FNN の “スクープ” で「輸出規制を設定せよ」と主張していた韓国の輸出管理体制が抱える問題が浮き彫りとなる

 FNN が7月10日に「韓国の輸出管理体制に疑問符が付くことが伺える資料を入手した」と報じたことで、韓国政府が苦境に立たされる状況となっています。

 FNN の報道内容は「独自スクープ」と言うよりも「二番煎じ」なのですが、“憎らしいほどに効果的” な内容となっており、韓国政府は苦し紛れの言い訳に終始せざるを得なくなるでしょう。

 「日本政府からスクープのネタを匂わされていた」としか言えない内容だからです。

 

 韓国の輸出管理体制に疑問符がつく実態がうかがえる資料を、FNNが入手した。

 (中略)

 FNNが入手した韓国政府作成のリストによると、2015年から2019年3月にかけ、戦略物資が韓国から流出した不正輸出案件は、156件にのぼることがわかった。

 

元ネタのニュースは2019年5月に既報

 FNN が独自に「韓国の輸出管理体制の疑問点」を発見したのかと言いますと、それは違います。なぜなら、FNN が報じたニュースの内容は朝鮮日報が2019年5月に報じた記事の内容と同じだからです。

 保守系野党「大韓愛国党」の趙源震(チョ・ウォンジン)議員が産業通商資源部(省に相当)から提出を受けた「戦略物資無許可輸出摘発現況」によると、2015年から今年3月までに政府の承認なく韓国の国内業者が生産・違法輸出した戦略物資は156件に上った。2015年は14件だった摘発件数は、昨年は41件と3倍近くに増えた。さらに今年は、3月までの摘発件数だけでも31件に上り、急増する様子を見せている。

 ネタ元は「韓国の国会議員であるチョ・ウォンジン議員からの国政監査に産業通商資源部が示したデータ」です。

 国政監査に虚偽報告をすると、報告した側(= 今回だと産業通商資源部の官僚)が罰せられます。そのため、「データの信憑性はある」と見て問題ないでしょう。

 つまり、「韓国では輸出管理体制に問題を抱えている状況にあった」と言えるのです。したがって、適切な輸出管理体制が構築されていることが条件の『ホワイト国』から外されるのは当然と言わざるを得ないでしょう。

 

問題のリストは「きちんと取り締まりがされている根拠」にはならない

 親韓派は「取り締まりが機能している根拠」として FNN が報じたリストを扱うことでしょう。しかし、これは逆効果です。

 理由は「韓国の国内企業から流出し、かつ摘発されたリスト」だからです。要するに “暗数” に該当する不正輸出が存在することが疑われるため、優遇対応に戻す理由にはなり得ないのです。

 具体的に言いますと、「摘発されたリスト」なのですから、 “摘発されていない不正輸出” がリストに掲載されることはありません。

 また、摘発されたとしても不正輸出された品目が相手に渡っていれば、不正輸出は成功したことと同じ意味を持ちます。「摘発した案件を取り調べると “余罪” も出てきた」というパターンではリストには掲載されますが、余罪に該当する部分の不正輸出を阻止することはできません。

 こうした事例を容易に考えられるのです。韓国が現状を大きく改善しない限り、『ホワイト国』に復帰することは難しいと言わざるを得ないでしょう。

 

官房副長官の「少なくとも3年以上、十分な意思疎通が行われていない」との発言が持つ意味

 韓国側は今後も苦しい立場に置かれることでしょう。なぜなら、西村官房副長官が記者会見で次のように語っているからです。

 西村官房副長官は記者会見で「今回の決定の背景に不適切な事案があったのは事実だ。ただ具体的内容についてコメントすることは差し控えたい」と述べました。

 そのうえで「韓国との間で、輸出管理をめぐって少なくとも3年間以上、十分な意思疎通、意見交換が行われていないことが背景にあるのも事実だ」と述べ、過去に不適切な事案があったことや意思疎通ができていないことを理由として挙げました。

 2019年5月に「戦略物資の無許可輸出の摘発状況」が韓国で明るみに出たのです。当然、日本からは「状況の説明」が韓国に対して要求されていたことでしょう。

 しかし、「3年以上も十分な意思疎通や意見交換が行われてない」という事実は「韓国で不適切な輸出が疑われる実態が浮かび上がった後も意思疎通が行われていない」ということを意味しています。

 このような現実が横たわっているにもかかわらず、韓国を『ホワイト国』に戻すことは現時点ではあり得ないことです。したがって、まずは輸出管理体制を “韓国が” 厳格化し、他国から信頼を得るようにすることが必要事項と言えるでしょう。

 

 日本政府が下した措置は「禁輸」ではなく、「韓国への優遇措置の撤回」です。そのため、日本は優遇措置の撤回に値する証拠を提示する必要はなく、“韓国が” 優遇措置を受けるに値する国であることを証明する必要があります。

 それをしないのであれば、大多数の国と同様に個別審査を受けて輸出許可を得れば済む話です。『ホワイト国』としての優遇措置を受けるに値しない振る舞いがある韓国への対応は見直すことが妥当と言えるのではないでしょうか。