自民党の『失言防止マニュアル』をメディア等が嘲笑するも、朝日新聞が菅長官の会見を切り取って「衆参同時選」を煽ったことで有効性を示す

 夏の参院選が近づく中、自民党が失言を防ぐためのマニュアルを作成して所属議員に配布したと NHK が報じています。

 このニュースを知ったマスコミや野党が自民党の対応を一斉に見下した論説を下していますが、これは逆効果と言えるでしょう。なぜなら、自民党の対応は「至極まっとうな内容」であることに加え、朝日新聞が『失言防止マニュアル』の有効性を実証する記事を書いているからです。

 失言しても問題にされないマスコミ関係者や野党が批判をしたところで意味はありません。むしろ、自陣営の問題点を積極的に是正しようとする与党の姿勢を野党やマスコミは見習うべきだと言えるでしょう。

 

 夏に参議院選挙が控える中、自民党は失言を防ぐため、具体的な注意事項をまとめたマニュアルを所属議員らに配布し、党内の引き締めを図っています。

 (中略)

 マニュアルでは、報道では発言の一部が「切り取られる」ことを意識するほか、記事のタイトルに使われやすい「強めのワード」に注意するよう求めています。

 さらに、歴史認識や政治信条に関する個人的な見解や事故や災害に関する配慮に欠ける発言、それに、分かりやすくウケも狙える雑談口調の表現など5つのパターンを例示して、発言をコントロールすべきだとしています。

 

自民党が内部向けに配布した『失言防止マニュアル』は情報発信者が認識しておく価値のあるもの

 マスコミや野党は嘲笑していますが、自民党が参院選を念頭において配布した『失言防止マニュアル』は参考にする価値のあるものです。

  1. 発言は「切り取られる」ことを意識する
  2. 報道内容を決めるのは目の前の記者ではない
  3. タイトルに使われやすい「強めのワード」に注意
    • 歴史認識や政治信条に対する個人的見解
    • 性や LBGT に対する個人的見解
    • 事故・災害、病気・老いに関する発言

 上述の内容がマニュアルに記載されていると言われていますが、情報を発信する側の立場として認識しておく必要のある内容と言えるでしょう。

 しかし、その一方でマスコミにとっては迷惑極まりないものです。なぜなら、マスコミは「切り取り報道による政権批判」という得意の攻撃が難しくなるからです。

 発言を悪用する報道の手口が「マニュアル」という形で自民党の内部に周知されてしまったのですから、“報道のネタ” が少なくなることは目に見えています。メディアの信用がさらに低下する原因になる得るため、マスコミが総出で批判していると言えるでしょう。

 

『失言防止マニュアル』の有効性を即座に示した朝日新聞

 マニュアルは周知するだけでは意味がありません。配布された側にいる人間がマニュアルの内容を徹底して、初めて効果が現れるからです。

 自民党の『失言防止マニュアル』が報じられたのは16日ですが、翌17日に朝日新聞が “菅氏が強めた「解散風」” とのタイトルで記者会見の内容を切り取り、衆参同時選を煽っています。これほど、マニュアルの有効性を示した記事はないと言えるでしょう。

 夏の参院選に合わせた衆院解散による衆参同日選論が永田町にくすぶる中、官房長官の発言で「解散風」が強まりそうだ。同日選を行う場合、6月30日~8月25日の選択肢がある。

 会見で菅氏は、不信任決議案が解散の大義になるかを問われ「当然なる」と明言した。解散に絡む質問には「首相の専権事項」でかわすことが多いが、踏み込んだ印象だ。

 朝日新聞は「菅官房長官が解散風を強めた」と主張していますが、官房長官は記者から「不信任決議案は解散の大義になるか」と問われた際に「当然なる」と答えたに過ぎません。

 「解散するかしないか」は『総理の専権事項』です。不信任決議案は「解散の大義・理由になる」のですから、官房長官の発言は当然の内容です。解散風を強めたのは記者会見の内容を切り取った朝日新聞であることは明白です。

 発言内容を比較的確認しやすい「官房長官による記者会見」という場でさえ、マスコミは平然と発言を切り取った報道をするのです。自民党所属議員は『マニュアル』の内容を肝に銘じる形になったと言えるでしょう。

 

判断力を習得するためにも『基準になるマニュアル』は有効であり、放言が容認されままの野党との差は広がる一方である

 「マニュアルよりも政治家としての判断力が必要」と自民党を批判するマスコミ関係者もいるでしょう。この批判は的を得ているようで効果はありません。なぜなら、判断の基準が存在しないため、対策として機能しないからです。

 政治家が「正しい」と判断して発言しても、マスコミが切り取れば『問題発言』は簡単に作り出されてしまいます。

 そのため、個々の政治家がどれだけ判断力があっても、マスコミ基準で『問題発言』と決め付けられることへの有効な対策にはなり得ないのです。しかし、政党が独自に設けた『基準となるマニュアル』が機能していると、マスコミによる切り取り攻撃の威力が削がれることになります。

 なぜなら、従来基準の失言が減少することになるからです。また、「広義の失言」として批判の対象を広げると、言いがかりを付ける “マスゴミ” として信用の低下に拍車をかけることにもなってしまうでしょう。

 自分たちへの批判に対して聞く耳を持たない野党やマスコミに『自民党の失言防止マニュアル』を批判する資格はありません。むしろ、野党やマスコミこそ、自民党の姿勢を参考にして放言を続ける関係者に対して厳しい姿勢を採る必要があると言えるのではないでしょうか。