2019年のイギリス総選挙、与党・保守党が単独過半数を大きく超える情勢予想が明らかになる

 イギリスの『YouGov』が行った12月に行われる総選挙の世論調査で、与党・保守党が単独過半数を大きく超える情勢が示されたと『TBS』が報じています。

 現状の保守党は少数与党であり、民主統一党と閣外協力で政権を維持しています。総選挙に出る保守党の候補者は「ジョンソン首相の離脱協定案に賛成」しているため、来年1月末の離脱が濃厚な情勢になっていると言えるでしょう。

 

 イギリスの世論調査会社は、来月12日の総選挙で与党保守党が過半数を大きく超えるとの情勢分析を発表しました。

 (中略)

 それによれば、与党保守党は定数650のうち359と、過半数を大きく超える議席を獲得する勢いです。最大野党の労働党は、前回2017年の選挙から51減らして211議席、スコットランド地方のみで候補者を立てるスコットランド民族党は、新たに8議席を獲得して43議席との予測になっています。

 

『YouGov』による情勢調査の結果

 『YouGov』が11月26日に発表したイギリス議会総選挙の獲得予想議席数は下表のとおりです。

表:2019年イギリス総選挙の議席予想(11月26日時点)
政党名 支持率 予想議席数
保守党 43% 359
(328〜385)
労働党 32% 211
(187〜238)
自由民主党 14% 13
(9〜20)
スコットランド国民党 3% 43
(29〜54)

 議会の定数は 650 ですが、与党・保守党は 359 議席の獲得が見込まれています。議会過半数は 326 ですから、それを大きく超える予想となっています。

 一方で労働党は議席を減らすことが濃厚です。状況が大きく変化しなければ、イギリスは来年1月末に『ジョンソン首相が取りまとめた離脱協定案』に基づく形でソフト・ブレグジットをすることになるでしょう。

 

『EU 残留派』は「有権者が “戦略的な投票行動” で保守党を過半数割れに追い込める」と主張

 この調査結果を突きつけられたことで、「EU 残留」を訴える『Best for Britain』は有権者に「戦略的な投票行動を採ること」を呼びかけていると朝日新聞が伝えています。

 要するに、「日本の選挙で見られる『野党統一候補戦術』に賭けよう」と同じ状況です。選挙後のことは何も考えていない上、明らかな付け焼刃です。そのため、このような主張が選挙戦の最終盤で支持者に受け入れられる可能性は低いと言わざるを得ないでしょう。

 総選挙は12月12日の木曜日に行われるため、現在の世論調査の結果がそのまま議席数に反映される形が有力であると考えられます。

 ロンドンで発生したテロ事件は「治安維持体制の強化」を訴える要因にはなりますが、「門戸を開けたままにする EU 残留」に傾く要素にはなりにくいことでしょう。

 

『EU 離脱騒動』にようやくピリオドが打たれる可能性

 今回の総選挙での特筆点は以下の部分でしょう。

 保守党の候補者は全員、ジョンソン政権がEUとまとめた新たな離脱案への支持を表明しています。

 保守党の候補者全員が『(ジョンソン首相の)離脱協定案』を支持しているのですから、議会の過半数を保守党が抑えれば、協定案は議会を通過します。そうなると、『ソフト・ブレグジット』という形で離脱騒動に終止符が打たれることになるのです。

 『ハード・ブレグジット』が世界中に与える混乱よりは適切な妥協点と言えるでしょう。先延ばしになっていた「イギリスの EU からの離脱」が12月の総選挙の結果によって具体化するのかが注目点と言えるのではないでしょうか。