メディアが「憲法を守れ」と異口同音に主張する理由

 5月3日が憲法記念日ということもあり、どのメディアも日本国憲法について取り上げています。

 大手メディアは「憲法を守れ」と主張する護憲派の立場を代弁する傾向にあるのですが、その理由は彼らが持つ共通認識にあると言えるでしょう。

 

 これは日テレ『NEWS ZERO』が5月2日に「憲法と法律の関係」を説明する際に用いられたフリップボードです。

画像:NEWS ZERO で提示されたフリップボード

 番組の村尾キャスターは次のように説明しました。

  • 憲法は国民が政府の活動を制限するためのもの
  • 法律は政府が国民の活動を制限するためのもの

 

 この主張は護憲派の立場を採る朝日新聞でも見られるものであり、リベラルを自称するマスコミ関係者の共通認識と言えるでしょう。ですが、この考えには問題があることも事実です。

 それは「国民は憲法の規定を守らなくて良いのか」という疑問に集約されます。

 

 「法律の上位に憲法が存在し、その規定を国は守らなければならない」とマスコミは繰り返し述べています。では、国民を縛る役割を持つ憲法を国民側にいると主張するメディアは憲法を守っているでしょうか。

 日本国憲法第三章には『国民の権利及び義務』が明記されています。メディアの認識は “憲法は政府を縛るためのもの” なのですから、『憲法』を理由に自らが政府批判を行うことを自己正当化しているだけに過ぎないのです。

 メディアの主張が正しいなら次のような意見が成立することでしょう。それが “立憲主義” の目指す社会と言えるのでしょうか。

 日本国憲法は法律の上位に位置し、政府の活動を制限するためのものである。憲法を根拠に政府が定めた法律は国民の活動を制限する可能性が否定できない。つまり、それらの法律はすべて無効でなければならない

 

 メディアは70年前にできた憲法を守ることだけに必死になっていることが実情です。時代は流れ、社会的ニーズが変わり、時代に則さない条文も浮かび上がっています。

 例えば、第7条と73条には「左の〇〇を行ふ。」という条文があり、憲法を横書きすると文脈としておかしなことが発生します。

 これらの部分を「次の〇〇を行ふ。」と改正すれば、従来の縦書きにも、ネット上で用いられている横書きにも対応できるようになるのですが、そもそも議論することすら許さない世論を作り出そうという意図がメディアからは透けて見えます。

 “言論の自由” は憲法第21条で保証されているのです。「日本国憲法の内容が時代に則しているのか」という議論すら封殺しようとする自称・リベラル派こそ、民主主義の敵と言えるのではないでしょうか。