世界仰天ニュースが「韓国は新型コロナに勝利した」と称えるは自由だが、「命の値段が安い」という前提で対策が講じられた現実を無視すべきではない

 5月5日に放送される『ザ!世界仰天ニュース』では新型コロナウイルスを題材に扱うことが予告されていますが、その中で「韓国政府の対応」や「アビガンによって回復したとの “個人の感想” を述べる芸能人」が出てくると予想されます。

 韓国政府が新型コロナウイルスを封じ込めたことは事実ですが、採られた対策の前提となっているのは「命の値段が安い」という点です。そのため、「防疫対策が素晴らしい」と手放しで称賛する姿勢は問題が大きいと言わざるを得ないでしょう。

 

韓国では「命の値段が安い」ため、“事故(や問題)は起きない方に賭ける社会” になっている

 まず、韓国が『予防』に力を入れる社会であるかと言いますと、答えは「NO」です。なぜなら、今年4月末に死者38名を出す倉庫火災が発生しているからです。

 38人の死亡者を出した京畿道利川市(キョンギド・イチョンシ)の物流倉庫工事現場の火災が管理・監督不在による「予想された惨事」だったという証言が出ている。(中略)

 火災を鎮圧するスプリンクラーが設置されていたかという質問には「スプリンクラー? そんなものがあるはずがない」と嘆いた。イさんは「他の工事現場では火気作業中に監視員がいて、火事が起これば消すが、ここではそんなこともなかった」とし「20年間、さまざまな工事現場に派遣されたが、ここはその中でも最悪だった」と話した。(中略)

 物流倉庫建物の施工者と発注者は、以前も「火災危険注意」「爆発危険注意」などの警告を3回受けていたことが分かった。雇用労働部傘下の韓国産業安全保健公団は施工者を対象に合計6回の書類審査と現場確認をし、このうち3回の注意を受けて「条件付き適正」診断を受けて工事を進めてきたという。

 火災事故は世界中で発生しているため、韓国で起きた1件だけを取り上げるのは不公平です。ただ、同様の問題で起きる火災事故は韓国では珍しくないことが問題なのです。

 今回はソウル近郊にあるキョンギ道・利川で発生しましたが、利川では2008年にも倉庫火災で40名が亡くなっています。同じ都市で同様の火災事故が過去に起きていたにも関わらず、「スプリンクラーなどない」との声がメディアに出るのです。

 しかも、施工者と発注者は事前に警告を3度も受けています。ですが、『条件的適正』との診断で安全を無視して工事ができてしまうのですから、これは社会的価値観がそうさせていると判断せざるを得ないでしょう。

 

現在進行形も戦争中である韓国からすれば、最優先事項は『国家の存続』であり『個人の命の値段』は高くはならない

 なぜ、韓国では『命の値段』が低く設定されているかと言いますと、「戦争中だから」でしょう。韓国は今も北朝鮮との朝鮮戦争をしている状況です。休戦中であるとは言え、戦争中であることには変わりありません。

 そのため、最優先事項は「大韓民国の存続」にならざるを得ません。

 事故のリスクを軽減する設備投資に多額の投資をしても、戦禍が大きくなれば投資分はすべて吹き飛んでしまいます。つまり、「事故は起きない」に賭ける方が合理的である事情が韓国には存在するのです。

 その結果、設備投資費が少なくて済む韓国企業はコストが少ないことで市場競争力を手にすることになります。また、従業員も “事故が発生しない限り” は低コストで得た収益による賃金配分などを受け取ることができるという恩恵があります。

 しかし、安全意識が軽薄な状態で社会が形成されてしまっているのですから、一度事故が発生すると数十人規模での死者が発生する可能性が高い状態が標準になってしまいます。この感覚が当たり前として受け入れられている前提があることを軽視すべきではないでしょう。

 

「命の値段」が安いのだから、『防疫対策』を理由に “徹底した監視社会” を構築することができる

 韓国では「命の値段が安い」のですから、個人のプライバシーも値段としては安くなります。これらの前提に成り立つと感染症を強権で封じることはそれほど難しくはないでしょう。

  • テグ(大邱)
    • 宗教団体による集会で超巨大クラスターが発生
    • 信者の名簿を提出させて、警察に捜査させる
    • 徴兵制を活かし、軍医と公保医をテグに投入
    • 医療スタッフへの支払いをサボタージュ
  • 韓国全土
    • 当初は『PCR 検査』の積極推進
      → テグの医療崩壊で『日本型』に方針転換
    • 住民登録番号、カルテ、保険証、海外渡航歴などが紐付け済
    • 「スパイを監視する」ために高性能カメラが多数設置済
    • 「防疫」を理由に感染者の動向を実質的な完全公開で注意喚起

 命の値段が安いから「人権?何それ?おいしいの?」というレベルでの抑圧が可能なのです。

 要するに、国家に個人情報のすべてを握られている前提があって “さらされる恐怖” をまざまざと見せつけることで国民の動きを抑制しているのです。『人権』を無視した解決策ですが、それを国民が受け入れる意思を示す自由はあります。

 しかし、『韓国が新型コロナ対策で用いた手法』は「抑圧」がセットであり、民主主義や人権は抑制されます。この部分に言及せず、「韓国の素晴らしい方針をなぜ日本は採用しないのか」と主張するマスコミは害悪な存在でしかないと言わざるを得ません。

 

丸山ワクチンを好意的に取り上げた前科がある『仰天ニュース』がアビガンなどの効果を “宣伝” しても不思議ではない

 あと、『ザ・世界仰天ニュース』について言及しておく必要があるのは「過去に丸山ワクチンを好意的に紹介したことがある」という部分です。

 マスコミが「薬効がある」と煽りに煽り、「厚生省(当時)はなぜ丸山ワクチンを許可しないのか」と世論を誘導したのが40年前です。丸山ワクチンの治験実績は約40万人と主張していますが、“効く” というエビデンス(証拠)を示すことはできていません。

 だから、どの国からも承認されていないのです。40万人も治験をしていながら、「偽薬(プラシーボ)と比較して明らかな優位性がある」と証明する論文を出せていない時点で “お察し” 案件です。

 世界中から投薬希望者が訪れるなら、厚労省の管轄外である外国で認可を得れば良いことです。特に、アメリカで承認を得られれば、厚労省の態度も軟化することでしょう。

 しかし、番組では「投薬希望者がこれだけいるのに承認されないのはおかしい」と “人情” に訴える有様です。新型コロナウイルスでは『アビガン』に効果があったと回復者に “個人の感想” を語らせる形で世論をミスリードすることでしょう。

 新型コロナは8割以上の患者が “特異な治療” を施すまでもなく、勝手に(患者自身の自己免疫力で)回復します。つまり、このカテゴリーに属する患者に『アビガン』を投与すると、副作用が生じない限りはアビガン投与で回復したように見えるのです。

 

 「本人の自己免疫力」なのか「アビガン投与」なのかの切り分けをするのは臨床試験です。それを飛ばした状態で突っ込んだ代償は誰かが将来支払うことになるのです。

 無責任なマスコミ報道による弊害はマスコミ自身に負わせる制度が必要と言えるのではないでしょうか。