「報道の自由を守れ」という勇ましい掛け声はどこへやら、中国共産党からの要請には従うジャーナリストたち

 4月30日に中国・北京で行われた日中外相会談の中で、中国側が「4つの希望と要求」を行ったことが日経新聞により伝えられています。

  • 歴史を直視・反省し、“一つの中国” 政策を守る
  • 中国脅威論や中国経済衰退論をまき散らさない
  • 経済面で中国を対等に扱い協力を推進する
  • 地域や国際社会の問題で中国への対抗心を捨てる

 上記の4件に対し、朝日新聞は5月1日付けの社説で批判するどころか、「対話を軌道にのせよう」と中国に配慮すべきとの見解を掲載しています。『報道の自由』を制限する中国共産党からの希望・要求には反発しないのですから、安倍政権への反政府運動と言われて当然でしょう。

 しかも、翌5月2日付けの社説で「NHKの使命 政府の広報ではない」と主張しているのですから、明らかなダブルスタンダードです。以下のような批判に真摯に耳を傾け、改善する必要があると言えるでしょう。

 

 朝日新聞は、中国政府の広報機関ではない。当局の発表をただ伝えるだけでは、報道機関の使命は果たせない。

 それは報道人としての「イロハのイ」だ。しかし、朝日新聞が率先して片棒を担いだ先の大戦の反省から70年が過ぎたことになるが、今もその使命を理解していないとしか思えない。

 渡辺雅隆社長は慰安婦問題での誤報事件などによって設置された『信頼回復と再生のための委員会』で「ともに考え、ともにつくるメディアへ」と宣言した。

 具体的には「問題点の指摘や批判にとどまらず、みなさまと社会の課題を共有し、多角的な視点でともに解決策を探る姿勢を大切にします」と社長の名前で方針を明らかにしている。

 今回の中国共産党からの要望を聞き入れることが『信頼回復と再生のための委員会』での宣言内容と一致するだろうか。

 

 正確な情報を速く丁寧に伝えるよう努めるのは、報道機関として当然だ。自治体や政府、企業などの発表は言うまでもなく、ニュースの大事な要素である。

 同時に、発表内容を必要に応じて点検し、専門知識に裏付けられた多様な見方や、市民の受け止めなどを併せて伝えるのも報道機関の不可欠な役割だ。

 しかし、中国共産党からの希望と要求は「彼らにとって都合の良い言論」のみをニュースとして扱うことを求めているように受け取れる。ものごとを様々な角度から見つめ、事実を多面的に伝えるという報道の基本を放棄せよと言っているに等しい。

 「両国間の友好関係には不可欠」というのが中国側の言い分のようだ。だが、それは国民の理解する力を見くびっている。

 NHK 放送文化研究所の昨年の調査では、85% が「必要な情報は自分で選びたい」とし、61% が「多くの情報の中から信頼できるものをより分けることができるほうだ」と回答した。

 多くの市民は、政府や企業などが公式に与える情報だけでなく、多角的な報道を自分で吟味したいと考えているのだ。

 中国共産党政府に寄り添うような “角度を付けた” 朝日新聞の報道姿勢はその都度批判されてきたが、一向に改まらない。このままでは、朝日新聞の報道全体への信頼が下がりかねない。

 中韓の代弁者として言論活動を行っているのだから、公平・中立ではないことを宣言すべきだ。日本政府には『報道の自由』を盾に批判の声を出しておきながら、中国共産党政府には沈黙するなどジャーナリストとして恥ずべき行為だと自覚せねばならない。