アベノミクスの是非を問う参院選 具体的な政策を出せない政党に用はない

 夏に行われる参議院選挙に日程が7月10日に閣議決定したことを受け、各党ともに「アベノミクスの是非を問うこと」を全面に出し、経済政策を争点にする姿勢を見せているとNHKが報じています。

 

 国会の閉会を受けて、各党は参議院選挙に向けて事実上の選挙戦に入りました。安倍総理大臣は安倍政権の経済政策・アベノミクスの是非を最大の争点と位置づけ、与党で改選議席の過半数の61議席の獲得を目指す考えなのに対し、民進党など野党4党は定員が1人の「1人区」すべてで候補者を一本化し、経済政策の転換を訴えていく方針です。

 

 いずれの政党も消費税率の引き上げに反対したのですから、 “経済政策” という大きなくくりではなく、「増税延期によって失われる税収分をどのようにカバーするのか」を政策として打ち出すことができるかが鍵になります。

 消費税率が 8% から 10% へ引き上げられた場合、税収は今よりも 5.6 兆円ほど増える見込みが立てられていました。予想の値は軽減税率の影響を除いたものですから、現実的には5兆円規模と見るべきでしょう。

 

 当然、消費増税に否定だった各政党が参院選で訴えるべきことは「財政に生じる約5兆円ほどの穴をどう対処するのか」ということになります。

  • 5兆円規模の税収増が見込める経済政策を打ち出す
  • 支出を5兆円規模カットする予算案を提示する
  • 税収アップと予算削減案を組み合わせ、5兆円規模に帳尻を合わせる

 上記の3案のいずれかにも属していない政策は財政悪化を招くだけであり、そのような耳当たりの良い公約を掲げる政党に騙されないことが重要です。特に “バラマキ” を訴える政党には警戒感を持たなければなりません。

 

 まず、アベノミクスについての評価ですが、積極的な金融緩和策以外は何も行われていないということが実状です。

 経済的な指標が好転したことは事実であり、そこを否定することはできません。ただし、肝心の構造改革や岩盤規制には “手付かず” の状態です。

 要するに、具体的な対案を示すことができる政党があれば、与野党を問わず、国民からの支持を得ることができる状況です。そのための唯一の条件が「5兆円規模の税収増が見込める経済政策」を提示することであり、「戦争法案反対」や「共産党との連合」ではないのです。

 また、財政再建のためには予算削減も避けて通ることはできません。しかし、どの政党も「子育て世帯・貧困世帯の充実」など支出を増やす政策ばかりをメディア向けにアピールしており、“バラマキ” の色合いが強くなっています。

 緊縮財政路線は放棄する政党ばかりのようですから、「まともな経済政策を立案し、実行する政党はどこか」という観点で投票することになるでしょう。

 

 例えば、法的根拠に基づかず運転が停止させられている原子力発電所の問題に対して「法律に基づき、再点検が終了した原子力発電所は運転を再開させてください」と担当閣僚が発言するだけで年間数兆円規模で国外に流出し続けている火力発電用の燃料費増額分を止めることができます。

 また、左翼活動家の巣窟と化している国連に拠出している分担金を「財政再建のため」という名目で削減するという選択肢も存在します。

 少なくとも、本気で財政再建に踏み切るのであれば、予算支出の見直しは不可欠です。その際、 “予算をつけるべきでない支出” については微々たる額であっても、徹底的にゼロにすることが求められのは当然のことです。

 「樺太にいる在留韓国人への生活支援」や「外国籍の人物に対する生活保護」が現在でも行われているのですから、財政再建に着手する気がないのと同然です。メディアも「財政再建は待ったなし」と主張するのであれば、このような無駄遣いを問題視すべきではないでしょうか。