保釈や仮釈放は「国籍を問わず『GPS 装置』の着用」を絶対条件とし、外国人が対象の事例は「着用を暫定的な滞在許可」に法と運用を改めるべき

 朝日新聞などによりますと、森雅子法務大臣が7日の記者会見で「保釈中の逃走」も処罰できるよう法改正を検討していると明らかにしたとのことです。

 ただ、『GPS 装置の着用』も義務化する必要があるでしょう。なぜなら、保釈や仮釈放を得た人物は「何の制約も科せられていない」のが現状なのです。

 これまでは弁護士が GPS 装置の積極的な利用に反対して来ましたが、被告や受刑者の逃走をアシストしている状況を浮き彫りにしたのですから、責任を追求するとともに制度を改善する必要があると言わざるを得ないでしょう。

 

 森雅子法相は7日の記者会見で、保釈中の被告が逃走した場合に処罰できるようにするなど、逃走防止に向けた法改正を検討していることを明らかにした。

 (中略)

 法務省は、保釈された被告が逃走した場合でも同罪を適用できるようにするため、刑法などの改正を検討してきた。法制審では、位置情報を把握するため、全地球測位システム(GPS)を持つ機器を被告に身につけさせることなども検討課題になりそうだ。

 

ゴーン被告の逃亡には “弁護士のアシスト” が大きな役割を果たした

 ゴーン被告には「庶民から見れば超高額の保釈金」が設定されていました。しかし、本人の資産額から見れば、保釈金の額は「チップ程度」に過ぎません。それに加え、以下のアシストを行っていたのです。

  • ゴーン被告が『正規のパスポート』を1通保持
    • 鍵付き
    • 弁護団は「すべて預かっている」と主張も、「保持申請が認められたことを失念していた」と説明を一転
  • 日産が付けていた警備を刑事告訴をチラつかせて撤退させる
    → ゴーン被告は警備が消えた翌日に姿を消す

 人権が制限される被告や受刑者に『自由』を与えれば、逃亡を図る人物が出てくることは避けられません。

 国際化が進んだ現代では『性善説』は通用しません。それを掲げて実行する正直者だけがバカを見ます。『性悪説』で対処しなければならないのですから、法改正や運用を変更する必要があると言えるでしょう。

 

「GPS を使った電子装置の導入」に反対してきたのは『人権派弁護士』である

 海外では導入実績がある『GPS 装置』ですが、日本国内では導入や運用が進んでいません。その理由は「弁護士が『GPS 装置』の利用拡大に反対しているから」です。

 根拠となるのは東京弁護士会が2011年5月に発表した会長声明です。

 今後、位置把握装置の装着等が仮釈放の条件とされるなど、他の場面での位置把握装置の利用の拡大につながり、受刑者に対する過度の自由の制約に道を開くのではないかとの懸念もある。

 よって、当会は、このような法務省令の改正には反対であり、仮に導入するにしても、試行期間を設け、且つ、運用に際しても、外部通勤や外出・外泊を希望する受刑者に対し、位置把握装置の装着等を事実上強制することがないよう慎重の上にも慎重を期することを強く要望する。

 「受刑者の外出時に『GPS 装置』を着用させる」との法務省令が改正されることに反対する声明を発表したのです。

 人権侵害を理由に「受刑者の外出を(『GPS 装置』を使って)監視するな」と要求していたのです。しかも、「『GPS 装置の着用』が仮釈放の条件にされる」と当時から懸念しています。

 人権派弁護士らが主張する『人権』に配慮すると、裁判で有罪判決が確定するまでは被告の身柄を一切拘束できなくなってしまいます。「外出が認められた受刑者の監視は人権侵害」となるのですから、『犯罪者天国』となることは避けられないでしょう。

 したがって、人権派弁護士の主張する『人権侵害』を満たそうとするだけ『公共の福祉』が脅かされることになるのです。彼らは「被告人の数が多いほどビジネス機会が増加する利害関係者」であり、配慮してはならない存在なのです。

 

『GPS 装置の着用』が義務付けられていたなら、「ゴーン被告の逃亡」はハードルがかなり高まっていただろう

 『GPS 装置の着用義務』は犯罪行為を画策する側からすれば、厄介な存在です。なぜなら、現在の居場所がリアルタイムで監視者に筒抜けですし、装置を外せば異常事態として通報が行くからです。

 ゴーン被告のケースですと、「空港に接近している」との事実があれば、現場では警戒のレベルを上げていたでしょう。また、『GPS 装置』を自宅に置き忘れたなら、保釈の条件である「着用義務」に違反することです。

 万単位に及ぶ保釈中の人物をすべて監視することは不可能です。それに加え、入管で拘束されている不法滞在中の外国人が仮釈放という形で “自由に” 生活ができているのですから、『GPS 装置の着用』を条件にすることは必要不可欠と言わざるを得ません。

 裁判所は『治安維持の責任』は負いませんし、「保釈中の被告が罪に手を染めたのは本人の責任」と開き直ることができます。

 しかし、そのツケは世間一般に “しわ寄せ” となるのです。刑が確定した受刑者や入管の収容者ですら、自由に社会を闊歩できることはおかしいと言わざるを得ないでしょう。「保釈中の人物による再犯」も無視できるものではないため、問題が浮き彫りになった箇所は是正策が講じられるべきと言えるのではないでしょうか。