フランチャイズ契約を一方的に無視して騒ぎを起こし続けた大阪のコンビニオーナーが契約解除で年明けから窮地に立たされる

 コンビニチェーンの営業時間を本部の了承を得ずに一方的に短縮したオーナーとの加盟店契約をセブンイレブンが予定どおり解除することを通知したと NHK が伝えています。

 本部とオーナー間でのフランチャイズ契約をオーナー側が一方的に破ったのですから、本部側がその姿勢に理解を示すことはないでしょう。なぜなら、同様の “闘争手段” に打って出ることでフランチャイズ権を持つ本部側が不利益を被ることになるからです。

 したがって、この東大阪市のコンビニオーナーは「存在が世間に知れ渡った後の対応を誤った」と言わざるを得ないでしょう。

 

 セブン - イレブン・ジャパンは、本部との合意を得ずに営業時間を短縮している大阪・東大阪市のコンビニのオーナーと大阪市で面談し、予定どおり今月31日で加盟店契約を解除すると伝えました。

 (中略)

 オーナーは記者団に対して店の明け渡しを拒否する考えを示し、店内に残された商品を売って営業を続けたいと話しました。

 そのうえで裁判所にオーナーとしての地位の確認などを求める仮処分を申し立てて本部側と争う考えを強調しました。

 

「夜間帯は営業しても収益が悪い」との具体的なデータを出して “時短営業のメリット” を訴え切れなかったことがマイナス

 オーナーの『目的』は不明ですが、途中で道を誤ったことは否定できない事実でしょう。本部の合意を得ずに営業時間の短縮に踏み切るケースは想像できます。

 例えば、郊外や田舎などベッドタウン的な要素の強い地域で営業するコンビニは「夜間帯が稼ぎ時」というケースは稀でしょう。この場合、売上高を気にする本部は「営業」を指示し、収益が気になるオーナーは「閉鎖」を強行することが起こり得るからです。

 「このような状態で本部と揉めている」と世間に知らしめていれば、本部側が折れていたでしょう。なぜなら、赤字を出している中で加盟店に過剰労働を強いているからです。

 つまり、本部側にも「収益性が悪い夜間帯は営業しない時間帯を作ることを認める」と譲歩の余地があったのです。また、「行政や本部が『24時間営業』を利用した社会貢献をしたいなら、その分のコスト負担が必要」とオーナー側も主張できたのです。

 これらを上手く使えなかった時点で不味い対応をしていたの言わざるを得ないでしょう。

 

“客を大声で怒鳴り、ネット上で本部を誹謗中傷するオーナー” と加盟店契約を結びたいフランチャイズチェーンは存在しないだろう

 オーナー側は「『時短営業』を要望したことの見せしめ」を現在は押し出す方向を採っていますが、そもそも接客業に従事するための資質を欠いている可能性があります。なぜなら、以下のように報じられているからです。

 この店舗には、「大声でどなられた」などという利用客からの苦情が数多く寄せられ、その件数は他の店舗と比べて極めて異常だとしています。

 また、オーナーはツイッターで本部をひぼう中傷する内容の発信を継続し、本部の社会的信用を毀損して信頼関係を損なっているとしています。

 これはセブンイレブン側が20日に加盟店契約の解除を通告したことを伝える NHK のニュースですが、利用客からの苦情内容が具体的に言及されています。

 フランチャイズチェーンである『セブンイレブン』の看板を使わせてもらっている立場のオーナーが利用客を “正当な理由” もなく怒鳴るのは契約解除の大きな理由となるでしょう。なぜなら、ブランドイメージを損ねる行為をしているからです。

 利用客が店内で悪さをしているなら、店舗のオーナーが怒鳴ることは正当なことです。

 しかし、このオーナーは「接客態度を改めるとの誓約書を提出すること」で加盟店契約の解除撤回を要望しているのですから、オーナー個人に非があると言わざるを得ないでしょう。

 

『セブンイレブン』の看板が使えなくなる2020年1月以降の営業はどうするのか

 セブンイレブンは当該オーナーに対し、12月31日付で加盟店契約を解除すると通告しています。したがって、2020年1月1日以降に『セブンイレブン』の名称を使った商売をすることは不可能になるでしょう。

 なぜなら、『セブンイレブン』として営業をしてしまった場合は「無断で他者の商標を利用すること」になってしまうからです。

 もちろん、裁判所が「『セブンイレブン』と加盟店契約を結ぶオーナーである」と認定すれば、立場は保証されます。しかし、仮処分を得るにしても時間はかかりますし、それまでは無断利用ですから得策とは言えません。

 また、当該オーナーが本部側から「明け渡し」を要求されていることも気になるところです。土地や建物はオーナー個人のものではないなら、不法占拠になってしまうからです。

 コンビニチェーンの本部と “闘争” に打って出たとしても、利用客は味方にはならないでしょう。なぜなら、一方的に怒鳴られた利用客は当該オーナーを排除して欲しいと願うからです。

 

着地点を作らなかったオーナー側が追い詰められたに過ぎない

 『最適化された本部の方針』に異議を唱えるなら、“事前に” 落とし所を用意しておく必要がありますし、自らの主張に共感してくれる仲間が現れやすい主張内容を効率的に宣伝しなければなりません。

 「収益性が悪い夜間帯は営業しない時間帯を作ることを認める」との例外項目を作り、東大阪にある該当の店舗をその条件に含めることが最も現実的で、双方の評価を高めることができた解決策だったと言えるでしょう。

 ですが、カードの出し方が不味く、望んだ成果は得られませんでした。

 ただ、それだけのことなのです。“闘争路線” で挑めば、相手も容赦なく返り討ちにしてきます。自らの主張を一方的に相手に飲ませることは『話し合い』ではないのです。

 交渉下手な活動家が結果に不満を言っているだけと世間から冷ややかな目線が注がれて終わる事案になると言えるのではないでしょうか。