メキシコ、「アメリカを目指す違法キャラバン隊に人身売買の疑いあり」との理由で対象者の口座凍結に踏み切る

 メキシコ財務公債省は「人身売買に関与した容疑」でアメリカを目指すキャラバン隊への援助などを行っていた人物の銀行口座を凍結したとロイター通信が報じています。

 キャラバン隊には「メキシコを通過したいだけ」との理由があったため、メキシコ政府は黙認していたのでしょう。

 しかし、トランプ政権が国境管理を厳しくしたことでメキシコ国内に不法入国者が溢れ出したことで社会問題として対処せざるを得なくなったことが理由と考えられます。

 

 メキシコ財務公債省は6日、人身売買に関与した疑いのある26人の銀行口座を凍結した。トランプ米大統領から強い圧力を受ける中、移民規制を強化している。

 同省の金融情報機は、声明で「人身売買とキャラバン(移民集団)の違法な援助への関連が疑われる」口座を凍結したとしている。

 (中略)

 同省は、2018年10月以降「キャラバン」の移動ルートに沿って人々の金融取引を調査してきたとし、「キャラバンの移動中に、チアパスとケレタロからさまざまな国に不審な取引を行った集団が特定された」と説明した。

 

“通り抜けるだけの不法入国者” を当局が積極的に取り締まる動機はない

 アメリカを目指すキャラバン隊が存続できた理由は「(途中経路である)メキシコ当局が不法入国者の取り締まりに消極的だったから」です。

 グアテマラなどメキシコよりも南に位置する国々から北上する “キャラバン隊” の目的地は「アメリカ」です。つまり、メキシコは経由地です。

 不法入国者は入国が発覚した時点で強制送還とすべきですが、数が莫大になると行政の対応が間に合わなくなります。

 不法入国者によって治安が悪化すれば、取り締まりの強化を求める声が大きくなるでしょう。しかし、不法入国者が「国内を通過するだけ」で「治安情勢に変化がない」なら、当局は見て見ぬ振りをするでしょう。

 なぜなら、重要度が低いからです。また、人々が国内を移動することは経済活動に該当する訳ですから、積極的な取り締まりに乗り出す理由が少ない状況にあったのです。

 

アメリカが国境管理を厳しくすると、不法入国者がメキシコ国内に溢れることになる

 ところが、メキシコの計算が狂う事態が発生しました。アメリカ・トランプ政権が国境の管理を厳格にし、不法入国者の流入を抑止することに本腰を入れたのです。

 これによりメキシコ国内の不法滞在者数が増加することになりました。南からの不法入国者数に変化がなく、北隣するアメリカへの不法出国者数が減少すれば、国内の不法滞在者が増えるのは当然です。

 現状ではアメリカ側が不法入国希望者のために国境管理を甘くする可能性はゼロです。関税などを使う形でトランプ政権がメキシコに対する圧力を強めているのですから、対処に乗り出さざるを得ない状況にあると言えるでしょう。

 

「不法入国者や不法滞在者に甘い顔をすること」が問題の発端

 この問題の発端は「不法入国者が黙認されていること」でしょう。法律が無実化していれば、不法入国・滞在者は増加の一途を辿るばかりだからです。

 リベラル派は「移民に配慮すべき」と主張していますが、責任を取る必要の立場であり、何でも言えます。

 治安維持や社会保障など現実に責任を負っているのは政権や与党です。不法移民が引き起こす問題の “しわ寄せ” は庶民にも行くため、受け入れ要求を出したリベラル派が重点的に引き受ける訳でもありません。

 社会制度に不法入国した外国人がタダ乗りできることは問題視しなければなりませんし、それを人道支援の名目で容認される方がおかしいと言わざるを得ないでしょう。

 正直者がバカを見るような制度の導入を要求する個人・団体に対して厳しい批判をし続ける必要があると言えるのではないでしょうか。