衆厚労委の参考人(岡部宏生氏)が変更になった理由の説明責任は民進党にある

 衆議院厚生労働委員会の参考人質疑を巡り、日本ALS協会の岡部宏生氏が出席できなかったことを民進党や一部メディアが騒ぎ立てる事態となっています。

画像:山井議員(民進党)によるツイート

 民進党の山井議員は「ALS患者への出席反対は前代未聞の障害者差別」と記者会見で言及しましたが、これは明らかに意図的な炎上を狙ったものと言えるでしょう。

 

 なぜなら、当初参考人に決まっていた岡部氏が日本ALS協会のフェイスブックで次のような投稿を行っていたからです。

画像:岡部宏生氏による投稿内容

 

 奇妙なことに、「参考人から外された理由」もなければ、「いつ、外されることを知った」、「誰から参考人のオファーを受けていた」などの情報が一切記載されていません

 問題を多角的に報じることはジャーナリズムの基本中の基本ですが、「国会内、しかも厚生労働委員会で障害者差別が起きた」と騒ぎ立てる人は明確な目的意識を持った活動家と同類です。

 朝日新聞は “意図的にトイレを詰まらせること” を強く推奨していますし、「日本死ね」というブログから炎上させることに成功した『保育園・待機児童問題』の再現を目論んでいるように映ります。

 

 毎日新聞は「与党が岡部氏の出席を拒否した」と記事にしていますが、厚労委の委員を務める議員から事実誤認との指摘が出ています。

画像:浦野議員(おおさか維新の会)によるツイート

 浦野靖人議員(おおさか維新の会)はツイッター上で参考人の人選は『委員長一任』であり、渡辺博道委員長(自民党)は了承していたと投稿しています。

 また、伊佐進一議員(公明党)も浦野議員と同じ見解をツイートしており、4月30日の時点で岡部氏は出席の予定だった認めています。

画像:伊佐議員(公明党)によるツイート

 「発表内容だけでは記事を作れない」などとメディアは主張していますが、今回の参考人拒否騒動については明らかに民進党の発表内容だけを根拠に報じています。浦野議員や伊佐議員などの厚労委の委員に裏取りをしていれば、デマ記事を発信するようなことは起きなかったと言えるのではないでしょうか。

 

 政府与党へのバッシングをしたいメディアや活動家がいることは事実ですが、今回の騒動についてのトラブルは旗色が悪いと思われます。

 まず、4月27日に行われた厚生労働委員会で参考人の人選は委員長に一任することが決定している議事録が存在します。

○ 渡辺委員長
 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。内閣提出、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律案の審査のため、来る五月十日火曜日午前九時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

 

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

 

○ 渡辺委員長
 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。次回は、来る五月十日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

 実際に誰を参考人に招致するかは、この時点ですでに内定が出ています。委員から推薦を委員長が承認するという形を採っているからこそ、委員長に一任するという流れになるからです。

 

 NGO組織が「意見陳述が決定した」と報告できるのですから、事前に内定を受けていたと考えることが自然と言えるでしょう。

画像:5月10日の参考人招致決定を伝える投稿

 ところが、岡部氏は参考人から外れるという事態が生じます。伊佐議員は「5月2日に民進党の理事から変更したいとの連絡があった」とツイートしています。

 厚生労働委員会で理事を務める民進党の議員は西村智奈美氏と初鹿明博氏の2名です。伊佐議員の主張通りなら、どちらかの議員から「変更したい」と申し出があったということになります。

 メディアはこの件について、西村議員もしくは初鹿議員に問い合わせを行うことがジャーナリストとして求められる最低限のことなのではないでしょうか。

 

 岡部宏生氏は今回の騒動で “差別の被害者カード” を最大限活用する目的のように感じられたのですが、その件に対しては厳しく糾弾させていただくことにしましょう。

 まず、国会運営には1日3億円近くの費用を要します。岡部氏に寄り添うことで、参考人招致に多額の費用をつぎ込むことは十分に可能ですが、そのしわ寄せは障害者である岡部氏を含めた国民全体に行くことを忘れているのではないでしょうか。

 厚労委の参考人は1人15分の主張時間が与えられ、その後、質疑応答という流れで行われました。一般的な参考人が15分の時間で主張できることを岡部氏が主張するとそれ以上の時間を要するというのであれば、追加分で発生した国会運営費をALSへの補助金からカットすること “最低限の交換条件” として提示しなければなりません。

 与えられる時間が固定されているのであれば、その時間内でどこだけ効果的な主張ができるかが鍵になります。日本ALS協会で要職にある岡部宏生氏にとっては国会で参考人招致されたという事実は自身の活動内容に箔をつけることになるでしょう。

 しかし、それは岡部氏のエゴを満たすだけのものであり、第三者にとって優先度の高いものではありません。また、難病の患者が国会に出席する際には患者の健康面で懸念されるリスクも誰かが背負う必要があることを忘れてはなりません。

 

 「参考人招致されなかったこと」を都合よく切り取り、自らの政治的主張に利用する輩は軽蔑に値すると思います。少なくとも、岡部氏のやり方は世間一般から忌み嫌われる手法であり、共感を呼ぶことはないでしょう。

 参考人に与えられた15分で主張する内容は事前に用意するものですから、代弁者を立てることは認められる余地はあったはずです。また、質疑応答に時間を要すると言えども、プラス15分程度であれば延長は認められたことでしょう。

 「参考人の健康状態が急変した際にどう対処し、誰が責任を負うのか」という点を岡部氏に参考人を依頼した委員(もしくは政党)が対処することができなかったことであり、今回の騒動は岡部氏サイドの問題として議論されなければならないことなのではないでしょうか。