「ビッグマンによるポストアップ」が効果的なリーグだから、Bリーグの得点ランク上位を外国籍および帰化選手が独占する

 雑誌『Number』に「外国籍と帰化選手が得点ランク上位を独占するBリーグは特異」との記事が掲載されています。

 Bリーグで得点ランク上位に付ける外国籍選手や帰化選手は “ビッグマン” と呼ばれるポジションの選手であり、バスケットボール強豪国のリーグではビッグマンが得点源になっていることは稀です。これは日本独自の事情があるため、止むを得ないと言えるでしょう。

 

 2016年にBリーグが創設されて以降、この3シーズンでゲームの質は明らかにレベルアップしてきた。しかし、サイズのある外国籍選手と帰化選手による得点が、チームの命運を左右する状況に大きな変化はない。

 2018-19シーズンのB1を振り返ってみると、得点ランキングのトップ10はいずれも外国籍か帰化選手だった。

 (中略)

 NBAを筆頭とする多くのリーグと違い、日本はBリーグになってもセンターやパワーフォワード、いわゆるビッグマンと呼ばれる選手の得点が多いという事実だ。

 現代のバスケットボールはスクリーンを使いながら、ボールと選手を動かして得点を奪いに行くスタイルが主流となっている。しかし、Bリーグを見ていると、インサイドアウトが今も重視されているという印象を否定できない。

 

バスケットボールは「体格差が非常に大きく影響するスポーツ」

 まず、バスケットボールは体格差(= サイズの大きさやフィジカルの強さ)が大きく影響するスポーツです。

 これはゴールが地上から約3メートルの高さに設置されていることに加え、ボールを手で扱える競技であることが大きく影響しています。バスケットボールの根幹であるこれらの要素がある限り、体格差の問題は常に付きまとうと言えるでしょう。

 バスケは「プレーを楽しむスポーツ」として人気はありますが、「ファンが応援するスポーツ」として日本で定着するかは不透明です。代表チームが体格差の不利を跳ね返して安定した強さを発揮できなければ、厳しいと考えられます。

 

ビッグマンによるポストアップが機能するなら、ビッグマンにボールを預けることは合理的

 Bリーグが他のバスケットボール・リーグと得点源が異なっているのは「ビッグマンによるポストアップ」が効果を発揮するリーグだからでしょう。

 ポストアップとは「攻撃側の選手が守備側の選手を背負った状態でポストエリア(≒ ゴール周辺)にポジショニングをするプレー」です。

 ゴール近くで大柄なオフェンスの選手がボールを持てば、かなりの確率で得点が期待できるでしょう。マッチアップの相手が体格差で劣る日本人選手であれば、その確率はさらに上昇するはずです。

 だから、Bリーグに所属するチームは得点のために体格差で優れた外国籍選手や帰化選手を “ビッグマン” として起用しているのです。チームとして合理的な判断をしていると言えるでしょう。

 

Bリーグの上位勢や海外リーグでポストアップが少ない理由

 バスケットボールの潮流として「得点源がビッグマンからガードかスモールフォワードに移行」しています。その原因はポストアップが使われる頻度が減少しているからです。

 自チームのビッグマンがポストアップを制すれば良いのですが、相手に競り負ける可能性があります。それなら、「ビッグマンによるポストアップ」を “囮” に使い、ボールと選手(= G か SF)を動かした方が効率的に得点できると考えることがトレンドになっているからでしょう。

 これはBリーグにも言えることです。チャンピオンシップに進出するチームは選手のレベルも「リーグ平均を上回る」と考えることが自然です。

 代表チームに選出される選手はリーグ上位のチームに集中していますし、相手のビッグマンを抑えられる選手もいるでしょう。この状況でも勝つためには「ビッグマン以外の得点源」を用意しておくことが重要になります。

 

 要するに、ビッグマン一辺倒だった得点源が多様化したのです。ビッグマンによる得点の割合は下がりましたが、ポストアップへの対応に弱みを抱える相手に使うことを回避する意味はありません。

 Bリーグで外国籍や帰化選手による得点が多い理由はビッグマンとしてプレーする彼らを止める守備がリーグ全体でできていないからでしょう。この前提部分が大きく変化しない限り、現状は維持されると言えるのではないでしょうか。