中島翔哉の半年でのポルトガル復帰はクラブ経営的に難しいのでは?

 「サッカー日本代表の中島翔哉選手が2019年夏の移籍市場でポルトガルのポルトに移籍する」とのニュースが流れています。

 ただ、これが現実になる可能性は低いと言えるでしょう。なぜなら、現所属先のアル・ドゥハイル(カタール)は中島選手の獲得に費やした移籍金を回収する必要がありますし、その額が大きいからです。

 

 中島の欧州再挑戦が秒読み段階に入った。関係者によると、日本の南米選手権1次リーグ敗退から一夜明けた26日に交渉が行われ、個人合意。ポルトとアルドハイルのクラブ間で買い取りオプション、共同保有などの条件面がまとまれば、1年間の期限付き移籍が決定する。

 

中島のレンタル料はクラブ経営の視点から算出すると800万ユーロ弱

 カタールのアル・ドゥハイルは今年1月に「移籍金3500万ユーロの4年半契約」で中島翔哉選手を獲得しています。

 サッカー選手は「資産」とクラブ経営的に見なされているため、アル・ドゥハイルは4年半で3500万ユーロを減価償却する必要があります。これを怠るとクラブ経営に赤字が発生しますので、年778万ユーロずつ償却していることでしょう。

 もし、ポルトからの獲得オファーがあった場合、アル・ドゥハイルは「レンタル料として800万ユーロ弱」を条件にしているはずです。

 その額を下回るほどアル・ドゥハイルの損失が大きくなるのですから、“クラブ経営” という観点から簡単に譲歩することはないと考えられます。ポルトは「選手の獲得に多額の移籍金を費やすチームではない」ため、期限付き移籍で中島選手を獲得する可能性は低いと思われます。

 

「高額な移籍金で獲得した選手をわずか半年で手放すのか」という疑問点も

 ポルトは左サイドで攻撃を担当していたブラヒミ選手(アルジェリア代表)が契約満了で退団すると見られており、後任選手を用意する必要があります。

 中島選手も左サイドを本職としているため、白羽の矢が立ったとしても不思議ではありません。ただ、ブラヒミ選手がフリーで退団するポルトは中島選手を獲得するための “原資” が不足している状況です。

 その上、中島選手の獲得に多額の移籍金を費やしたアル・ドゥハイルとの獲得交渉をしなければならない状況にあるため、交渉がスムーズに進む可能性は低いと言えるでしょう。

 

 選手としての市場価値を高めるなら、チャンピオンズリーグに出場する常連チームであるポルトに移籍する方が近道です。しかし、それが絶対的で唯一の指標ではありません。

 何に重点を置くのかは個々の選手の自由ですし、「最も高額な年俸を提示するチームでプレーする」という選択をする選手がいてもおかしくないのです。

 中島選手がポルト移籍を熱望していたとしても、保有権を持つアル・ドゥハイルは安売りをしなければならない経営状況ではないと考えられます。中島選手の欧州復帰はかなりハードルが高いと言えるのではないでしょうか。