台風15号の影響により『山倉ダム(千葉県市原市)』の水上メガソーラーで火災発生、「建築基準法の適用外」との “恩恵” は見直すべき

 首都圏に大きな影響をもたらした台風15号ですが、千葉県ではダムの水面を利用した水上メガソーラーで火災が発生したと NHK が伝えています。

画像:火災が発生した山倉ダムの水上メガソーラー

 自然災害によって太陽光発電パネルが「二次災害」を引き起こすケースが相次いでいるのですから、制度設計そのものを見直さなければならないと言わざるを得ないでしょう。『山倉ダム』で発生した問題については施工主である京セラが責任を負う必要があるはずです。

 

 千葉県の市原市消防局によりますと、9日午後1時ごろ、市原市山倉にある「山倉ダム」の水面を活用した「水上メガソーラー」で、「太陽光パネルが燃え、黒い煙が出ている」と近くにいた人から通報がありました。

 現在、消火活動が行われていますが、消防によりますと、太陽光パネル50枚ほどが燃えているとみられるということです。これまでにけが人の情報はないということです。

 この「水上メガソーラー」には、5万枚以上の太陽光パネルが使用され、面積はおよそ18ヘクタールと、水上ソーラーとしては国内で最大規模だということです。現場では太陽光パネルが重なったり、めくれあがったりしていたということです。

 

水上浮体設備が「高波に対して脆弱」なのは当たり前

 山倉ダムに設置された水上メガソーラーがめくれ上がったり、火災が発生した理由は「高波」でしょう。なぜなら、太陽光パネルは水上のフロートに設置したもので、波に対して脆弱だったと考えられるからです。

画像:フランス大使館のツイート

 フランス大使館がツイッターで紹介しているように、山倉ダムのフロートは「ブロックを連結することで巨大フロート化するタイプ」です。

 もちろん、太陽光パネルを搭載したフロートが流されないように係留されてはいますが、“遊び” が存在するはずです。これはダム貯水量が変動すれば、水面も上下動するからです。

 したがって、台風の強風で発生した波によってフロートが上下左右に動き、太陽光パネルを搭載したフロートが斜めに傾いた状態でパネルの下側部分からの強風を受けて一気にめくれ上がったのでしょう。

 火災はめくれ上がった際にパネルからの配線が破断しており、その状態で太陽光が当たって発電が行われたことによるショートが原因と考えられます。これらは「想定された事故」と言えるだけに設計制度そのものを見直す必要があると言えるでしょう。

 

太陽光発電は「環境に優しくない」のが実態

 太陽光発電などの再生可能エネルギーを高く評価する人々は「原発よりも安全でクリーン」と主張しています。しかし、それは自説にとって都合の良い一面だけを見ているからです。

 自然災害が発生した際に「太陽光パネルによる二次災害」はメディアが報じないだけで全国で頻発しています。

 斜面崩壊を引き起こしたケースや強風による太陽光パネルの飛散が代表例です。山倉ダムの件は水上火災が発生しました。太陽光パネルに含まれる重金属が(火災で)流れ出すことになれば飲料水として利用は不可能です。

 山倉ダムの用途が「工業用水」ですから、その心配は現時点では少ないと言えるでしょう。しかし、山倉ダムと同じ水上浮体に太陽光パネルを掲載したメガソーラーの事案は他にも存在するはずです。

 したがって、同様の事故が発生した際に重金属が流れ出すような問題が発生することを未然に防ぐための対策を採ることが再生可能エネを世間一般に広げていく上で必要不可欠になると考えられます。

 

建築基準法の適用される工作物から除外されたままのメガソーラー

 太陽光パネルが自然災害の度に二次災害を起こす理由は「雑な施工が許可されているから」です。具体的には建設基準法の適用範囲外にされているため、安全性を軽視する業者が後を絶たないからです

 実際に施工を行う業者は『電気工事士』の資格が必要です。しかし、“施工業者に依頼する内容” が建築基準法の適用範囲外という問題があるのです。だから、「野良ソーラー」というパネルを設置しただけの状態に近い太陽光発電所が雨後の筍のように発生していると言えるでしょう。

 これらの発電所を野放しにしておくことは再生可能エネルギーの悪評を流すだけです。FIT (= 全量固定買取制度)で収益を得ているビジネスなのですから、建築基準法が適用される工作物という扱いに戻し、安全面への配慮を徹底させるべきです。

 それと並行する形で山倉ダムに水上メガソーラーを設置していた京セラは原状回復を行い、再発防止策を世間に対して公表する必要があるはずです。それがしないのであれば、環境破壊や環境汚染のリスクを押し付けたビジネスと言わざるを得ないからです。

 

 再生可能エネルギーだけを極端に甘やかすのではなく、他の発電方法と同じ安全面への対策・配慮を法的に義務付けて実行させる必要があると言えるのではないでしょうか。