批判する “日本語能力に問題のある外国籍生徒” の問題もこれが原因でしょう。

 小中高の公立校で「日本語能力」が問題になっているなら、日本語で行われているはずの入学選抜試験を突破している可能性はゼロに等しいでしょう。つまり、入学申請だけで “日本語能力に問題のある外国籍生徒” が学生の資格を得ていることが問題の根本なのです。

 対策を講じるにしても、小中高すべてで同等の対策を講じることは論外と言わざるを得ないでしょう。

 

公立校で “外国人生徒のための専任教員” を配備することは本末転倒

 公立校で一部の生徒だけが優先的な対応が得られることは問題です。なぜなら、公立校には公平・中立が要求されるからです。

 日本人が海外に行った場合は「現地の日本人学校」か「現地の学校」のどちらかを選択するでしょう。現地の公立校や私立校に通う場合は「現地語ができること」が大前提となるはずです。

 ところが、日本では「日本語のできない外国人生徒のために専任の教員を国が用意しろ」と主張する新聞社が存在しているのです。これほど無責任な要求はありません。なぜなら、外国籍生徒の母国語は両手で済む程度ではないからです。

 国連の公用語でさえ、英語・フランス語・ロシア語・中国語・スペイン語・アラビア語の6つ存在します。すべての外国籍生徒を平等にフォローすることは困難であることは明らかと言えるでしょう。

 また、そのためには多額の予算が必要となるのです。教育予算が外国籍の生徒のために費やされることの是非についても議論の必要があるはずです。

 

外国籍生徒のための専任教員は公立小学校だけに留め、中学・高校は学力によってシビアに判断すべき

 専任教員を配置するなら、公立の小学校に集中させるべきです。低学年を中心に配備し、語彙力を増やす段階で日本語教育を行うことで基礎学力を身につけるということに注力すべきでしょう。

 中学・高校の場合は「学力」でシビアに判断する必要があります。なぜなら、勉強に付いていけない生徒は「授業の妨害」に走りがちであり、それによって周囲の生徒たちが学習機会を奪われることになるからです。

 したがって、学力テストが進級を厳格に判断することが重要です。「16歳で中学2年生」という形になろうが、「本人が進級できるだけの学力を有していないから」と線引きできるかがポイントになります。

 中学・高校で加配教員を付ける価値があるのは「進学校に相当する学校の生徒と遜色ない学力を有しているケース」に限定されるはずです。数学などの理系科目と英語の点数が十分に有しているなら、加配教員のいる学校を推薦するなど工夫する術もあると言えるでしょう。

 

 リベラル派の要求ですから、大学無償化の時と同じで「教育予算を惜しみなく費やせ」というものです。「学力」による効率的・効果的な予算配分を無視しており、論外と言わざるを得ません。

 毎日新聞は全国紙である上、“日本語能力” で高給を得ている稀有な大企業です。社会奉仕活動の一環として、毎日新聞の記者が日本語能力不足で満足な指導を受けることができていない外国籍生徒に支援の手を差し伸べるべきと言えるのではないでしょうか。