連合の神津会長、「年功序列および終身雇用を見直すな」と組合員のメインである中高年正社員の “逃げ切り” のために奔走中

 NHK によりますと、連合の神津里季生会長が記者会見を開き、今年の春闘で「2% のベースアップ」を求める考えを示したとのことです。

 これは経営側が求める「職能給」や「成果給」とは異なります。神津会長は「働く者すべてのため」と述べていますが、実態は「組合員の多くを占める中高年正社員の逃げ切りのための詭弁」と言わざるを得ないでしょう。

 労働組合である連合の加盟率が低下する一方であることから、「働く者すべてのため」との主張が口先だけに終わっていると言えるからです。

 

 神津会長は、「一律に従業員の賃金を引き上げることはなくなっており、それが格差を生んでいることを深く反省するべきだ。現状の賃金制度をわかったうえで発言をしてもらわないと誤解を生む」と批判しました。

 また、経団連が新卒一括採用や、終身雇用などの日本型雇用システムの見直しを求めていることについて、「すでに正社員以外で働く人が労働者の4割を占め、人を育てるといった日本的雇用の良い部分が失われている」などと述べ、否定的な考えを示しました。

 

育てた人材が活躍できる期間が極端に短くなっている現代で『日本型雇用』は通用しなくなっている

 『日本型雇用』が通用したのはバブル以前のことです。なぜなら、企業の寿命が長かったからです。つまり、“企業が育成した人材” が長期に渡って第一線で活躍することができました。

 当時の社会情勢では『日本型雇用(年功序列&終身雇用)』を維持することが「最も合理的な経営判断」でしたし、間違いではありません。

 しかし、現在は企業の寿命が短くなっており、“個人が習得した技能” が通用する期間も短くなっています。そのため、収益を出すことを目指すのであれば、「『通用する技能を持った個人』を入れ替え続けること」が必要不可欠です。

 この現実から目を背け続けて来た結果が平成の30年間で日本が一人負けの状況に陥ってしまった原因の1つと言えるでしょう。

 

成果を出した人材が「年齢」や「勤続年数」を理由に評価されない人事制度であることは問題

 連合の組合員は「大企業の正社員」が中心です。また、組合員の組織率が若い世代を中心に低下しているという問題を抱えています。

 年功序列や終身雇用に基づく『日本型雇用』は中高年の正社員にとっては「手放したくない既得権益」と言えるでしょう。なぜなら、有能な社員が稼いだ報酬を自分たちに付け替えてくれる制度だからです。

 有能な若手社員はどれだけの成果を残そうが、評価の基準は「年齢と勤続年数」です。報われないことが目に見えている企業を魅力に感じる新卒求人者は少数派のはずです。

 バブル期まではそれでも通用したでしょう。しかし、企業の寿命が短くなった現代では「『時代が必要とする技能を持った人材』を補充し続けられない状況」に陥っている企業の経営は厳しくなります。

 『日本型雇用』を採用している企業では従業員に退職するメリットはありません。長く居続けるほど従業員が得られる恩恵は大きくなるのですから、『枠』が空くことも期待できないのです。

 “時代遅れの技能” しか持たない従業員を切って新陳代謝を促すことすら困難な状況では企業の競争力が落ちることは避けられません。連合は企業を潰してでも自分たちの取り分を守るために活動しているのですから、影響力が低下するのは当然と言わざるを得ないでしょう。

 

「連合は既得権益に守られた『大企業の中高年正社員』のために働く」と見切られている現状を直視すべき

 連合(や支持を受ける野党)にとっては残念なことですが、連合がかつての影響力を取り戻すことはないでしょう。なぜなら、連合は組合員の中心である「大企業の中高年社員」のことしか頭にないからです。

 「大企業の中高年社員」は『日本型雇用』による恩恵を最大限享受した側であり、現在進行形で “搾取している側” です。

 有名大企業であっても若い現役世代は有能・優秀であっても基本給が低く抑えられています。また、解雇4要件に守られた正社員を切れないため、大企業に就職できる人数も制限されている状況にあります。

 つまり、若い世代は「どれだけ成果を残しても報われない可能性が高い」のです。その状況から目を背け、「働く者すべてのための労働組合」などと連合のトップが口にしたところで茶番に過ぎないのは当たり前です。だから、若い世代を中心に組織率が低下の一途を辿っているのでしょう。

 

 ダーウィンの唱えた『進化論』と同じです。生き残るためには環境に合わせて「変化」を選択しなければならないのです。しかし、既得権益に守られた(主に中高年の)正社員が中心となって組織する労働組合である『連合』は変化を拒んでいます。

 どのような結果が待ち受けているかは火を見るよりも明らかでしょう。ジリ貧状態にある連合がキレイゴトを吐き、“お仲間” が拍手喝采を送る痛々しい場面を見せられているだけと言わざるを得ないのではないでしょうか。