国際 NGO のプラン・インターナショナル、「高い興行収入を記録した映画では女性が性的対象に描かれているから問題」と難癖を付ける

 女性や子供の権利向上を訴える国際 NGO である『プラン・インターナショナル』が「映画が描く女性リーダーは性的対象となっている」と主張する報告書をまとめたと NHK が伝えています。

 しかし、これは難癖を言わざるを得ないでしょう。なぜなら、プラン・インターナショナルが分析したのは「無作為に抽出した映画」ではないからです。

 「世界20ヵ国で高い興行収入を記録した」という特定の条件を設けて対象の映画を抽出したのです。これは「高収益を記録した映画に見られた特徴」を抜き出したに過ぎないと言えるでしょう。

 

 国際的なNGOが世界20か国で上映された映画について男女の描かれ方を分析し、企業の社長や政治家などリーダーの役割を担う登場人物の割合は女性のほうが大幅に少なく、男性より女性が性的な対象として描かれていると指摘しました。NGOはジェンダーの固定観念に影響を与えるとして、改善を呼びかけています。

 女性や子どもの権利向上などを支援している国際NGO「プラン・インターナショナル」などは、日本を含む世界20か国で去年、高い興行収入を上げた56本の映画について男女の描かれ方を分析し、報告書をまとめました。

 それによりますと、女性の登場人物の割合は33%で、67%だった男性の半分以下でした。

 

「女性リーダーを性的対象に描く」という傾向は映画作品全体に見られるものではない

 まず、プラン・インターナショナルの報告書でおかしいのは「分析対象となった映画が世界20ヵ国で高い興行収入を上げた映画」である点です。

 ヒット作を抽出して分析することはありますが、その場合の目的は「ヒット作に見られる傾向を分析すること」に限定されます。ところが、プラン・インターナショナルは「女性の描かれ方」に焦点を当てているのです。

 これは「抽出方法に問題がある」と言わざるを得ないでしょう。『企業のトップや政治家が登場する映画』を無作為に抽出し、男女の描かれ方を分析しなければプラン・インターナショナルが求める分析結果を得られないからです。

 要するに、(世界中の)観客から見向きはされなかったが、プラン・インターナショナルが希望する女性リーダーの描かれ方をした映画が多数存在する可能性はあるのです。

 この部分を無視した批判を報告書で発表することは論外と言わざるを得ないでしょう。

 

「女性をどう描くか」は表現者(≒ 映画制作陣)の自由であり、どの映画を鑑賞するかは個人の自由

 次に、プラン・インターナショナルの主張は2つの自由を侵害するものです。

 1つは『表現の自由』です。映画に登場する女性をどのように描くのは制作者が決めることです。ボンドガールに代表されるように性的な魅力を全面に押し出しても良いですし、女性の権利を訴える団体の意向に全面的な配慮を示すことも自由です。

 しかし、プラン・インターナショナルは「前者のタイプはけしからん」と自由を制約する言動を述べているのです。この部分は批判されるべき点と言えるでしょう。

 もう1つは『選択の自由』です。どの映画を見るのかは個人が自由に決めて良いことです。アクション・恋愛・ドキュメンタリー・アニメのどれを鑑賞しても問題ありません。R-18 に指定されるお色気シーンが満載の映画を見ることも自由です。

 個人が自由に見る映画を選択した結果が興行収入として示されるのですから、その結果をプラン・インターナショナルは受け入れなければなりません。この認識が欠如していることが致命的なのです。

 

特定の女性像を描くことを強いるのは「プロパガンダへの協力」を強要することと同じ

 「女性が男性と同じリーダーや役割を担っているように描かれていなければならない」という条件は映画における表現に制限を加えていることと同じです。

 そのようなプロパガンダに協力的な表現者はいないでしょう。理由は「表現できる範囲が狭まってしまうから」です。

 しかも、国際 NGO のプロパガンダに協力したところで投資が回収できないことは明らかです。これはプラン・インターナショナルが「興行収入の高い映画」を分析したところ、“女性の権利を訴える人権団体” が不満を覚える映画がヒットしていたという事実があるのですから、相手する映画制作陣はいないでしょう。

 制作費を負担せず、文句ばかり言う国際 NGO の顔色を伺う意味はありません。なぜなら、ヒットの確率が見込めなければ、そもそも映画の制作費を集めることができないからです。

 

 映画における女性の描かれ方を変えたいなら、プラン・インターナショナルが出資する形で『納得する表現方法が用いられた映画』を作成し、世界的な大ヒット作にすれば良いだけです。そうすれば、他社が同系統の作品で追従することになるでしょう。

 自分たちは何のリスクも背負わず、文句を言ってばかりの左翼・リベラルが世間から無視されるのは当然と言えるのではないでしょうか。