陸上のサニブラウン選手に難癖を付けたデイリー新潮、今度は「上田綺世をコパ敗退の戦犯として批判せよ」とメディアを焚きつける

 デイリー新潮が「コパ・アメリカ敗退の戦犯である上田綺世を厳しく批判してこそ、サッカージャーナリズムが始まる」と主張しています。

画像:デイリー新潮の記事

 批判をしたいなら、事実に基づき自ら批判すべきでしょう。「週刊新潮WEB取材班」と安全地帯から文句を言っている時点で “噴飯物” です。

 また、大会が始まる前の時点で「選手やチームがどのぐらいのパフォーマンスを残すと考えられるか」を念頭に置き、事前に情報収集をしていなければ適切な評価を下すことはできません。新潮の水準は “足切り” のレベルと言わざるを得ないでしょう。

 

 これを糧に、今後は一回りも二回りも大きな選手として成長し、日本代表に選ばれてほしい ーー こんなことが書いてあるわけだが、噴飯物と言わざるを得ない。

 上田は戦犯中の戦犯ではなかったのか。

 (中略)

 我々日本人に、そんな配慮は必要ない。今大会の成績は「不甲斐ないものだ」と堂々と書くことからサッカージャーナリズムは始まる。選手が若いからと好意的に報じるのは疑問だ。日本代表が「できたこと」と「できないこと」をしっかりと直視し、検証すべきではないだろうか。

 

“本気の南米勢” を相手に「U-23 を主体とする日本代表」がどのような成績を残すと考えていたのか?

 まず、新潮が明らかにすべきは「本気の南米勢を相手に U-23 を主体とする日本代表がどのような成績を残せるかと予想していたか」です。

 大会後に批評するにしても、事前の戦力分析は必須です。コパ・アメリカに参加する選手は事前に発表されているのですから、戦力分析を行う十分な時間はあったはずです。

 また、コパ・アメリカの壮行試合として国際親善試合が組まれていました。「大会に向けた準備」についても選手のパフォーマンスとともに適切に評価されなければ意味はないと言えるでしょう。

 

コパ敗退の原因は「FW 陣の決定力不足」であり、上田綺世選手は戦犯ではない

 若い選手を好意的に報じるのは当たり前です。なぜなら、成長の余地があり、選手としてのピークに達していない選手がほとんどだからです。

 野球で例えると、「ドラフトで即戦力選手という肩書きで加入した選手」であっても、評価の基準は『新人選手』です。「球界を代表する選手の評価基準」で論評されることはないでしょう。

 しかし、新潮は「日本代表に選ばれたから、代表基準で批判すべき」と主張しているのです。代表チームに選手拘束権がない状況で選ばれた代表選手を『フル代表の基準』でバッシングすることは間違いと認識できない時点で話になりません。

 また、チリ戦(グループ第1節)で上田選手が決定機を逸したことを批判の材料としていますが、勝てば決勝トーナメント進出だったエクアドル戦(グループ第3節)では上田選手を含む出場した FW 陣全員が試合最終盤の決定機を逸したのです。

 したがって、上田選手だけを戦犯として “吊るし上げ” を呼びかけている時点では論外と言わざるを得ないでしょう。

 

「本気の南米勢に対して決定力を発揮できる FW」がいたなら、A代表に招集していない代表監督がバッシング対象

 あと、上田選手が今回のコパ・アメリカで抜群の決定力を発揮していたなら、代表監督である森保監督を批判する必要が生じます。

 なぜなら、本気の南米勢を相手に決定力を発揮できる FW は世界でも「ごくわずか」です。クリスティアーノ・ロナウド、メッシ、スアレスといった “本物” に限られる訳ですから、そのような力を持つ選手を今まで1度もA代表に招集していない選手選考は批判の要因となるでしょう。

 FW は基本的に相手 DF からマークされます。マークを外せなければ、決定機を手にすることはできません。この場合は「決定力不足」が浮き彫りになることはありませんが、それでは試合に勝つ可能性が低くなってしまいます。

 上田選手は南米勢を相手に何度もマークを外すことに成功していましたから、動き出しという点では合格点に値するでしょう。後は選手自身が「仕上げ(= ワンタッチ)の精度が問題点」と自覚し、改善の必要性を認識していれば、外野が大バッシングをする必要はないのです。

 

 コパ・アメリカで “戦犯” 探しをしたいなら、大敗したチリ戦で守備をサボり、対面するチリ代表の右サイドバックのイスラ選手に自由な攻め上がりを許した中島翔哉選手も吊るし上げるべきでしょう。

 週刊誌の批判は無視しても良い内容ですが、代表チームでエースを張ることが可能なポテンシャルを持った若手有望株選手が理不尽なバッシングで潰されることは損失以外の何物でもありません。

 世間の共感を求める批判をしたいのであれば、相応の準備が必要になると言えるのではないでしょうか。