未知の活断層への対策を要する安全基準を求める原子力規制委員会を野放しにするなら、後出し規制による対策費は全額国会が持つべきだ

 日経新聞によりますと、原子力規制委員会が「未知の活断層への対策強化」を原子力発電所を保有する電力会社に求める報告書案をまとめたとのことです。

 明らかな “後出し規制” ですし、原発再稼働を妨げるための活動でしかないと言えるでしょう。経済合理性を無視した安全基準を後から要求するなら、その費用は電力会社ではなく原子力規制委員会や国が負担すべきです。

 また、「地震学者の研究データ集め」に原発が利用されている実情も是正の対象と言わざるを得ないでしょう。

 

 原子力規制委員会の検討チームが8日、「未知の活断層」を巡る対策強化を促す報告書案をまとめた。規制委は原子力発電所の耐震性の再評価を電力会社に求める方針で、追加工事の必要性や再稼働への影響が今後の焦点となる。電力業界からは再評価に最大1年、工事が必要な場合は最大7年超の時間が必要になるとの声が出ている。

 

「未知の活断層」を新たな難癖のネタとして利用する原子力規制委員会

 原子力規制委員会が「原発再稼働に極めて否定的」なのは明らかです。活断層の定義を変更するなど、再稼働に向けたハードルを上げ続けていることが理由です。

 ただ、それでも再稼働を止めることが難しい原子力発電所が出てきたことで「火山の大規模噴火による降灰」を持ち出し、難癖を付ける有様でした。

 原発の近くには火山は存在しません。規制委員会が想定するような大噴火が起きるなら、原発への降灰など世間は気にもしないでしょう。なぜなら、九州地方や中国地方が大噴火によって “生活不可能な荒廃地” と化すからです。

 ナンセンスなシナリオを持ち出した原子力規制委員会ですが、今度は『未知の活断層』を持ち出しました。これは「まだ知られない活断層があるかも知れないから、調査が終わるまで原発の再稼働は認められない」とでも主張するのでしょう。

 地震学者による “穴掘り調査隊” が現れ、経済合理性を無視した安全基準の適応を原発にだけ要求するデタラメな運用が行われることになると予想されます。

 

未知の活断層が与える影響は原発よりも、首都圏や湾岸部の火力発電所の方が深刻である

 原子力規制委員会が対策強化を求めようとしている『未知の活断層』が与える影響は「首都圏」や「湾岸部の火力発電所」の方が「原発」よりも深刻です。

 原発停止によって「1基あたり1日5億円の追加燃料費」が必要となります。これだけでも経済に大きな足かせとなっているのですが、さらに深刻な影響を与える要素があります。

 それは「首都圏などの大都市」や「湾岸部の火力発電所」の近くに『未知の活断層』が存在する場合です。

 原発は停止させられている発電所がほとんどですが、首都圏や火力発電所は稼働中です。それらの機能がストップした場合、日本経済に与える影響は原発停止とは比較にならないほどの規模になります。

 つまり、『未知の活断層』による警鐘を鳴らす必要があるのでは「首都圏などの大都市」や「そこに電力を供給中である湾岸部の火力発電所」であり、「原発」ではないのです。この事実を無視した規制など、難癖以外の何物でもないと言わざるを得ないでしょう。

 

後出し規制による安全対策を義務付けるなら、費用は原子力規制委員会が国から予算を取ってくるべきだ

 原子力規制委員会による「後出し規制」が何度も起きるのは「対策費用を用立てるなどの責任がないから」でしょう。

 経済合理性を無視した規則を設けることが可能ですし、予算を無視した期限も設定できます。また、規制委員会は電力供給や経営に対する責任を負わないため、採算を度外視した要求も容易に何度もできるという問題があるのです。

 無責任な立場にある組織が「規制の内容」に対する決定権を持つと、悪影響を軽視できなくなることは明らかです。したがって、遡り適用に該当する対策費を用立てるのは電力会社ではなく、原子力規制委員会と規則を改めるべきでしょう。

 これにより、電力会社は「規制委員会が用立てた予算を用いて、要求される対策を講じる責務を負う」という立場に変わります。もちろん、予算が用意されなければ、対策の実施義務は免除です。

 「原子力規制委員会が求める原発対策費を予算として計上するのは正しいか」を国会で議論し、それを承認すれば文句は出ないでしょう。政治や規制委員会が負担をすべて電力会社に押し付けて逃げ切ろうとするなら、経済が蝕まれる状況が深刻化しつつあるのです。

 

 「弱者の味方」と言いながら、電気代が高騰する原因を作る原子力規制員会の行動を与野党はいずれも黙認しているのです。費用を国会持ちとした上で「対策費に必要な額を認めるのは是か非か」を議論し、採決を行うべきです。

 “後出し” で法律の遡り適用をするなら、相応の負担をルール変更をした側がするべきです。その責務が免罪されているから、暴走が起きていると言えるのではないでしょうか。