報ステ、「予算審議」の役割を無視して「野党が政権追及のための予算委員会を開催せよ」との論調を展開する

 テレビ朝日の報道ステーションが「予算委員会が3ヶ月以上も開かれていない」との論調を番組で展開しています。

 “予算が成立していない状況” で予算委員会が3ヶ月以上も開かれてないのなら、大きな問題です。しかし、今年度の予算は「成立済み」ですし、予算委員会を開き続ける意味はありません

 これは単に「野党側が “一方的に” 政権を追及する場」として、予算委員会の開催を要求しているに過ぎないと言えるでしょう。

 

■ 報道ステーションが報じた内容

 テレビ朝日の『報道ステーション』が6月6日に報じた内容は以下のものです。

画像:報道ステーションが報じた内容

 今国会では、総理が出席して行われる予算委員会が、衆議院では3カ月以上、参議院では2カ月以上も開かれていない。この間、日米首脳会談が開かれたり、景気動向指数の基調判断が引き下げられるなどした。野党側は予算委員会の開催を求め続けていて、これらを安倍総理に直接、ただしたい構えだ。

 この主張は予算委員会を「政権を追及する場」と考えていることが理由と言えるでしょう。予算委員会は「予算編成を審議する場」であり、「総理の考えを質す場」という役割はあくまでも副次的です。

 現状では予算委員会を開く必要性がない訳ですから、「野党側の主張は論外である」と “真っ当なマスコミ” は批判する必要があるのです。

 

■ 事実

1:平成31年度の予算は3月27日に成立済み

 まず、予算委員会が開催されない理由は「予算が成立済み」だからです。3月27日付の日経新聞では次のように報じています。

 一般会計総額が過去最大の101兆4571億円となる2019年度予算は27日午後の参院本会議で、自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立した。

 (中略)

 19年度予算は2日に衆院を通過。憲法の衆院優越規定により、参院が議決しなくても31日に自然成立することが決まっていた。

 議案が本会議に送られた時点で、委員会が開かれなくなるのは当たり前です。平成31年度の予算案は衆院で3月2日に採決が行われ、参院では3月27日に採決が行われていたのです。

 3ヶ月も経過しない内に「新たな予算審議が必要」と主張するなら、「どういった予算を計上する考えなのか」を提示することが不可欠です。野党は「自分たちだけが一方的に追及できる場」として「予算委員会の開催」を要求しているだけと言わざるを得ないでしょう。

 

2:予算委員会では「誰にでも何でも質問可能」な上、「質問の内容は追及されない」という環境

 野党が「予算委員会の開催」を要求している理由は「都合の良い理由が存在するから」です。その理由は以下のものです。

  • 質問対象者を自由に選べる上、質問内容に対する制約も存在しない
  • 質問者の主張内容を追及されることはない

 要するに、安倍首相に対して野党側が一方的に質問・追及することができる上、質問を行った野党議員が安倍首相からの反論や追及を受ける可能性がゼロであるのが予算委員会なのです。

 もし、予算委員会を開くのであれば、「日米首脳会談や景気動向指数を踏まえ、これだけの補正予算が必要」との論点での審議が必須です。

 しかし、野党側は「政権の考えを問い質すため」と宣言しており、予算編成に興味がないことは明らかです。『党首討論』でも野党の目的は達成できるのですが、『党首討論』だと安倍首相も反論・追及が可能であり、野党側が墓穴を掘るリスクがあります。

 ですから、野党側が失点するリスクがない予算委員会で一方的な政権追及を行いたいだけと言えるでしょう。

 

 「批判を受けない立ち位置から相手を一方的に追及する」という行為はマスコミに通じるものがあります。こうした点が野党に親近感を抱く理由となり、忖度をする報道になっているのでしょう。

 本来の目的を見失った野党の姿勢を問題視できないマスコミに報道を期待するのは難しいと言わざるを得ないのではないでしょうか。