“少女像の撤去” が滞り続けるなら、日本政府が10億円を拠出する必要はない

 慰安婦問題を巡り、韓国政府は元慰安婦を支援する財団の準備委員会を5月31日に発足させましたが、日本政府が資金を拠出する時期についての調整が難航しているとNHKが報じています。

 

 慰安婦問題を巡る日韓両政府の合意に基づき、韓国政府は31日、元慰安婦の女性たちを支援する財団の準備委員会を発足させましたが、日本政府が財団に10億円を拠出する時期などを巡って調整は難航しており、合意の完全な履行には、なお時間がかかることも予想されます。

 

 時間がかかることが予想される原因はソウルの日本大使館前に設置されている “少女像” の存在です。

 慰安婦問題を訴えるシンボル像として市民団体が公道に勝手に設置したものであり、韓国政府が撤去しないのであれば、日本政府が財団に10億円もの資金を拠出する必要はありません。

 そもそも、設置自体がウィーン条約に違反しているのです。条約を守れないような国家なのですから、自らが約束した対処を行うまで、資金の拠出を見送ることは当然と言えるでしょう。

 

 ウィーン条約は複数存在するのですが、『外交関係に関するウィーン条約』(PDF)の第22条2に韓国政府は明確に違反していると言えます。

 接受国は、侵入又は損壊に対し使節団の公館を保護するため及び公館の安寧の妨害又は公館の威厳の侵害を防止するため適当なすべての措置を執る特別の責務を有する。

 The receiving State is under a special duty to take all appropriate steps to protect the premises of the mission against any intrusion or damage and to prevent any disturbance of the peace of the mission or impairment of its dignity.

 “少女像” は設置団体が明らかに日本大使館の威厳を損ねるためのものですから、韓国政府は撤去など必要な措置を執る責務があることは明らかです。しかし、「民間団体が設置したため、政府は対処できない」などとお粗末な言い訳に終始しているのです。

 韓国政府がこの条約に加盟していないのであれば、責任はないと言えるでしょう。ですが、韓国は1962年3月28日に署名し、1970年12月28日に批准しているのです。

 多国を対象とした国際条約すら守る気がない国家に対して、日本政府や外務省が譲歩する必要はありません。韓国に配慮し続けた結果が現在の2国間関係であることを認識しなければなりません。

 

 日本政府が財団に資金を払う必要性は現時点では皆無です。むしろ、支払ったことがニュースになった時点で反発が起きる可能性の方が高くなるでしょう。

 日韓関係は相手をよく知らないなら疎遠だったのではなく、相手のことを知った上で距離を取る方が国益にかなっていると考える人が増えたことが悪化した要因なのです。日本を敵視する政策を平然と行う国が好感を持たれることはないということを韓国は自覚すべきと言えるのではないでしょうか。