日本の領土・領海・領空を守る人々に敬意を示そうとしない野党やメディア

 26日から始まった衆議院の第192回国会での所信表明演説で、安倍首相が海上保安庁・警察・自衛隊などを讃える演説を行い、自民党議員がスタンディングオベーションを行ったことを朝日新聞が批判しています。

 朝日新聞が行っているメディア産業も領土・領海・領空を警備・防衛する任務についている人々が安全を保証してくれているからできることなのです。その活動に対し、“感謝の意” を示すことは当然と言えるでしょう。

 

 安倍晋三首相が26日の衆院本会議で行った所信表明演説で、領土や領海、領空の警備に当たっている海上保安庁、警察、自衛隊をたたえた際、安倍氏に促された自民党の議員たちが一斉に立ち上がって手をたたき続けたため、約10秒間、演説が中断した。大島理森議長は「ご着席下さい」と議員らを注意した。

 

 国防を担う役割を負っている軍に敬意を払う姿勢は欧米では一般的です。特に、自分たちが行っている政治活動や経済活動は自国の軍隊が守っている上に成り立っている現実を自覚している人々が多いほど、そのような姿勢は顕著に見ることができます。

 仮に、議会での演説に対してスタンディングオベーションが起きることを問題視するのであれば、アメリカ大統領による一般教書演説など成り立たなくなるでしょう。

 また、安倍首相がアメリカ議会で演説した際、出席したアメリカの上下両院議員は静かに演説を聞いていたでしょうか。スタンディングオベーションも起きていましたが、そのことを批判したメディアはなかったはずです。総理の英語力やカンペを批判していただけであり、要するに安倍首相を批判できれば理由は何でも良いという姿勢がうかがい知れます。

 

 朝日新聞などが問題視しているシーンは所信表明演説の終盤部分。「六 地球儀を俯瞰する外交」という項目の最後です。

 我が国の領土、領海、領空は、断固として守り抜く。強い決意を持って守り抜くことを、お誓い申し上げます。

 現場では、夜を徹して、そして、今この瞬間も、海上保安庁、警察、自衛隊の諸君が、任務に当たっています。極度の緊張感に耐えながら、強い責任感と誇りを持って、任務を全うする。その彼らに対し、今この場所から、心からの敬意を表そうではありませんか。

 この演説の後、自民党議員からスタンディングオベーションが起き、安倍首相も拍手。大島衆院議長が「ご着席ください」と促す事態となりました。

 民進党議員は「やらせ」などと批判していますが、“やらせ” であるなら、「アベノミスクを加速させる」と主張した前半部分でスタンディングオベーションが起きていたことでしょう。言いがかりには無理があることです。

 

 そもそも、民進党議員や現在の野党議員は今国会で起きたスタンディングオベーションを批判できる立場にありません。彼らは第173回国会における鳩山由紀夫首相(当時)が行った所信表明演説での出来事を忘れているからです。

 2009年(平成21年)10月26日に行われた所信表明演説で鳩山首相に対するスタンディングオベーションを民進党議員が行っているのです。国家首脳に対して称賛を行っていたのは当時の民主党議員であり、現在の民進党議員だったのです。

 自民党議員が領土や領海、領空の警備に当たっている実務者に対し、スタンディングオベーションで称えたことを批判することは民主主義国家ですから権利として保証されています。

 野党議員や自民党を批判するマスコミは領土・領海・領空を24時間365日守っている人々に対する立場を明確にすべきでしょう。自分たちの立場を明かさず、称賛した行為を批判するだけでは議員やマスコミとして不適格です。

 「彼らの任務に敬意は払うが、スタンディングオベーションという行為には問題がある」と主張するのであれば、自分たちはこのような方法で敬意を示しているという事実を発信しなければなりません。

 

 批判ができれば、過去の発言内容と矛盾していても問題ないというスタンスは泡沫政党がやることです。少なくとも、野党第1党や政権を担った経験を持つ政党のやることではありません。

 ダメな野党を “不偏不党” を掲げているメディアが庇うほど、支持率は落ちていくのです。“不偏不党” と主張するのであれば、与野党を問わず同じ基準で称賛・批判をしなければなりません。反撃をしてくる可能性が低い政府や自民党に対する批判をするだけでは『野党の機関紙』と同じでしょう。

 お気楽な政府批判ができるのも、自衛隊・海上保安庁・警察などが安全を担保している社会の上に成り立っているという現実をもう少し自覚する必要があるのではないでしょうか。