政治に泣きついて軽減税率の対象となった日本新聞協会、「『(広義の)公共財』としての責務を果たす」と世間に対して喧嘩を売る

 消費税率が 10% へと引き上げられた中、一部の品目は消費税率が 8% に据え置かれています。

 その1つが「新聞」なのですが、新聞社が加盟する日本新聞協会が「公共財としての役割が認められたと受け止めている」との声明を発表したと共同通信が報じています。

 電気・ガス・水道などが 10% の消費税率がかかる中で、新聞に 8% の軽減税率を適用する価値はありません。経済学で「知識」は『公共財』に分類されますが、偏向した内容の紙面作りに勤しむ新聞から得られる知識に公共性はないと言わざるを得ないでしょう。

 

 消費税増税に伴い新聞(週2回以上発行)の定期購読料に軽減税率が適用されたことに関し、日本新聞協会は1日、見解を公表した。「民主主義を支え、国民に知識・教養を広く伝える公共財としての新聞の役割が認められたと受け止めています。この期待に応えられるよう、責務を果たしていきます」と表明した上で、軽減対象を書籍などに拡大するよう求めた。

 

日本新聞協会が発表した軽減税率に対する見解

 日本新聞協会が発表した軽減税率に対する見解は公式ウェブサイト上で公開(PDF)されています。その概要は以下のとおりです。

  • 「報道・言論により民主主義を支え、国民に知識・教養を広く伝える公共財としての新聞の役割が認められた」と受け止めている
  • この期待に応えられるよう責務を果たしていく
  • 最近ではフェイクニュースがインターネットを通じて拡散し、世論に影響するようになっている
  • しっかりとした取材に基づく新聞の正確な記事と責任ある論評の意義は一段と大きくなっている
  • 学力の基礎となる読解力の育成にも新聞は生かされいる
  • 欧州各国のように新聞・書籍・雑誌の税率をゼロまたは軽減を今後も求めていく

 要するに、「新聞はネットよりも偉い」と宣言し、軽減税率の拡大を要求しているのです。

 自分たちの能力を過大評価した見解は珍しいと言えるでしょう。なぜなら、新聞社が自社にとって都合の良い角度を付けた偏向記事で世論に影響を与えようとしている張本人だからです。この事実を棚に上げ、「正確な記事」と「責任ある論評」と主張したところで噴飯物です。

 無署名記事で新聞社という組織の影に隠れて発表する論評に意義を見出す人は年々少なくなっていることでしょう。だから、部数凋落に歯止めをかけることができないのです。

 

新聞社が主張する『公共財』とは「広義の公共財」であり、『純粋公共財』ではないことを隠している

 日本新聞協会は「新聞は『公共財』」と主張していますが、これは定義を拡大しています。慰安婦問題と同様に “広義” の『公共財』との意味で業界にとって都合の良い解釈を用いているからです。

排除性
(= 排除可能)
非排除性
(= 排除不可)


  • 私的財
  • 食料・衣服・自動車・家電など
  • コモンプール財
  • 公共資源のこと
  • 漁業資源・木材・石炭・水資源など
  • クラブ財
  • 映画・有料公園・衛星放送・図書館など
  • 公共財
  • 無料放送・空気・国防・知識など

 経済学での『公共財』は『純粋公共財』であり、新聞社のビジネスモデルは『公共財』に該当しません

 新聞社は「販売網の構築」や「取材活動」に費用を要しますが、「100万人の読者に供給する」代わりに「150万人の読者に供給する」となっても、これらの費用はあまり増加しません。つまり、新聞社は有料放送や図書館などと同じ『クラブ財』に属しているビジネスなのです。

 ただ、『クラブ財』と『コモンプール財』は “準公共財” という位置付けから『広義の公共財』と見なされています。これを悪用する形で「新聞が『公共財』と認められた」と主張しているのですから、「知識を伝える役目を担う適任者ではない」と言わざるを得ないでしょう。

 

「他社の論説を批判・検証する」という相互チェックが機能しない新聞社に価値はあるのか

 新聞社がネット上で厳しい批判を受ける要因は「相互チェック」が機能していないからでしょう。具体的には「他社の論説に含まれる主張の矛盾点を指摘・批判していない」という部分です。

 例えば、朝日新聞が「読売新聞の社説内容に含まれた矛盾」を指摘することもなければ、逆に読売新聞が「朝日新聞の社説に存在する無責任な主張」を批判することもありません。

 知識は『狭義の公共財』ですが、新聞は「伝達手段の1つ」です。したがって、読者に「自ら考えるために必要な正確な情報」を届けることができなければ、期待される役割を果たしているとは言えません。

 偏向記事で “学びの機会” を阻害し、誤報などの指摘は無視する一方で、事件被害者の実名をさらすことには躍起になるのです。新聞は『公共財』ではありませんし、電気・水道・ガスなどの “公共サービス” と同じ 10% の消費税率にすべきでしょう。

 

 『公共財』は「タダ乗りが問題になる」という特徴があります。(生活保護などで税金を払っていない人も国防で得られる恩恵は納税者と同じだから)

 新聞は無料で読むことができないのですから、『公共財』を名乗る資格はありません。「知識・教養を広く伝える公共財」という立場を主張したいのであれば、「学生には無料」というサービスを展開すべきと言えるのではないでしょうか。