報道ステーションが世耕議員の発言で『切り貼り放送』をしたことに対し、BPO はテレ朝に「放送法第9条に基づく訂正放送」を要求すべき

 テレビ朝日の『報道ステーション』が12月10日に報道した「桜を見る会に関する自民党・世耕弘成参院幹事長の発言」が「切り貼りによる印象操作」との批判を当人から受け、翌日の番組でお詫びしたと朝日新聞が報じています。

 しかし、テレ朝の対応は明らかに不十分であり、朝日新聞の擁護論は大きな問題です。

 なぜなら、無関係の発言を繋ぎ合わせた印象操作を行ったからです。世耕議員よりも先にBPO がテレビ朝日に対して「放送法第9条に基づく訂正放送」を要求しなければならない事案と言わざるを得ないでしょう。

 

 テレビ朝日は11日夜、「報道ステーション」が前日に安倍晋三首相主催の「桜を見る会」のニュースを報じた際、自民党の世耕弘成参院幹事長の発言の取り上げ方について、「誤解を招く表現」があったとし、アナウンサーが世耕氏と視聴者に向けおわびした。

 (中略)

 11日の放送の説明では、「良いお年を」の発言は、会見終了後の発言で、内容も今後の会見予定について述べたもので「桜を見る会」とは直接関係ない発言だったとし、富川悠太アナウンサーが「放送ではその説明が丁寧ではありませんでした」と述べた。

 政治とメディアの関係に詳しい駒沢大の逢坂巌准教授は、世耕氏の会見後の発言の引用については「許容範囲だ」と指摘する。

 

自民党・世耕参院幹事長の指摘

 問題の発端は12月10日(火)に放送された『報道ステーション』の内容に自民党・世耕弘成参院幹事長がツイッターで「印象操作がひどすぎる」と “根拠付きで” 指摘したことです。

 主張の内容は「『会見後の発言』を『桜を見る会に関する発言』と絡め、問題を意図的に年越しさせようとしていると印象操作をした」というものです。

 テレビ朝日は文脈が異なる部分を繋ぎ合わせて「年越しをさせようとしている」との内容で番組を放送したのです。これは翌日謝罪に訪れたテレビ朝日の報道局長が認めているのですから、言い訳のできない問題と言わざるを得ないでしょう。

 したがって、11日の放送でアナウンサーが読み上げた “お詫び文” で幕引きを許すのは論外なのです。

 

『別の話題についての発言』を “わざわざ” 繋ぎ合わせた時点で明らかな印象操作

 テレビ朝日は「『別の話題』に関する発言を繋ぎ合わせた」のです。この時点で印象操作と言わざるをを得ないでしょう。

  • 意図的に『別の話題』のシーンが繋ぎ合わされた
    • 極めて悪質な印象操作
    • アナウンサーが(表面的な)お詫び声明を読み上げるだけでは不十分
    • 訂正放送が不可避
  • 『別の話題』のシーンが繋ぎ合わされたが、意図的ではなかった
    • 編集責任者の論理的理解力が絶望的に欠如
    • 現場レベルでは “お詫び” で十分
    • 「編集責任者の解雇」と「組織体制の変更」は不可避

 『別の話題』を繋ぎ合わせ良いなら、“問題発言” を作り出すなど朝飯前です。「主語に使うための話題」と「述語に使うための話題」を組み合わせれば良いですから、難しいことではありません。

 例えば、前者で『韓国』というワードを引き出し、後者で『体罰に対する肯定的な見解への意見』を求めると、繋ぎ合わせることで「韓国+ネガティブな発言」という “問題発言” を生み出すことは容易だからです。

 このような手法を報道機関が採ることは論外ですし、手を染めた報道関係者には厳しい処分が下されるべきでしょう。「お詫びのコメント」で済むレベルではありません。また、印象操作をするほどメディアに対する信頼を下げる要因となるのです。

 しかも、「『桜を見る会』は印象操作による疑惑を作り出さなければ、追求を継続できない些細なレベル」と世間に訴えかけることにもなっているのです。この現実を無視して擁護論を展開することは逆効果と言わざるを得ないでしょう。

 

BPO は世耕参院議員会長よりも先にテレ朝に対して「放送法第9条に基づく訂正放送」を要求すべき

 テレビ朝日は全く関係のない『別の話題』を繋ぎ合わせて放送したのですから、「説明が丁寧ではなかった」とのお詫びで済まされるレベルの問題ではありません。

 印象操作を正当化する擁護論を展開する OB や有識者を登場させて問題を矮小化しようとしているのです。マスコミは自浄作用が働いていない状況にあると言わざるを得ないため、放送法第9条に基づく訂正放送を要求するべきでしょう。

(訂正放送等)

 第九条 放送事業者が真実でない事項の放送をしたという理由によつて、その放送により権利の侵害を受けた本人又はその直接関係人から、放送のあつた日から三箇月以内に請求があつたときは、放送事業者は、遅滞なくその放送をした事項が真実でないかどうかを調査して、その真実でないことが判明したときは、判明した日から二日以内に、その放送をした放送設備と同等の放送設備により、相当の方法で、訂正又は取消しの放送をしなければならない。

 擁護派は「相当の方法で訂正した」と主張するかもしれませんが、数十秒のお詫び声明が “相当の方法” に該当するとは言えないでしょう。なぜなら、「説明が丁寧でなかった理由」にも「全く関係のない映像を繋ぎ合わせた理由」にも言及していないからです。

 最低でも “同等の規模と内容” で訂正することが責務です。しかし、その責務を果たずに逃げ続けることを BPO が容認して来ました。放送事業者の管理体制に不備があることが明確になった訳ですから、経済的懲罰などの罰則規定を明記し、対応を促す必要があると言えるのではないでしょうか。