朝日新聞、社説で「対韓輸出規制を即時撤回せよ」と韓国側の主張を代弁する

 朝日新聞が7月3日付の社説で『対韓輸出規制 「報復」を即時撤回せよ』と主張しています。この社説は「全面的な韓国支援に他ならない」と言わざるを得ません。

 なぜなら、朝日新聞は事実の確認すら満足にできていないからです。「積み上げた信頼を損ねたのは韓国である」との事実を指摘できない時点を報道機関として終わっていると断言できるでしょう。

 

朝日新聞が報じた社説の内容

 朝日新聞が7月3日付で報じた社説は以下のものです。

画像:朝日新聞の2019年7月3日付の社説

 政治的な目的に貿易を使う。近年の米国と中国が振りかざす愚行に、日本も加わるのか。自由貿易の原則をねじ曲げる措置は即時撤回すべきである。

 安倍政権が、韓国への輸出の規制を強めると発表した。半導体をつくる材料の輸出をむずかしくするほか、安全保障面で問題のない国としての優遇をやめるという。

 (中略)

 今回の性急な動きは事態を一層こじらせている。機を合わせるように、韓国の司法当局は日本企業の株式を現金化する手続きを一歩進めた。韓国は世界貿易機関(WTO)への提訴も検討するといい、報復の応酬に陥りかねない。

 日韓両政府は頭を冷やす時だ。外交当局の高官協議で打開の模索を急ぐべきである。国交正常化から半世紀以上、隣国間で積み上げた信頼と交流の蓄積を破壊してはならない。

 内容は「韓国が主張して欲しいことを “朝日新聞が” 代弁している」というものになっています。無理筋な擁護論を展開する朝日新聞も『韓国のスポークスマン』として厳しい批判にさらされるべきと言えるでしょう。

 

韓国は「台湾やインドなど大多数と国と同じ対応」になっただけ

 まず、朝日新聞と「自由貿易の原則をねじ曲げる」と批判していますが、これは事実無根の言いがかりです。なぜなら、台湾やインドなど親日の友好国と同じ条件になっただけだからです。

ホワイト国
  • ヨーロッパ21カ国(英・仏・独など)
  • アメリカ、カナダ、アルゼンチン
  • 韓国、オーストラリア、ニュージーランド
一般的な国
  • 上記『ホワイト国』と下記『武器禁輸国』に該当しない国
  • 例:中国・台湾・インドなどアジア各国
  • 韓国は『ホワイト国』から当カテゴリに変更
武器禁輸国
(国連の指定)
アフガニスタン、中央アフリカ、コンゴ民主共和国、イラク、レバノン、リビア、北朝鮮、ソマリア、南スーダン、スーダン

 安全保障管理については経産省が「キャッチオール規制」として『ホワイト国』の指定があります。

 “軍用品に転用可能な技術や材料” の輸出は厳格に管理されているべきです。WTO が掲げる自由貿易下でも『国際合意』という形でこれらは容認され、各国には履行義務が課されています。

 つまり、『ホワイト国』とは「輸出品の管理が厳格である」と認めれていることが条件なのです。しかし、韓国は「中国に(日本の特許技術が)流出する」や「北朝鮮に対する石油製品の “瀬取り” を行う」など、輸出品に対する管理は「不十分」との批判を招くレベルです。

 そのため、韓国を『ホワイト国』に留めておくことの方が問題と言わざるを得ないのです。

 

『2004年まで適用されていた一般水準』に戻ることが「韓国への制裁」とは難癖である

 今回、日本政府(= 経産省)が発表したのは「韓国から『ホワイト国』から外す」というものです。世耕大臣が指摘するように、韓国は2004年までは『非ホワイト国』でした。

 「WTO に提訴する」と韓国は鼻息を荒くしているとのことですが、主張が無理筋であることは世耕大臣がツイートで指摘しています。

 それでも韓国が WTO に提訴することは可能です。しかし、WTO で結論が出るまで 4〜5 年の時間を要します。結論が出るまでの間は「韓国企業が日本から素材を輸入するハードルが上がったまま」ですから、(最悪の場合は)それに耐えられるのかが鍵になるでしょう。

 製品の製造能力が落ちれば、収益力も低下します。研究開発費に回す予算も減少する訳ですから、内製化ができていない中核素材の輸入に滞りが生じるリスクを韓国側が軽視できる理由はないと考えられます。

 

「隣国間で積み上げた信頼と交流の蓄積」を破壊したのは韓国であり、日本が対応に奔走する必要はない

 朝日新聞は社説の最後で「隣国間で積み上げた信頼と交流の蓄積を破壊してはならない」と主張していますが、この主張は韓国政府に言わなければならない内容です。日本政府に注文を付けることは論外です。

 日韓基本条約に反する形で徴用工問題での対応を日本政府に要求しているのは韓国です。また、朝日新聞は慰安婦問題で日韓関係を破壊した側です。

 そもそも、「国家間の条約を守らない韓国」が元凶なのです。この事実を無視する朝日新聞が「日韓両政府は頭を冷やす時だ」などと主張すれば、これは『韓国政府のスポークスマン』と同じです。

 頭を冷やすのは「韓国政府」であり、日本政府が行っている対応には何の落ち度もありません。『喧嘩両成敗』は一見すると『平等』に見えますが、“言いがかり” を付けた側が「妥協」という形で実を手にすることができるという欠陥があります。

 従来と日韓関係と同様に、言いがかりを付けた韓国が「日本の譲歩」を得ることで “本来は得られるはずのなかった利益” を手にすることに朝日新聞は全社的に惜しみない協力をしているのでしょう。それが示されたのが7月3日付の社説と言えるのではないでしょうか。