身分が保証されている人が「富士山から飛び降りるぐらいの覚悟」と言ったところで二番煎じからは抜けられない

 東京都知事選の前日に民進党の岡田代表が次期代表選には出馬しないことを表明し、党の新しい顔に誰がなるのかが注目されています。

 代表代行を務める蓮舫参院議員が立候補の意向を表明し、富士山から飛び降りるぐらいの覚悟があるとアピールしましたが、党勢を回復させる起爆剤になる可能性は低いと言えるでしょう。

 

 民進党の蓮舫代表代行は5日、党本部で記者会見し、来月行われる党の代表選挙について、「政権選択選挙へのスタートにする思いで、代表選挙に臨みたい」と述べ、立候補する意向を表明しました

 (中略)

 蓮舫代表代行は記者会見し、「政権選択選挙へのスタートにする思いで、代表選挙に臨みたい。向き合うべきは、大変高い山で、大きな与党であり、向かうべき道が厳しく、険しいことも分かっている。私の覚悟は、崖とかスカイツリーのレベルでなく、富士山から飛び降りるくらいの覚悟だ」と述べ、立候補する意向を表明しました。

 

 東京都知事となった小池百合子氏の出馬表明を相当意識したのでしょう。「私の覚悟は、崖とかスカイツリーのレベルでなく、富士山から飛び降りるくらいの覚悟だ」と述べ、対抗心をむき出しにしています。

 しかし、小池氏との立場がまったく異なるため、蓮舫氏の決意を高く評価する無党派層は少ないと思われます。

 

 小池氏は “東京10区選出の衆院議員” という自らの肩書きを賭け、敗ければすべてを失うという立ち位置でした。一方の蓮舫氏が立候補したのは民進党の代表選。

 代表選に立候補した議員が選挙後に肩書きを失い、政党を追われるリスクはありません。むしろ、候補者全員が「党の一員として結束して頑張ろう」と笑顔で握手するまでが規定路線となっています。

 これでは単なるパフォーマンスの域を出ることは難しいと言えるでしょう。反自民党という旗印だけで議員の数を集めただけでは方向性を定めることができず、プラスを生み出す政策はできないことは過去の民主党政権で証明されています。

 できることは反対の声が小さくなるバラマキぐらいですが、この政策は財政問題を引き起こす原因となるため、長続きさせることはできないという現実があるのです。

 

 また、「対案があるが、国民に伝わっていない」と主張するのは民主党時代から進歩していないと言えるでしょう。

 本当に対案を持っているなら、メディアなど様々な情報伝達経路を利用して国民にアイデアが存在することを知らせる活動を継続しているからです。政権を批判することに熱心なメディアがほとんどなのですから、民進党が対案を示すのであれば、好意的に何度も取り上げてくれることでしょう。

 もし、自民党が民進党の対案をパクれば、それは民進党の政策立案能力が優れていたことの証明であり、メディアはその政策を立案した議員や取りまとめた議員にスポットライトを当てるはずです。ですが、そういった報道は皆無であることが現実なのです。

 「対案はあるはずだが、我々が政権を取った後で考える。それで十分であることが国民には伝わってない」では意味がないのです。

 

 野党を育てるという意味は野党の失態に目を瞑るという意味ではありません。与党(自民党政権)と同じ基準で批判し、複数の選択肢を国民に提示できる水準の政党が確立されて始めて成功と言えるのです。

 新聞やメディアといったメディアが現在の野党を過剰に甘やかし続けるかぎり、政権交代は起きないでしょう。なぜなら、ネットが主体となり野党の問題点が追求され、都合の悪い情報をメディアが隠しきれなくなってしまったからです。寄せ集めのチームでは実力を存分に発揮することはできないという基本に民進党は立ち返る必要があるのではないでしょうか。