加藤厚労相は “検査結果を待たずに帰った沖縄の10代女性(と家族)” に遺憾表明するのではなく「検疫法第36条に基づく罰金」を科すべき

 休校中に家族でスペインを旅行して帰国した沖縄県の10代女性とその家族が成田空港で検疫結果が出るまで待機要請が出ていた中で帰宅したことに対し、加藤厚労相が「遺憾」と述べたと NHK が報じています。

 この対応は不十分と言わざるを得ないでしょう。なぜなら、現場できるのは「要請」が限度であり、これ以上の措置は困難だからです。検疫法第36条には罰則規定があるのですから、「診察・検査の途中に忌避した」との根拠で家族全員を対象に法的制裁を下す必要があると言えるでしょう。

 

 スペインから帰国した沖縄県の女性が、空港での待機要請を受けたものの公共交通機関を使って帰宅し、その後、新型コロナウイルスへの感染が確認されたことについて、加藤厚生労働大臣は遺憾だとして、今回の対応を検証し、水際対策を徹底する考えを示しました。

 

日本政府に「遺憾」と言われたところで、“当の家族” はノーダメージ

 水際対策を厳しくしても第2、第3の “沖縄の家族” は出てくるでしょう。なぜなら、「要請」に従わなければならない義務はありませんし、無視してもダメージはないからです。

 行政から「遺憾」と言われるだけですから、「政治家が嫌味を言っている」との程度で流されるのは目に見えています。

 仮に2例目以降に厳しい対応をすれば、「沖縄の家族は何のペナルティーもないのは差別」と “現場の担当者が” 罵声を浴びせられることになるでしょう。

 したがって、最初の問題ケースとした発覚した沖縄の家族から厳しい罰則を科さなければならないのです。

 

沖縄の家族に罰則を科す根拠は『検疫法第36条』に存在する

 待機要請に従わずに帰宅した沖縄の家族ですが、彼らに罰則を科す根拠は『検疫法』です。

第三十六条 次の各号の一に該当する者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

 

 四 第十三条の規定により検疫所長又は検疫官が行う診察(第三十四条の二第三項の規定により実施される場合を含む。)又は検査(同項の規定により実施される場合を含む。)を拒み、妨げ、又は忌避した者

 検疫法第13条には「検疫所長は検疫感染症に対する病原体の有無に関する検査を行う、または又は検疫官にこれを行わせることができる」という規定があります。

 沖縄の家族は「 “検査が完了する前” に忌避した」と主張できる状況にあるのですから、第36条で定められた罰則規定を行政が適用しなければなりません

 そうすることでマスコミが騒ぎ、ニュースになるはずです。これが社会に対する「牽制」となるでしょう。

 「罰金はやりすぎ」との批判には「罰金の肩代わりすら申し出ない “支援者” の批判は聞くに値しない」と切り捨てれば済むことだからです。

 また、「罰金分は余計な仕事が増えた当事者に給付できるような法整備を国会に申し入れる」と言えば、世論を味方に付けられると思われます。したがって、行政(= 厚労省)の仕事には改善点が残されているとの認識が必要と言えるのです。

 

チャーター機を使った中国・武漢からの帰国客の対応に当たった政府職員が自殺したことを忘れているのでは?

 「水際対策の徹底」を指示するなら、「現場の権限を強めること」もセットでなければ意味がありません。「要請」は無視できるため、現場への風当たりが強くなるだけで終わってしまうことが考えられるからです。

 世間は綺麗さっぱり忘れていますが、中国・武漢からのチャーター機で帰国した人に隔離の要請を行う立場にあった政府職員が自殺をしています。

 現場が持つ権限はその時と同じですから、「水際対策を徹底するように」との通達だけでは同様の悲劇が起きる可能性が否定できません

 ですから、「あなたには『要請を無視する権利』はあるが、『罰金を科されるリスク』もある。どちらを選ぶかはあなたの自由だ」と現場が言える環境が重要なのです。

 “要請を無視した人” は何の責任を追わず、“要請を無視した人が発生した現場” が批判されるのはあまりに不公平です。この状況を是正することが喫緊の課題と言えるでしょう。

 

 森友問題で騒ぎたい野党やマスコミはそちらの自殺者を題材にしていますが、『深刻な問題』が実在しているのは「新型コロナウイルスに対する検疫体制」なのです。

 この認識が欠落している状況では感染急拡大が起きるリスクが高いだけに優先的な対応が必要と言えるのではないでしょうか。