「日本も汚染地域に認定しろ」と与党議員が騒いだ韓国で新型コロナウイルスの感染者数が2月20日時点で日本を上回る100人超を記録してしまう

 朝鮮日報によりますと、韓国で2月20日に確認された新型コロナウイルス感染症の感染者数は55人となり、合計で106人になったとのことです。

画像:韓国国内での新型コロナウイルス感染確認者数(朝鮮日報より)

 19日までに確認されていた感染者数が51人でしたから、「アウトブレイクが起きている」と言わざるを得ないでしょう。与党議員が「日本も中国と同じ汚染地域に指定すべき」と問い詰めた翌日に皮肉な結果が待ち構えていた結果となってしまいました。

 

 武漢コロナウイルス感染症の患者が1日で55人増え106人になった。韓国国内で初の感染者が確認されてから1カ月後に当たる2月20日に確認された感染者数は、1カ月間の合計感染者(51人)よりも多い。同日、国内初の死者も出たことから、武漢コロナ事態は非常局面に入った。

 (中略)

 最初の感染源が分からない新天地大邱教会の信徒からも43人の感染が確認され、大邱・慶北地域はもちろん、全国が非常事態だ。信徒たちは京畿道果川市や全羅北道全州、済州などを行き来しており、すでに症状も出始めているからだ。疾病管理本部と大邱市は31番目に感染が確認された患者と一緒に礼拝に参加した1001人を全員自宅隔離措置にしたが、そのうち396人とは連絡がつかない状態だ。

 

「(新興宗教の)礼拝に “症状を自覚した信者” が参加していたこと」が感染拡大の大きな要因

 韓国で31番目に確認された60代・韓国人女性(= No.31)が新興宗教『新天地』の信者で、2月9日と16日に南東部のテグ(大邱)にある『新天地』の教会で礼拝に参加していました。

画像:韓国・テグの位置関係

 No.31 の女性は2月7日に「のどの痛み」を訴えていたとのことですから、2月7日の時点で新型コロナウイルス感染症を発症していたのでしょう。

 しかし、当人に自覚がなかったため、9日と16日の礼拝に参加。テグで行われた礼拝には信徒1000人が参加していたのですから、(そこで No.31 の女性から周囲への)感染が急拡大したとのだと考えられます。

 韓国国内で生活していたと思われる No.31 の韓国人女性がどのような経路で感染したかは現時点では不明ですが、テグを始めとする韓国全域がアウトブレイク(= 一定期間内に特定の地域・人間集団で予想以上の感染者が発生すること)になったのは事実です。

 そのため、「韓国の状況は日本よりも大きく悪化してしまった」と言わざるを得ないでしょう。

 

「日本も汚染地域に指定すべきだ」と主張していた韓国の与党議員にとっては皮肉すぎる展開に

 今回の新型コロナウイルス問題では韓国の与党議員が「日本も中国などと同じ(新型コロナの)汚染地域に指定すべきではないか」と言及していたことを朝鮮日報が2月19日付で報じています。

 共に民主党の鄭春淑(チョン・チュンスク)議員は同日、国会保健福祉委員会全体会議に出席した朴凌厚(パク・ヌンフ)保健福祉部長官に「日本でコロナ19の市中感染者が増加している」とした上で「(日本も)中国などと同じく汚染地域に指定すべきではないか」と指摘した。

 この質疑にパク・ヌンフ保健福祉部長官は「十分に上手くやっていると推測しているが、市中感染の事例が増えるようなら別途の措置を講じる」と返答しています。パク長官の答弁が極めて妥当なものですし、方向性も政府が採るべきものとして適切なものです。

 仮に “日本全国の津々浦々で雨後の筍のように感染者が発生している” なら、『汚染地域』に指定し、日本から韓国への渡航は少なくとも一時的に制限すべきです。これはそのようにしないと、韓国国内の病床数が「日本からの訪韓感染者」で埋められてしまうからです。

 医療ツーリズムを受け入れる国はあっても、“感染難民” を受け入れる国はありません。この現実をシビアに判断することが政府に求められていることと言えるでしょう。

 

アウトブレイク発生中の疑いが強い韓国からの訪日客にも中国と同じ検疫基準で日本は臨む必要がある

 2020年2月21日時点において、韓国では『アウトブレイク』の定義である「一定期間内に特定の地域・人間集団で予想以上の感染者が発生する」という状況が発生していると言えるでしょう。

  • 一定期間: 2月中旬頃から現在まで
  • 特定の地域: 韓国南東部・テグ(大邱)
  • 特定の集団: 新興宗教『新天地』の信徒

 つまり、テグ(大邱)やキョンサン(慶尚)北道を中心に新型コロナウイルス感染症が蔓延し、それが韓国全土に広がりつつある状況にあるのです。したがって、韓国からの訪日者や帰国者を中国からの来日・帰国者と同じ検疫水準でチェックする必要があるはずです。

 感染への対応次第によっては韓国・テグ(大邱)は中国・武漢と似た状況に陥る可能性は十分にあります。そのため、警戒レベルを引き上げておく必要はありますし、“発熱が確認された人物” の入国は拒否できるようになっていなければならないと言えるのではないでしょうか。