韓国が「2月の死亡者数」で過去最高を記録したのは事実だが、新型コロナによる超過死亡が原因とは言えないことも事実
韓国の中央日報が「韓国での2020年2月の出生数が歴代最少・死亡者が歴代最大」と報じたことに対し、「新型コロナウイルスによる超過死亡が原因では」との観測が出ています。
ムン・ジェイン政権は数字を “盛る” ことに躊躇がないことは事実ですが、この推測は事実とは言い切れません。超過死亡を疑わせる要因ではありますが、これは前年度の死亡者数が例年よりも少なかったことがミスリードを誘っているからです。
したがって、新型コロナによる超過死亡の有無は「2020年3月の統計」が発表される5月末まで待つ必要があると言えるでしょう。
死亡者数は歴代最大を記録した。2月、2万5419人で前年同月比10.9%増加した。月間死亡者統計を取り始めた83年以降、最も多かった。死亡者数の急増、出生数の急減で人口が減少する現象が4カ月連続で続いている。
1月から3月の過去10年間における死亡者数をグラフにすると、2020年2月の死者数は例年どおり
中央日報が記事にした元ネタは韓国統計庁から確認することが可能です。英語版だと "Statistics by Theme" の下にある "Population/Household" の中の "Vital Statistics" を選択し、 "Month for Provinces" から任意の項目を選ぶことで確認が可能です。
確かに、2020年2月に韓国で亡くなった人の数は2万5419人と(2月では)歴代最高です。ただ、2万5000人近くが亡くなった年が「12年、16年、18年と3度」あります。
そのため、超過死亡が起きていたと断定することはできないのが現状と言わざるを得ないでしょう。
少子高齢化が進む韓国では死者数が「微増」するのは当然、超過死亡が疑われるのは「急増」が起きている場合
韓国でも日本と同様に少子高齢化が進行しています。だから、中央日報が「4ヶ月連続で人口減が起きてしまった」と懸念を示す記事を掲載しているのです。
1月の死亡者数が年々増加している理由は「高齢者の絶対数が増えている」ことと「季節性インフルエンザがピーク期」であることで増加傾向に対する説明が付きます。
2月と3月は「1ヶ月の死者数が2万5000人」が閾値という状況ですが、「2万5000人を大きく超える死者数」が出た場合が『超過死亡』を疑わせるアラートと言えるでしょう。
「韓国で(新型コロナによる)超過死亡は起きていない」と言い切れないことも事実
2020年2月の死者数が2018年2月よりも多かったと言えるのは大邱(+83)、釜山(+105)、仁川(+146)です。これらの都市には新型コロナウイルスによる超過死亡が起きていても不思議ではない理由があることも事実です。
- 大邱(テグ): 宗教団体による超巨大クラスターが発生
- 釜山(プサン): 海運業のハブ機能がある
- 仁川(インチョン): 国際空港
海外との接点が多い都市で超過死亡の予兆が出ることは起こり得ることでしょう。これらの3都市での数値が「予兆」であるか、それとも「偶然」であるかは5月末に発表される『2020年3月の数値』を見なければ判断できません。
そのため、結論を出すのは時期尚早なのです。
ただ、ムン・ジェイン政権が数字を “盛る” ことに躊躇がない点は留意しなければなりません。新型コロナの雇用対策として「山火事の監視」や「環境保護(という名のゴミ拾い)」を30万人に提供することを実施しているからです。
「政府が雇用はしているが一時休職中」であれば失業中にはカウントされないため、このような手法を使って統計を粉飾しているムン・ジェイン政権に疑いが持たれるのは当たり前です。ただ、全体の死者数は誤魔化しようがないため、超過死亡の有無は今月末に判明することでしょう。
果報は寝て待てを実践すべきと言えるのではないでしょうか。