レアル・マドリードに加入した久保建英の目標は「ブラヒム・ディアスからポジションを奪うこと」

 「久保建英がカスティージャの選手になる」とスペインの強豪レアル・マドリードが公式サイト上で発表いたしました。

 バルセロナで育った選手がライバルチームに移籍した形になるのですから、「禁断の移籍」と言えなくもないでしょう。ただ、選手の登録先はトップチームではなく、育成部門の中での最年長チームである「カスティージャ」と発表されています。

 まずは久保選手がレアル・マドリード内での “生存競争” で生き残ることができるのかが注目点です。

 

 久保建英(2001年6月4日、神奈川、日本)が来季カスティージャの選手になる。マドリード下部組織の最年長チームが世界のサッカー界で最も活躍が期待される若手選手の一人を戦力にする。並外れた技術があり非常に起用で試合を読む力と高いドリブル能力、得点力を備える攻撃的ミッドフィールダー。

 「最も活躍が期待される若手選手の1人」という久保選手への評は適切なものでしょう。

 ただ、活躍が期待されているのは久保選手だけではありません。加入が決定したレアル・マドリードには久保選手と同様に「最も活躍が期待される若手選手」は他にもいます。その中で違いを示し、差別化ができるかがポイントになるでしょう。

 

レアル・マドリードに所属する FW は人員過剰気味

 久保選手が加入したレアル・マドリードに所属する FW は人員過剰となっています。そのため、夏の移籍市場で選手の放出が行われることになるでしょう。

表:レアル・マドリードに所属する FW の選手
選手名
左WG アザール、ビニシウス・ジュニオール *、マリアーノ・ディアス、ロドリゴ *
CF ベンゼマ、ヨビッチ、クリスト・ゴンサレス *
右WG ベイル、ルーカス・バスケス、アセンシオ、ブラヒム・ディアス、久保 *

 ジダン監督が 4-3-3 を採用したとしても、現状の FW 陣は多いと言わざるを得ません。久保選手は右サイドで攻撃を担当するウィンガーを最も得意としていますが、そのポジションを本職とするトップチーム登録の FW が複数います。

 最終的には「トップチームの選手層に割って入ること」が期待されるため、1年目からクラブ首脳陣に良い印象を残せるかが鍵になるはずです。

 ブラヒム・ディアス選手が「年齢・利き足・ポジション」で久保選手と重複する選手ですから、内容で上回ることが具体的な目標だと言えるでしょう。

 

「カスティージャ1年目から主力となり、国王杯でトップチームのメンバー入りをすること」が目標

 久保選手の目標は「カスティージャ1年目から主力になる」ということです。それによって、2年目以降にさらなる飛躍の舞台を手にすることへの道が開けるからです。

 コパ・アメリカで日本と対戦するウルグアイ代表のフェデリコ・バルベルデ選手も1年目はカスティージャ。2年目はデポルティーボに期限付き移籍。3年目の今季はレアル・マドリードのトップチームというステップを踏みました。

 そのため、バルベルデ選手と同じく18歳の誕生日を迎えてからレアルに移籍した久保選手も「1年目の内容」が重要と言えるでしょう。

 レアルのカスティージャで主力となれば、レアル以外のトップチームで主力として君臨する可能性も開けます。これはレアル・マドリードがバルセロナのような “極端な癖” を持ったチームではないため、選手としての能力が純粋に評価されやすいことが理由です。

 逆に、カスティージャでのポジション争いに苦しむようだと他の若手有望株選手にチャンスを掴まれることになるため、苦しい立場に追い込まれてしまうと予想されます。

 

 個人的にはアヤックスのような「若手にチャンスを与えるクラブ」で「トップレベルの大会に参加すること」が理想と思いますが、「レアル・マドリードのBチームに移籍した方が選手として成長できる」との判断が働いたのでしょう。

 ターンオーバーを積極的に使用するジダン監督の下でトップチームに招集されるパフォーマンスを久保選手がカスティージャで見せることができるのかに注目です。