新型コロナ: 厚労省が「感染拡大のペース鈍化」と「患者用病床数の確保」を目的とした『基本方針』を示すも、不安を煽るマスコミらが妨害に走る

 厚生労働省が2020年2月24日に新型コロナウイルス感染症の専門家会議を開き、「基本方針の具体化に向けた見解」を発表しました。

 「ここからの 1〜2 週間が『急速な拡大』か『収束』かの瀬戸際」と表明しており、「感染拡大のスピード抑制」と「重症者と死者の発生数を減らすこと」を目標としています。

 見解や方針は現実的ですし、効果は見込めるでしょう。しかし、不安を煽った方が収益を得られるマスコミはパニックを先導する報道をする傾向があります。そのため、『事実』と『風評』の “力比べ” になるでしょう。

 

水際対策の目的はどの国も同じ

 新型コロナウイルス感染症の水際対策を行う目的はどの国でも(基本的に)以下のものでしょう。

画像:新型コロナウイルス感染症の水際対策と狙い

 『新型コロナの患者数』が『受け入れ可能人数(= 病床数)』を上回ると、本来の医療サービスを提供することが困難になります。

 病気の人に対する「適切な医療サービスの提供」が困難になるのですから、患者が重症化するのは避けようがありません。場合によっては死者も出るでしょう。その事態を回避するために「ピーク時を遅らせた上で『患者数の最大値』を『病床数』よりも低くすること」が求められているのです

 「発表された基本方針はその方向性に合致しているか」が唯一の評価項目と言えるでしょう。

 

新型コロナウイルス感染症について判明している事実

 厚労省(の専門家会議)が2月24日に発表した新型コロナウイルス感染症について判明している事実をまとめると以下のようになります。2月上旬時点で判明していた内容から大きな変化はありません。

  • 感染者の状況
    • 当初: 風邪やインフルエンザと同じ症状が起きる
    • 事実1: 特異的治療法はなく、症状を和らげる対処療法が中心
    • 事実2: ほとんどが無症状ないし軽症。回復者も既に存在
    • 事実3: 発熱や呼吸器系の症状は1週間前後持続
    • 事実4: 一部の症例(基礎疾患や高齢者)では重症化するケースあり
  • 感染経路
    • 事実1: 飛沫感染と接触感染が主体
    • 事実2: 空気感染は起きていないと考えられる
    • 事実3: 感染力と重症度に比例関係がなく、対応が難しい
  • PCR 検査
    • 事実1: 新型コロナウイルスを検出できる唯一の方法
    • 事実2: 「ウイルス対策」として有効でない
  • 医療機関の状況
    • 事実1: ダイヤモンド・プリンセス号の患者で首都圏を中心にした医療機関の多くの感染症病床は埋まっている
    • 事実2: 感染を心配する人が押し寄せると医療提供体制の混乱に拍車がかかる
    • 事実3: 医療機関が感染を拡大させる場所になりかねない

 世間一般が持つ認識として「風邪やインフルエンザと同じ症状が出る」というもので十分です。ただ、症状が発生する前でも周囲に感染させることが効果的な対応を難しくしている状況があります。

 風邪やインフルエンザは “免疫力が弱まっている時” に感染すると、重症化しやすくなります。

 肉体的な疲労を抱えていれば、免疫力は通常よりも弱くなります。この条件に該当する場合は健康な若者でも感染や重症化のリスクがあると言えるでしょう。基礎疾患を抱えている人や高齢者は「免疫力が一般的な人よりも恒常的に弱い状態」です。

 だから、重症化が起こりやすく、行政からも「注意するように」との発信が繰り返し行われているのです。

 

『PCR 検査』が陽性でも陰性でも「提供される医療は対処療法」に変わりはない

 毎日新聞は「全員に『PCR 検査』を受けさせて安心させるべき」と主張していますが、これはナンセンスです。なぜなら、『PCR 検査』の結果が陽性・陰性のどちらであっても、患者に提供される医療は「対処療法」で変わらないからです。

 『PCR 検査』を全員に対して行うことへの重要性はツイッター・ユーザーの Taka 氏が感度と特異性の点から問題があることに言及しており、「闇雲な全員検査は不要」と言わざるを得ないでしょう。

 目安となるのは「呼吸症状が悪化したかどうか」であり、息苦しさを感じたなら、速やかに医療機関を受診すべきです。また、そうした症状を本当に訴えている人々のために、医療機関のリソースに余裕を持たせることが重要と言えるでしょう。

 個人でできる最も効果的な予防策は「きちんとした手洗いやうがい」です。通勤や通学で人混みを避けることは無理な場合がありますから、こまめに手洗いやうがいをする習慣を付けるべきと言えるはずです。

www.youtube.com

 

 イギリス船籍である『ダイヤモンド・プリンセス』で発症した大量の患者を引き受けてしまったため、首都圏の医療機関には新たな重症患者を受け入れる余力はもう残っていないでしょう。この状況で「全員に『PCR 検査』を」とマスコミや野党が騒ぐことは医療崩壊の呼び水となってしまう恐れがあります。

 この場合は “弱者” の命から途絶えていくことになりますが、「 “生産価値のない弱者” の絶対数を減らすことで膨大な医療コストを削減する」との狙いで実行するのであれば立派な『政策』です。マスコミや野党はこのような政策提言をしていると言えるのではないでそうか。