時事通信が「政府内に『女性宮家の容認案』が浮上」と報じるも、菅官房長官が翌日の会見で否定

 時事通信が11月10日付で「『女性宮家』を容認する案が政府内にある」とスクープする形で報じましたが、菅官房長官が翌日の記者会見で否定する事態となっています。

 皇族が減少することで「皇室行事」の対応が難しくなることは事実です。「安定した皇位継承」を目的とするなら、『女性宮家』は解決策にはなりません。『旧皇族の復帰』という現実的な方法を無視した『女性宮家の創設』は “別の意図” が隠されていると言わざるを得ないでしょう。

 

 安定的な皇位継承の確保策をめぐり、政府内で「女性・女系天皇」の議論を先送りする一方、女性皇族が結婚後も皇籍に残る「女性宮家」を容認する案が浮上している。早ければ14、15両日の大嘗祭後に検討を始める方針だ。

 (中略)

 一般男性と結婚した女性皇族について、皇室典範は「皇族の身分を離れる」と定めている。現在は女性皇族が大半を占めるため、将来的に皇族数の激減が想定され、皇位の断絶を危ぶむ声も出ている。

 こうした現状を踏まえ、政府内では女性皇族が結婚後も皇室にとどまれるようにすべきだとの意見が出ている。政府関係者は「女性宮家は女性・女系天皇とは違う。選択肢として残していい」と語った。

 

「皇位の断絶を危ぶむ」なら、対処策は「女性宮家の創設」ではないことは明らか

 時事通信の記事で奇妙なのは「問題認識と解決策が大きく乖離していること」です。「皇位の断絶」が問題と認識されており、その原因が「皇族数の減少」であることを否定する人はいないでしょう。

 ただ、皇位は「男系で継承」されています。つまり、この条件を満たすことができなければ、皇位(の継続性)が断絶してしまうのです。

 そのため、『女性宮家の創設』は「皇族数を維持すること」に貢献しても「皇位の断絶を解決すること」にはなりません

 女性宮家で生まれるのは「女系男子」か「女系女子」です。これまでの天皇は「男系男子」か「男系女子」であり、女系天皇が存在したことはありません。

 したがって、『女性宮家』で「皇位の断絶問題」を先送りすることはできても、根本的な解決策にはなり得ないと言えるでしょう。

 

『旧皇族の皇籍復帰』が最も現実的な解決策

 皇族が減少することで真っ先に問題が生じるのは「皇室行事」でしょう。「皇族に担って欲しい公務」は増えることはあっても減ることが稀であるため、常に激務になってしまう恐れがあるのです。

 「皇族数を保つ」との意味合いだけなら、『女性宮家の創設』が反発される可能性は低いと思われます。しかし、その目的なら『旧皇族の皇籍復帰』でも同じ効果を手にすることが可能です。

 『女性宮家』でも『旧皇族』でも、問題視されるのは「皇位継承権」です。

 “女性天皇の子供に該当する女系天皇” は歴史上存在しないため、大きな反発を起きることは避けられません。だから、マスコミは「女性天皇と女系天皇の違い」を伏せたまま容認論を展開しているのでしょう。

 一方で『旧皇族』には男系男子がいますので、“『旧皇族』出身の男系天皇” を輩出することは現実的に可能です。とは言え、一般人だった男性が天皇に即位することに違和感を覚える人はいるはずです。

 そのため、『旧皇族の男系男子』は「皇籍に復帰するものの皇位継承権はなし」と定め、天皇に即位できる皇族は「皇族を両親に持つ男系」とすることが現実的な解決策になるでしょう。

 

 時事通信が報じた「女性宮家の創設案」に対し、菅官房長官は11日の記者会見で「承知していない」と否定しています。合理的な根拠もないため、報道内容は否定されて当然です。

 「天皇制に反対する人々」や「現行の天皇制を変更した実績を誇りたい人々」が存在することを忘れてはなりません。このような界隈の活動家は『女性宮家の創設』は「渡りに船」ですし、今度も事あるごとに「愛子殿下の即位」などを主張することでしょう。

 そうした声に惑わされ、『伝統』を破棄した場合に何を失うことになるのかを認識しておく必要があると言えるのではないでしょうか。