あいちトリエンナーレ問題・その1: 公的機関に “特定の政治思想に偏った作品群のみ” を展示するイベントの開催を認めて良いのか

 愛知県が主催する『あいちトリエンナーレ』が複数の問題が原因で炎上しています。そのため、論争が上手く噛み合っていないと言えるでしょう。

 今回は「イベントのコンセプト」に焦点を当てた問題点を提起したいと思います。

 その理由は「『表現の不自由展』と銘打ってはいるものの、実態は『左翼活動家の政治思想に基づく表現の不自由展』と言える代物だから」です。特定の政治思想に公的機関が賛同していることは問題と言わざるを得ないでしょう。

 

『表現の不自由展 2015』を “公的機関” が実施したことが問題

 あいちトリエンナーレの問題は『表現の不自由展・その後』を行ったことでしょう。

 『表現の不自由展』は2015年に東京で “民間が” 行った展示会で、公共の文化施設で掲示不許可となった作品群を「不許可になった理由」とともに展示したものです。

 ただ、指摘しておく必要があるのは「2015年の『表現の不自由展』は党派性に大きな偏りがあった」という点です。

画像:表現の不自由展(2015)のパンフレット

 なぜなら、主催者が「『表現の不自由展』実行委員会」と「 “教えてニコンさん!” ニコン『慰安婦』写真展中止事件裁判支援の会」だからです。

 少なくとも、政治的な中立性が期待できる展示会ではありません。慰安婦問題で韓国や朝日新聞の姿勢を支持する “特定の政治思想” が全面に出ているのですから、このイベントを公的機関である愛知県が行ったことの是非は問われる必要があると言えるでしょう。

 

問題は少女像は都立美術館での展示が拒否され、『表現の不自由展・2015』で取り上げられたもの

 あいちトリエンナーレで問題を引き起こしている『少女像』は過去に「東京都立美術館にミニ・レプリカを撤去された」という経緯があります。それが理由で2015年に行われた『表現の不自由展~消されたものたち』で “実物大” の像とともに展示されました。

 ちなみに、都立美術館から作品を撤去され、『表現の不自由展~消されたものたち』で展示された後に『あいちトリエンナーレ』でも掲載された作品として、中垣克久氏の『円墳』があります。

 『少女像』や『円墳』が都立美術館から撤去された理由は以下の理由であったと朝日新聞系のアエラが報じています。

 「『特定の政党・宗教を支持し、またはこれに反対する等、政治・宗教活動と認められるとき』は施設の使用を承認しないという運営要綱に沿って判断した。税金で運営している公的な美術館は政治的、宗教的なアピールをする場ではない」

 都の担当者の発言は「的を得たもの」であり、正論です。

 しかし、愛知県は “特定の政党を支持する政治活動” を税金を使う形で実施したのです。それに対する批判が寄せられた責任はトップの大村知事が負うべきですし、左翼活動家の作品群を展示することを決定した現場監督の津田大介氏の責任も問われるべきと言えるでしょう。

 

「 “政府や行政に批判的な人” へ優先的に税金が再配分されていること」が問題の温床

 自民党の武井俊輔議員は「税金は政府や行政に批判的な人でも納税しているし、政府や行政の意向に沿ったものにしか拠出しないということはあってはならない」とツイートしています。

 これは正論ですが、“論理の穴” を悪用されていることを認識できていないなら致命的です。

 まず、税金は政府や行政に肯定的な人も否定的な人も納税しています。ですから、再配分の際には「党派性を排除し、可能な限り中立な形で再配分すること」が求められているのです。

 しかし、“政府や行政に批判的な人々” に優先的に再配分がされていることが実情です。『表現の不自由展・その後』で集められた作品群は「反日ヘイト色の強い内容」ばかりで、“左派界隈からの抗議で撤去された作品群” は皆無でした。

 「右派・保守系からの抗議で撤去された作品」だけでなく、「左派・リベラル系からの抗議で撤去された作品」も展示していれば『表現の不自由展』というコンセプトに合致していたでしょう。ですが、実態は『表現の不自由展』を語る「左翼の政治プロパガンダ展」を公的機関が行っていたのです。

 要するに、科研費と同じ問題です。左派には多額の補助金・助成金が公費から出されるのは問題視されるべきでしょう。なぜなら、武井議員のロジックに従うなら、右派・保守系の人々も納税しており、「左派の政治的主張を裏付けるための研究」に科研費が偏重配分されているのはおかしいからです。

 

 外交問題に発展している慰安婦問題を象徴する『少女像』を公的機関が展示することは「韓国側の主張を支持する」とのメッセージを送っていることと同じです。

 韓国 KBS が英語版でも誇らしげに “成果” を発表しているのです。外交問題であるとの認識が欠落しているから、ウィーン条約に反する形で韓国の日本大使館前に設置されたままの『少女像』を問題視することもないのでしょう。

 愛知県が主催する『あいちトリエンナーレ』で “左派思想の色濃く現れた作品ばかり” が展示された『表現の不自由展』が行われたことに対し、責任者の大村知事が説明責任を果たす必要があると言えるのではないでしょうか。