『ダイヤモンド・プリンセス』における新型コロナウイルス感染症の患者数などの現状(2020年2月25日)
2月3日に横浜港に寄港したイギリス船籍のクルーズ船『ダイヤモンド・プリンセス』で新型コロナウイルス感染症の患者が発生したことを報じるメディアは「感染者の数(= PCR 検査陽性反応数)」や「死亡者数」を重点的に報じています。
公開されているデータから年齢や症状による分類は可能ですので、現状をグラフにすることにしましょう。グラフは以下のとおりです。
グラフ作成に利用したデータ
マスコミは『ダイヤモンド・プリンセス』で発症が確認された新型コロナウイルス感染者の患者が「全員重症」の様子で報じていますが、これは誤りです。なぜなら、陽性反応者(= 700人弱)の半数以上は「無症状者」だからです。
したがって、メディアのミスリードに踊らさせないように注意する必要があります。なお、上図のグラフ作成に用いたデータは以下のとおりです。
- 年齢別の「陽性反応者数」と「乗員・乗客数」
- 国立感染症研究所・ COVID-19 症例【更新】
- 重症者数
- NHK が2月26日に配信した記事
- 年代別でみると80代が7人、70代が20人、60代が10人
- 死者数
- 厚労省の発表資料
「陽性反応者数」を「症状の有無」によって分類。『症状有』の中には『重度の患者』と『死者数』が含まれているのですから、それらを抜き出すことでグラフを作成することができます。
マスコミは不安を煽るために騒ぎ過ぎ
次に、マスコミは『ダイヤモンド・プリンセス』号の件で騒ぎ過ぎです。“パンデミック” として大々的に報じた方が売り上げアップに直結するため、営利目的でセンセーショナルに報じることは「ビジネス的には正解」です。
しかし、それによってパニックが起きては世間の日常生活に多大な悪影響が出るのです。ここで一線を越えたマスコミは害悪でしかないため、強烈なペナルティーを科す必要があるでしょう。
“感染しやすい高齢者” でも陽性反応が出たのは「4人に1人」です。70〜79 歳で見ても約1000人で重症化したのは20人ですから、割合は 0.5% 前後です。
80歳を超えると基礎疾患などの関係から割合は高くなりますが、「新型コロナは免疫力のある人が怯えて生活しなければならない疾患ではない」と言えるでしょう。
世間が新型コロナウイルス感染症に対して不安を覚えるのは「マスコミが死者や重症者の数を大きく報じるから」です。「退院者」や「症状が出ていない無症状者」にはスポットが当たらないため、「感染すると取り返しの付かない感染症」という誤ったイメージが形成されてしまうのです。
この報道姿勢は是正されるべきと言えるでしょう。
『ダイヤモンド・プリンセス』の乗員・乗客の現状
ちなみに、『ダイヤモンド・プリンセス』の乗員・乗客の現状は以下のようになっています。
- 2月3日に横浜港に寄港した乗客と乗員: 約3700人
- PCR 検査で陽性反応: 約700人
→ 日本国内の病院に搬送されて入院中 - 下船済: 約2000人
- 船内で引き続き隔離: 約1000人
- PCR 検査で陽性反応: 約700人
船内に残っているのは「(濃厚接触者に当たる)一部の乗客」と「乗員」です。感染しやすい高齢者の乗客は下船済みですから、船内から新たな重症者が出る可能性は以前よりも格段に低くなっている状況です。
また、部屋数(約1400)の方が船内に残っている人数よりも多くなったため、空間的な隔離の精度も高くなっていることでしょう。
したがって、新たな感染者はマスコミにとって大々的に報じたくなる要素を持っている見込みが少ないため、報道されるペースは激減することが予想されます。
ただ、『ダイヤモンド・プリンセス』の船長と運行会社が新型コロナウイルス感染症の患者を “培養” し、後始末を日本側に押し付けたことは否定できない事実です。
2月4日に到着予定が3日に前倒しして「感染者はいない」と主張して責任を押し付けようとしたのですから、同様の形を採ろうとする外国船への対応方針は日本政府の改善項目となるでしょう。
無責任な外国船を人道的観点で受け入れて国内の医療リソースが潰えては本末転倒と言えるのではないでしょうか。