北朝鮮の “食い逃げ” を許す支援強化への資金援助要請は共感を呼ばない

 北朝鮮北部で発生した洪水により、住居・食糧・医療などの支援強化を世界食糧計画(WFP)が求めていると時事通信が報じています。

 『人道支援』という名目があっても、資金を積極的に拠出する国は少ないでしょう。なぜなら、北朝鮮は国連決議に反する形で核やミサイル開発に多額の資金をつぎ込んできた経緯があるからです。

 

 世界食糧計画(WFP)は13日、洪水で被害が出た北朝鮮北部の住民14万人以上に食料を配給したと発表した。実際の被災者数はさらに多い可能性があり、支援強化に向け、国際社会に資金拠出を訴えている。

 WFPは、住民らが住居や食べ物、医療面のサポートを求めていると指摘。「(被災地では)厳しい冬が近づき、深刻な食料不足が予想されている」として、事態の緊急性を強調した。

 

 核やミサイル開発を続けたことにより、北朝鮮は国際社会から経済制裁を科されている状況にあります。

 天災による被害が出たとは言え、国家としての備えはどうなっていたのでしょうか。食糧支援を行っても住民には行き渡らず、軍備拡張目的に転用されていれば意味のないことです。

 「支援物資が本来の使われ方をしているのか」という疑惑が持たれている国に対し、その疑惑を払拭するプロセスすら提示しない国連組織からの “要望” をすんなりと受け入れる国があれば、有権者から突き上げを受けることになるでしょう。

 

 国際社会から “得られるモノ” を獲ることができれば、態度を急変させる。このような手法は北朝鮮も韓国もお馴染みとなっています。

 北朝鮮の苦境に対し、支援の手を差し伸べたことが解決につながったでしょうか。「要求を押し通せば、結局は国際社会が引く」と学習してしまっているから、北朝鮮側の要求がエスカレートするばかりなのです。

 少なくとも、北朝鮮の核やミサイルの脅威に直接的に晒されている日本が北朝鮮に対する人道支援を積極的に行う必要はありません。なぜなら、「“人道支援” という名目があれば、ヒト・カネ・モノを堂々と北朝鮮に送ることが可能」というメッセージを送ることになるからです。

 北朝鮮を訪問していた参院議員のアントニオ猪木氏は「スポーツを通して交流を続ける」と宣言しています。それで十分すぎるほどでしょう。

 

 「どうしても支援したい」と考えるのであれば、北朝鮮と関係の深いパチンコ業界が先頭に立って支援金を世界食糧計画(WFP)に寄付すれば良いのです。

 世界中の生活に困っている人々に支援の手を差し伸べたいと主張すれば、一定の理解を得られることは期待できるでしょう。国家の場合は建前として動けない場合もあるのですから、支援の必要性を感じる民間サイドが動くことが理想と言えるのではないでしょうか。