偽告発を懸念したアメリカの州知事候補が「2人きりの同乗取材」を拒否したことに対し、該当の女性記者が性差別と批判する

 アメリカ・ミシシッピ州の州知事選に立候補しているロバート・フォスター候補(共和党)に「選挙用車両での15時間の同行取材」を申し込んだ記者が「女性であることを理由に断られた。これは性差別だ」と訴えていると BBC が報じています。

 #MeToo 運動により、「女性の主張」だけで男性の社会的生命が絶たれるケースが実際に発生しています。そのため、フォスター候補の対応は「妥当」と言えます。

 逆にキャンベル記者の要求は筋違いです。妥協案の提示についても論外と言わざるを得ないでしょう。

 

 地元メディア「ミシシッピ・トゥデイ」のラリソン・キャンベル記者(40)によると、フォスター議員の選挙活動を同行取材するため、選挙用車両に15時間「同乗」できないか申し入れた。しかし、自分が女性であるとことを理由に拒否されたという。

 フォスター候補が「同乗取材の要請」を拒否したことに何の問題もありません。なぜなら、「家族ではない異性と2人きりで長時間に渡って同じ空間にいること」はリスクだからです。

 「取材対象者からセクハラを受けた」と告発されれば、昨今の #MeToo 運動で真偽を無視して “告発をされた側” が批判にさらされることになります。したがって、政治家が「危機管理の一環」という認識を持ち、異性の記者からの1対1での取材要請を断るのは正しいと言えるでしょう。

 

「取材を受ける側のフォスター候補が男性の付添人を用意しろ」と無意味な解決策を要求する女性記者

 フォスター候補による取材拒否騒動ですが、取材を申し込んだ女性記者が能力不足であることは否めません。なぜなら、意味のない解決策を取材対象者に要求しているからです。

 フォスター議員をこれまでに何度も取材してきたキャンベル記者はCNNに対し、今回の判断は性差別主義だと反論。フォスター氏のルールに従うことが求められるのであれば、フォスター氏側が男性の付添い人を用意すべきだと主張した。

 キャンベル記者は「フォスター氏側が男性の付添人を用意すべき」と要求していますが、#MeToo 運動の現状を考えると無意味です。

 なぜなら、「フォスター候補からセクハラを受けた。(フォスター候補が用意した男性の)付添人もグル」と告発できるからです。また、女性記者側が用意した付添人も「キャンベル記者とグルになることが可能」ですから、解決策になりません。

 したがって、現実的な解決策は「フォスター候補とキャンベル記者がそれぞれ1名ずつの付添人を用意する」しかないのです。ただし、これは選挙運動における “大きな足かせ” となる可能性があります。

 こうした影響に対して頭が回っていない時点でキャンベル記者の能力は低いと言わざるを得ないでしょう。

 

「長時間の密着同乗取材で紙面を埋められる」と安易に考えたのだろう

 選挙に立候補した人物に対して「長時間の同乗取材」をする意味はありません。政策のことを聞きたいなら、記者会見やインタビューを申し込めば成果を得られるからです。

 にも関わらず、1対1 での長時間の同乗取材を求めたのです。

 この取材方法は「マスコミにはおいしい手法」です。なぜなら、同乗した分だけ何らかのネタが得られることになりますし、取材費も抑えた状態で紙面を埋めることができるからです。

 しかも、フォスター候補が今後自分たちの取材に応じなかったり、批判を繰り広げるなど敵対的な態度を示せば、#MeToo 運動を背景に『告発』という手段に出ることも可能です。

 取材をする側であるマスコミにとっては「どう転んでもマイナスにはならない取材方法」ですが、取材を受ける側はそうではありません。リスクが大き過ぎますし、マスコミを通さなくても情報発信を行う必要はありません。

 フォスター候補の場合は「これから次の遊説先までトラックを運転して向かうよ」とサムアップ付きの画像付きで投稿すれば、十分な選挙アピールとなるからです。情報発信の独占が困難になったマスコミが、何とか独自ネタを確保するために奔走していることが問題の発端だと言えるでしょう。

 

 話は少し逸れますが、#MeToo 運動を支持・支援する界隈は「フォスター候補が採った行動」を支持しなければなりません。なぜなら、女性が性被害に遭うリスクを未然に防いだからです。

 リスクを一方的に男性にだけ押し付けることは論外ですし、女性が勝ち取った職やポジションが “女性からの批判” を理由に消滅するのは自業自得です。

 #MeToo 運動が終息し、暴走を煽った人物・団体に社会的制裁が下されるまでの期間は同様のケースが相次ぐ事になると言えるのではないでしょうか。