TPP反対を訴えた民進党は「14兆円の損失分をカバーする経済政策」を即座に提示せよ

 国会で安倍首相による指針方針演説が行われ、参院では蓮舫・民進党代表による代表質問が行われました。

 ですが、その中で墓穴を掘ったと言えるでしょう。なぜなら、民進党はTPPに反対していましたが、TPPが発効されないとGDPが14兆円分下がることを認めてしまったからです。

 

 TPPについては、「アメリカが離脱を表明し発効の見通しがほぼなくなったTPPに代わり、GDPを14兆円押し上げる政策は何なのかを総理は語らなかったが、他のどの政策で補うのか」とただした。

 

 自民・公明の与党はTPPに賛成の立場を示し、民進党など野党はTPPに反対でした。

 ですが、アメリカのトランプ大統領がTPPを批准しないと明らかになると、「政府与党はTPP発効で見込んでいたGDP14兆円分をどう補うのか」との批判を開始したのです。この主張は墓穴を掘ったことと同じです。

 

 「TPPが発効しないことで日本のGDPは14兆円のマイナスが生じる」と蓮舫氏が代表質問で認めています。

 では、民進党など野党はGDPを14兆円も押し下げることになる “TPP反対” を主張していたのでしょうか。この点に対する説明責任がTPPに反対した野党にはあります。

 当然、野党はTPPが発効しない前提での経済政策を持っているはずです。現状は野党が求めていた “TPPが批准されない経済環境” であり、自分たちが用意しているはずのTPP発効を上回る効果をもたらす経済政策を有権者に提示するには千載一遇のチャンスが訪れています。

 なぜ、民進党など野党が持っているはずの経済政策を有権者に向けてアピールしないのでしょうか。

 日本経済の足を引っ張るだけなら、具体的な経済政策を持っている必要はありません。なぜなら、TPP発効を妨害して14兆円分のGDPを引き下げに奔走し、TPPを潰した上で意味のないバラマキを実行すれば経済を簡単に疲弊させることができるからです。

 

 民進党は教育予算増額を主張していますが、教育にどれだけ資金をつぎ込んだところで、就職先が存在しなければ意味のないことです。

 “就職氷河期” を経験した世代は民進党にはいないのでしょうか。

 どれだけ大学で質の高い教育を受けたところで、企業が雇用しなければ “教育への投資” は意味を持ちません。大学全入時代に大学無償化を進めたことでの恩恵を最も享受することになるのは雇用が確保されることになる大学関係者に限定されるでしょう。

 文科省からの官僚が一流私立大学に天下りを行っていたことが明るみに出たことからも、大学教授のレベル自体が問題視される状況なのです。民進党の方針こそ、現状では最低ランクの無駄遣いと批判されるべき内容なのです。

 

 民進党は自民党が行っていたTPP交渉には「アメリカの貿易ルールを押し付けられる」などと批判し、断固反対の姿勢を打ち出してきました。

 ところが、TPPの発効が現実的に潰えると「国内GDPの損失見込みである14兆円分をどう穴埋めするのか」と無責任に批判しているのです。自分たちが打ち出した政治姿勢でGDPが14兆円のマイナスになることを理解できていなかったのでしょう。

 このように政治的主張に一貫性がなく、状況が変わると損失分を声高に叫び、相手を批判する政党を支持することはリスクが高すぎます。

 まともな野党勢力であれば、「TPPに反対する。GDPは14兆円のマイナスとなる見込みが、我々の対案である〇〇を実行することで、GDPはーー兆円分のプラスが期待できる」と主張しなければならないのです。

 

 現状の野党勢力は単に与党(自民党・公明党)の政治方針を否定すれば、何でも良いという無責任なものです。これでは有権者からの支持を得ることは難しいと言えるでしょう。

 少なくとも、一貫性のある政策方針を持たなければなりません。TPPに反対し、14兆円の損失を日本に与えようと動いたことに対するマイナス部分をどういった政策でカバーする考えだったのかを有権者に説明する必要があるのではないでしょうか。