過剰労働の改善を訴える厚労省若手チーム、「質問通告時間」や「空振り答弁数」の公表を含めた緊急提言を厚労大臣に手渡す

 NHK によりますと、過剰労働を強いられている厚生労働省の若手職員が現状を改善するための緊急提言書を大臣に提出したとのことです。

画像:厚労省若手チームからの緊急提言を報じるNHKニュース

 「業務の効率化」と大まかに言及されていますが、「議員や国会にも過剰労働の一端がある」と主張する提言になっていることは見落とすべきではないと言えるでしょう。

 

 統計不正問題など不祥事が相次いだ厚生労働省の組織改革について、若手職員の検討チームが緊急の提言をまとめました。「過剰な労働で職員が疲弊しさらなるミスが生まれかねない」として職員の増員や業務の効率化などを求めています。

 厚労省改革の若手チームが提言した内容は厚労省のホームページで公開されています。

画像:厚労省への期待と現状

 厚労省は政治家が票田にする高齢者の多くが最重要視する医療や年金を管轄するため、他の省庁よりも業務量が多くなることは避けようがありません。

 しかし、「生きながら人生の墓場に入ったと思っている」などの悲観的な発言が現役職員から出てくることは異常と言わざるを得ないでしょう。したがって、『働き方改革』を厚労省が率先して行い、一般企業の手本を示すことが重要と言えるはずです。

 

国会が決める委員会開催と質問通告ルールの徹底は不可避

 官僚が長時間労働を強いられる原因になっている1つは「国会が委員会の開催を直前まで決めないこと」です。

 なぜなら、「明日、厚労委員会を開催する」と決定されると、委員会での質問内容は前日の深夜に通告されることが常態化するからです。

画像:厚労省から国会への申し入れ事項

 国会で議論する内容で『当日か翌日までに結論を出さなければならない案件』は年に数件あるかどうかでしょう。

 厚労省が扱う年金や医療に関する案件は長期的なものが大多数であり、衆参の委員会を開催するスケジュールを早期に決定したり、3日後としても問題はないはずです。「明日に開催されないと困る」と主張するのはメディアと共に騒ぎたい野党だけでしょう。

 だから、質問通告を前日深夜や当日に行う議員が散見されるようになり、厚労省の職員が徹夜で対応することが常態化されてミスが頻発するという悪循環を招く原因になるのです。この問題は改善する必要があると言えるはずです。

 

「『議員別通告時間』と『空振り答弁数』を公表できる体制を整える」との本気度を示す

 厚労省の若手チームは過剰労働問題を真剣に捉えていると言えるでしょう。なぜなら、国会側に「委員会開催の早期決定」を要求すると同時に、深夜労働を強いる議員をデータで公表できる体制を整えると改善案で示しているからです。

画像:質問通告に関する改善提言

 つまり、「(委員会前日の)日曜の深夜に質問通告を行った」と開き直る宮本徹議員(日本共産党)のようなケースが白日の下にさらされるようになるのです。

 また、質問通告を行って官僚に答弁を行うための業務をさせたにも関わらず、国会で該当の質問をしない『空振り答弁』の数も公表を可能にするとのこと。

 多少の空振り答弁が発生することは止むを得ませんが、数が突出して多い議員がいるなら、これは官僚を無駄働きさせていることと同じです。

 したがって、『空振り答弁』についても議員ごとの数を示すことは「国会論議の質を高める」という点で効果が期待できると言えるでしょう。

 

 少なくとも、「委員会の開催日時を早期に決定すること」と「質問通告時間を守ること」は国会と議員次第でできることです。自分たちの都合による “しわ寄せ” を厚労省の職員に押し付け、それが原因でミスが起きては本末転倒です。

 厚労省からの増員要請に難色を示すのであれば、国会や議員の態度を改めるべきでしょう。『働き方改革』を主導する立場にある立法府が有言実行をすることができるのかが注目点と言えるのではないでしょうか。