アメリカ・メジャーリーグは新型コロナの影響でオープン戦が中止となり、シーズン開幕も延期となる

 NHK によりますと、新型コロナウイルスの感染拡大を受けてアメリカのメジャーリーグはオープン戦を中止し、シーズン開幕も延期したとのことです。

 日本のプロ野球よりも過密日程で行われるため、162試合が実施されるかは不透明な状況です。投手として復帰を目指す大谷翔平選手にとって開幕が遅れることは朗報ですが、出来高の比重が大きい前田健太選手にとってはマイナス部分が大きいと言えるでしょう。

 

 大リーグは先月下旬から行っていたオープン戦を中止し、今月26日に予定されていたシーズン開幕を少なくとも2週間、延期することが12日に決まりました。

 そして、大リーグ機構は13日に選手会と協議し、先月中旬からフロリダ州とアリゾナ州で行ってきた各チームのキャンプも中断することを決めました。

 30球団の選手たちはキャンプ地に残って調整を続けるか、球団の本拠地で調整するか、自宅に戻るかの3つの選択肢から、どうするか選ぶことになっています。

 

選手に複数の選択肢が与えられていることは大きい

 メジャーリーグ機構は新型コロナの感染拡大を理由に「オープン戦の中止」と「シーズン開幕の延期」を決定し、選手には以下の選択肢を提示しました。

  1. キャンプ地に残って調整
  2. 所属球団の本拠地で調整
  3. 自宅に戻る

 メジャーリーグは各球団が自前のキャンプ施設を保有しているため、「キャンプ地に残る」という選択肢を採ることができます。特にリハビリ中の選手や寒い都市が本拠地の球団にとってはメリットが大きい選択肢と言えるでしょう。

 一方で温暖な地域に本拠地を置く球団(や所属選手)は「本拠地に戻る」という決断をするでしょう。これは生活の拠点があるため、家族との時間を取ることが容易になるからです。

 また、「自宅に戻る」という選択肢もあることから、選手の権利は最大限に保障された形になっているものと考えられます。

 

投手として「5月頃の復帰予定」の大谷選手にとってはプラスがある

 開幕が延期されることで恩恵を得るのは「開幕に間に合わない選手」でしょう。例えば、ロサンゼルス・エンゼルスに所属する二刀流の大谷翔平選手です。

 打者・大谷はシーズン開幕に間に合っていたでしょう。しかし、投手・大谷は「リハビリ中」であり、復帰は5月中旬の予定です。

 また、主力選手の負傷がキャンプ中に相次いだヤンキースも同様です。開幕が遅れるほど離脱中の主力選手が回復時間を得られることになり、それにより多くの試合でプレーできる可能性が高まるからです。

 「プラス要素も存在している」と言うことはできるでしょう。

 

MLB が過密日程で試合数減が避けられないと、前田健太投手には不利益が大きい

 ただ、アメリカは「新型コロナウイルスの感染拡大が始まった段階」ですから、メジャーリーグの早期開催は難しい状況にあります。そのため、シーズンの全日程を消化することは難しいでしょう。

 したがって、レギュラーシーズンとポストシーズンの双方で試合数が削減されることは避けられないと考えられます。

 そうなると、出来高の比重が大きい前田健太投手は不利益が大きくなります。前田投手は「基本給+投球イニングに応じたインセンティブ」で年俸が決定する契約です。そのため、試合数が少なくなると登板回数も減少するため、年俸も下がってしまうでしょう。

 これは「レギュラーシーズンの成績によるインセンティブが含まれた契約を持つ選手全員」が直面するマイナス面です。投球イニング・本塁打・打点など “積み重ね” による成績は試合数が少ないと数字が低くなってしまうからです。

 『スポーツビジネス』の部分において最も洗練された経営を行っている団体の1つである MLB が新型コロナに対してどのような判断かを下すのかが大きな注目点と言えるのではないでしょうか。