立憲民主・安住国対委員長が国会内で “野党目線の新聞記事を高く評価した採点” を張り出し、マスコミへの取材規制を匂わせる

 NHK によりますと、国会で立憲民主党が使用する部屋の扉に新聞各社が報じた記事を評価した記述がされた紙面が張り出され、取材規制であるとメディアが問題視する一幕があったとのことです。

 各紙の記事に対する批評を行ったのは安住淳・国会対策委員長です。野党第1党の要職にある政治家が他党の議員を「くず」や「0点」という時点で論外ですし、メディアを「出入り禁止」にすることは国民の『知る権利』を損ねるものです。

 野党の行為を甘やかして来たマスコミであっても、本件に対しては厳しい批判を向けなければならないと言わざるを得ないでしょう。

 

 立憲民主党の国会内にある部屋の扉に、新聞各社の政治記事を評価したコメントが書き込まれた紙面が一時張り出され、報道各社は、取材規制とも受け取れるとして問題視しました。

 (中略)

 合意に至らなかった国民民主党などとの合流について、「それでも結集を諦めるな」と題して書かれた記事には、「すばらしい」というコメントが、また、3日の予算委員会での「桜を見る会」をめぐる野党の質問の記事には花丸のマークが、それぞれ記されています。

 一方、自民党の岸田政務調査会長の質問を取り上げた記事には、「くず 0点 出入り禁止」というコメントのほかバツ印が、「政府に注文 自民存在感」という記事には「論外」と書かれています。

 

新聞6社の記事と安住国対委員長(立憲民主)の記事への評価

 問題視される行為があったのは2月4日のことです。立憲民主党の部屋の扉に “新聞6社が同日に政治面で掲載した記事に安住国対委員長の評価が書かれた紙面” が張り出されていたのです。

 ちなみに該当する6社の記事と安住国対委員長の評価は以下のとおりです。

  • 東京新聞: 国民民主党との結集をそれでも諦めるな
    → すばらしい、100点
  • 朝日新聞・毎日新聞: 『桜を見る会』を追求する野党を取り上げる
    → 花丸のマーク
  • 読売新聞: 「野党、政策論争に注力」
    → ギリギリセーフ
  • 日経新聞: 岸田氏「中間層に分配を」
    → クズ 0点 出入り禁止
  • 産経新聞: 「政府に注文 自民存在感」
    → 論外

 権力者である国会議員のそれも国対委員長が “自ら” マスコミの記事を採点しているのです。立憲民主党が報じて欲しい記事を書いたマスコミを評価する一方、与党の姿勢を評価する論評を書いた新聞社には「出入り禁止」と締め出しを宣言しています。

 安住国対委員長の行為は露骨な圧力であり、『報道の自由』を損ねる問題行為です。民主党は過去に松本龍・復興大臣(当時)が「書いたら、その社は終わりだから」と恫喝した前科があります。

 こうした行為が野放しにされたままだと、国民の『知る権利』が損なわれることになるのです。日頃から『報道の自由』を主張するマスコミは安住国対委員長の狼藉に対し、厳しい批判を浴びせ、謝罪と再発防止に向けた対策を語らせる必要があると言えるでしょう。

 

日経新聞の紙面を「0点」と評価するのだから、立憲民主党の支持率が伸び悩むは当然

 今回の騒動で明らかになったのは「立憲民主党(など野党)の支持率が伸び悩む理由」です。安住国対委員長が「0点」と評価した日経新聞の記事は以下のものです。

 岸田氏は衆院予算委の冒頭で新型肺炎問題を取り上げたうえで、経済政策に時間を割いた。アベノミクスの成果を認めつつ「高所得者は株価上昇、低所得者は最低賃金引き上げや失業率低下で恩恵があった。問題は中間層だ」と指摘した。

 (中略)

 岸田氏側近は中間層について、年収400万~500万円の所得階層に加え「中小企業や地方、若者層も入る」と話す。若者層は20~30歳代の子育て世代だ。

 中間層は教育、医療、住宅の3分野にかかる費用が重いとみる。経済協力開発機構(OECD)が2019年4月に公表した報告書で、日本など17カ国で所得(中央値)が16年までの約20年間で3割伸びる一方、住宅費や教育費は所得の伸びを上回っている。

 中間層は高所得層や低所得層と比較すると恩恵が少ないという現状があり、岸田議員は「中間層が恩恵を得られる政策も必要」と訴えたのです。

 この質疑を日経新聞が記事として取り上げたのですが、安住国対委員長は岸田文雄議員を「クズ」と侮辱。「中間層に分配を」の見出しは「0点」と評しました。これは党勢拡大の観点からは大失態と言わざるを得ないでしょう。

 なぜなら、有権者の多数派は中間層だからです。その中間層はアベノミクスや補助金助成による恩恵を受けているとは言い難く、岸田議員の主張が実現することを多かれ少なかれ期待しているはずです。

 しかし、安住国対委員長はその方針を「0点」と評し、全否定したのです。これでは立憲民主党が中間層からの支持を期待することは絶望的ですし、支持率の伸び悩みは当然のことです。

 

野党議員であっても、与党議員と同じ有権者から選出された権力者である

 狼藉に目こぼしをするほど、マスコミの信用も失墜するのです。問題行為には与野党に関係なく批判しなければなりませんし、与党の国対委員長が同じことをしていればメディアは大騒ぎしていたことでしょう。

 『同じ基準』で評価をしないのであれば、それは「単なる依怙贔屓(えこひいき)」です。野党議員であっても国会議員は多くの支持者などからの投票によって選出された “権力者” なのです。

 その自覚を持たない人物は野党であったとしても国会議員には不適格です。また、「野党を育てる」との理由を掲げて野党議員の問題行為に対して不問とする記事で擁護するマスコミも同罪です。

 「(野党らの言いかがり等で『貧乏くじ』になっている)『くじ』を引け」との “業務命令” を受ける可能性が中間層に位置する多くの社会人には現実的に存在するのです。そのような状況に追い込まれると救いの手が差し伸べられるのは絶望的ですから、野党を擁護する社会人は少数派なのです。

 メディアへの取材規制を公言した立憲民主党(・安住国対委員長)の姿勢はマスコミが社説で断罪すべきでしょう。日本国内における権力者である野党議員の行為を監視するという本来の役割をマスコミは果たす必要があると言えるのではないでしょうか。