「不法移民・難民受け入れ反対」に反発する市民運動の行く末は暴力による先鋭化

 「差別は許さない」という活動は世界中で行われているのですが、デモ活動の割に世間には浸透していません。

 「ヘイトスピーチ反対」や「難民歓迎」がそういった運動の軸となっていますが、運動をしている “市民” の方に逮捕者が続出するとなっています。この悪い流れには注意を払う必要があると言えるでしょう。

 

 不思議なことに、『差別反対』などを訴える “市民” の方が好戦的であることが目に付きます。

 例えば、アメリカ大統領選で過激な発言を行っているドナルド・トランプ氏に反発する市民団体です。

 「ヘイトもレイシズムもトランプもいらない」などと書かれたプラカードを掲げたデモ隊は、警官隊に卵を投げつけたり、ホテルへの侵入を試みたりした。メキシコ国旗を手にした人々も多く見られた。

 カリフォルニア州では28日夜にも、南部コスタメサ(Costa Mesa)で開かれたトランプ氏の集会で抗議デモが暴徒化し、20人ほどの逮捕者が出ている

 

 『表現の自由』が保証された民主主義国家では、トランプ氏が発言する機会は守らなければなりません。例え、トランプ氏の発言がどれだけ不快なものであったとしてもです。

 また、アメリカで起きていることと同様のことがドイツでも起きています。こちらは『難民NO』を掲げる政党 AfD に反対する “市民” らが暴徒化しました。

 難民受け入れに反対する右派政党「ドイツのための選択肢(AFD)」の党大会が行われた南部シュツットガルトで4月30日、AFDに抗議する市民らによる大規模デモが暴徒化、警察が一時約500人を拘束する騒ぎに発展した。ドイツのメディアが伝えた。

 

 “市民” たちは「自分たちの高尚な活動になぜ世間は共感しないのか」ということを疑問に思っているのでしょう。それは市民運動が抱えている問題に気づいていないからです。

 1番大きな問題は主権者である国民の立場を無視しているからです。

 アメリカではメキシコなど中南米からの不法移民への対応が求められています。その数は1000万人を超えており、オバマケアが議会で審議されていた際に「彼らを合法移民にしよう」と発言したことが大きな波紋を呼びました。

 では、1000万人を超える不法移民(とその家族)はアメリカ国内でどのように生計を立てているのでしょうか。その答えは食肉加工産業や農業産業です。

 

 ヨーロッパ各地での『難民受け入れ反対』という主張もこれと同じです。「なぜ、難民の待遇改善を最優先するのか」という当たり前の考えが根底にあるからです。

 AfD (ドイツ)や国民戦線(フランス)の主張に新しく賛同した人々はこうした疑問を持っているケースが多いでしょう。

 この疑問に対し、BBCのように右傾化を嘆いたり、“極右” とレッテル貼りを行うほど、対立は過激化することになるのです。どれだけ人権・人道の重要性を訴え、リベラルであることをアピールしても自国の国益となる政策を打ち出さない政党は選挙での投票先から除外されるのです。

 “市民運動” についても同じことが言えます。「市民のために活動する」とお馴染みの主張を訴える団体は数多く存在しますが、「では、その “市民” とは具体的に誰のことを意味するのか」という問いに答えられない団体もいることでしょう。

 

 過激化するのはこうしたキレイゴトを述べるだけの活動家が多く在籍する “市民運動” と言えるでしょう。自らの主張を『聖典』として崇め、異論は認めず、暴力によって封殺する。

 「自分たちを無謬だ」と思った時点で暴力事件を起こすことは時間の問題となります。なぜなら、「自分たちの主張は絶対正義であり、世間が間違いを自分たちが正しているのだ」と盲信するようになるからです。

 類似事例は歴史上何度も発生しており、決して珍しいことではありません。そして、そうした集団をメディアは必ずと言って良いほど持ち上げていることも忘れてはならないことだと言えるでしょう。