韓国の憲法裁判所が「慰安婦合意は政治的な合意で効力は不明」と判決を下し、“合意前の状況” に韓国側が戻れる下地を作る

 NHK によりますと、韓国の憲法裁判所が12月27日に「慰安婦合意は政治的な合意に過ぎず、効力も不明」との判決を下したとのことです。

 この裁判は「合意が違憲である」と訴える原告に対し、裁判所は「日韓政府間の政治的合意であり、(元慰安婦である)原告の(請求する)権利を妨げるものではないから訴えを棄却する」という判断を下したのです。

 韓国が身勝手な論理を振りかざしているのですから、日本は相手をしてはなりません。「最終的かつ不可逆的に解決した」と何度も繰り返し言い続ける必要があると言えるでしょう。

 

 慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」を確認した2015年の日韓合意について、元慰安婦の女性などが「韓国の憲法に違反する」と訴えていた裁判で、韓国の憲法裁判所は27日、日韓合意は政治的な合意にすぎず、効力も不明だとしたうえで、裁判の対象にはならないとして訴えを却下しました。

 

韓国の憲法裁判所は「『慰安婦合意』には法的拘束力はない」と認定

 韓国側が主張したいのは「(国会などでの承認が要求される)『条約』ではないのだから、2015年に締結された『慰安婦合意』には法的拘束力がなく、行動を制限されない」というものでしょう。

 このロジックは韓国国内でなら、通用はするでしょう。日本側は『合意』で定められた項目を完遂していますから、ゴネる韓国に付き合う必要はありません

 また、韓国の行動については「『最終的かつ不可逆的に解決』と二国間で合意したにも関わらず、『合意は不当』だとか『効力は不明』などと後になって言いがかりを付けられている」と国際社会に向けて発信し続けるべきでしょう。

 なぜなら、そうすることで「韓国は国家間の合意を平気で破棄する国」とのメッセージを送ることになるからです。

 G20 などの場で締結されるのは『合意』です。「『合意』を守る必要はない」と国内司法が判断を下す国と『合意』を結ぶことにメリットを見出すことは不可能です。したがって、韓国に対して配慮を施す意味は日本側にはないと言えるでしょう。

 

『慰安婦合意』の存在を司法が消したことで、韓国は “合意締結前の状況” に戻れる

 おそらく、韓国政府は『慰安婦合意』が締結される前(= 2015年初頭)の立場に戻ることでしょう。これは憲法裁判所が判決を下した前日に高等裁判所が以下の和解案を提示しているからです。

 原告側によりますと、この裁判について、ソウル高等裁判所は26日、「韓国政府は合意が真の解決ではないことを認め、元慰安婦の名誉回復のために内外に向けた努力を続ける」という調停案を示したとしたうえで、この調停案を受け入れる方針を明らかにしました。

 調停案の内容は「韓国政府は『合意』が真の解決でないと認め、内外に向けた努力を続ける」というものです。韓国政府は調停案を受け入れる方針ですから、前述の「憲法裁判所の判決」を踏まえると、再交渉を要求する可能性が高いと言えるでしょう。

 つまり、「2015年の『慰安婦合意』では韓国国内の理解を得られていないから、納得できる解決策を示せ」と主張することが考えられます。

 駐日韓国大使が「親韓の世論醸成のために予算を重点配分した」と語っていましたから、そうした働きかけを受けた政治家やマスコミが「韓国との良好な関係のために話し合いをすべき」と譲歩を求める言動をすることになるでしょう。そのため、そのような発言に目を光らせることが重要となるはずです。

 

日韓基本条約すら守らない国と『新たな合意』を結んだところで「守られること」は期待できない

 とは言え、世間一般に韓国側の主張に対する共感者が増える可能性は低いと言わざるを得ないでしょう。なぜなら、韓国は『日韓基本条約』を守っていない状況にあるからです。

 (韓国の)憲法裁判所は「『慰安婦合意』は条約ではないから違憲か否かを審査するに値しない」との判断を下しました。

 『条約』すら守っていない状況にある国と『合意』を締結したところで、「いつ『合意』を一方的に破るのか」が注目点になるだけです。

 「合意締結」という “一時的な成果” を得たい政治家(や官僚)は交渉に前向きになる動機はありますが、合意が破棄され続けた影響を受ける日本側の国民には何のメリットもありません。だから、韓国の実態を知ってしまった日本国民からの印象が悪化しているのです。

 「変わろうとしない韓国」に対する評価は低いのですから、「韓国側の主張に理解を示そう」との従来的なアプローチは逆効果になるだけです。来年4月に総選挙を控える韓国ではムン・ジェイン大統領が「司法の判断」を理由に『従来の原則論』を打ち出し、それを日韓のメディアが称賛する記事を配信することでしょう。

 その茶番劇に日本側が付き合う理由はありません。「最終的かつ不可逆的に解決済みであり、韓国国内の問題」と突き放し続ける必要があると言えるのではないでしょうか。