安倍政権が自衛隊の中東地域への派遣を閣議決定、「エネルギー資源の確保」を確実にするための判断は評価されるべき

 NHK によりますと、政府は中東地域を航行する船舶の安全確保のために自衛隊を派遣すると閣議決定をしたとのことです。

 社会生活を行うためには経済活動が必要であり、そのためにはエネルギー資源を安定して確保する必要があります。日本は石油資源の中東依存度が高すぎるため、自衛隊の中東派遣は必要な措置だと言えるでしょう。

 

 政府は、中東地域で日本に関係する船舶の安全確保に必要な情報収集態勢を強化するため、日本独自の取り組みとして、自衛隊の護衛艦と哨戒機の派遣を27日の閣議で決定しました。これを受けて河野防衛大臣は、防衛省で自衛隊の幹部らに対し、部隊の派遣に向けた準備指示を出しました。

 (中略)

 活動範囲は、オマーン湾、アラビア海北部、バーブルマンデブ海峡東側のアデン湾の、沿岸国の排他的経済水域を含む公海で、イランにより近いホルムズ海峡やペルシャ湾は含まれていません。

 活動期間は準備なども含めて27日から1年間とし、延長する際には国会への報告と、改めて閣議決定を行うとしています。

 一方、不測の事態が発生するなど、状況が変化した場合、海上警備行動を発令して対応に当たるとしています。

 

石油関連の資源は中東地域に大きく依存しているのが日本の特徴

 経済活動するためにはエネルギー資源を確保し続けることが重要です。なぜなら、エネルギー資源がないと産業の動力を確保できなくなってしまうからです。

 また、エネルギー資源が乏しい状態だと、資源の争奪戦が発生し、コストがアップするという問題もあります。だから、必要分を様々な国や地域から「分散して購入すること」が日本にとって重要なことなのです。

 ただ、石油関連の資源は中東地域に大きく依存していることが資源エネルギー庁の『エネルギー白書』からも明らかです。

画像:中東地域に依存している主なエネルギー資源

 原油の中東依存度は 80% 台ですし、LNG は 25% 前後、LP ガスは 60% 強を依存しています。中東での緊張関係が高まってホルムズ海峡が閉鎖されてしまうと、これらのエネルギー資源を日本に輸入することが困難になります。

 したがって、航行の安全を確保するために政府が自衛隊の派遣を決定したことは評価されるべき点だと言えるでしょう。

 

「自衛隊に “必要な権限” を政府が付与しているのか」は厳しくチェックされるべき

 日本の経済活動を維持するために「日本向けのタンカー船を安全に航行させること」が重要になります。輸送業務時の安全対策のコストを消費者も一部負担するのは当然でしょう。

 だから、石油資源などを消費する立場にある日本が自衛隊を派遣して『航路の安全確保』に尽力するのは責務と言えるはずです。

 ただ、そのためには自衛隊に必要な権限を付与しなければなりません。“丸腰” では相手に対する牽制にもならないのですから、不測の事態に見舞われた際には自衛隊員が躊躇なく武器の使用ができるべきでしょう。

 “手足を縛った状態” での派遣は『自衛隊員の盾』を使うことになりますから、自衛官の人権を損ねていることと同じです。武器使用を頑なに拒絶するのであれば、「中東から日本へのエネルギー資源を安全かつ安価に輸送できる代替手段」を提示する責務が批判者にはあると言えるでしょう。

 

エネルギー資源の価格高騰は「一般生活のコスト増」を招く原因

 自衛隊を中東地域に派遣する狙いは「地域情勢の安定化」です。それにより、「中東地域からのエネルギー資源の輸送を滞らせなくすること」が効果として期待できるからです。

 中東地域に部隊を展開することによる費用はかかりますが、エネルギー資源の価格上昇と比較すれば小さな額です。そのため、現場の自衛隊からの要求を満たしたとしても派遣には経済的合理性があると言えるでしょう。

 しかし、“上級市民” は自衛隊の派遣による経済的合理性をあまり感じません。なぜなら、石油関連の資源価格が上場しても自身には影響の生じない生活水準にあるからです。

 自衛隊の派遣に反対する野党の幹部議員や日弁連の上層部がその代表例と言えるでしょう。「日々の経済活動によって積み重ねられた収益」から離れた場所にいる人ほど、『憲法の条文』を守ることに固執し、時代の変化に適応することを拒む傾向が見られるからです。

 彼らは「政府が予算を出して貧困層をケアすべき」と主張はしますが、「予算の原資になっているのは何か」という点に対する認識が明らかに欠落しています。だから、リベラル派の主張が有権者に支持されないのでしょう。

 

 補助金で “買収” するよりも、「自分の仕事が評価された」という満足感に加えて給料が上がった方が政権に対する評価は高くなるでしょう。「有権者のプライドを満たす政策」という視点に立った現実的な政策案を提示することが求められていると言えるのではないでしょうか。