スターバックスは難民を雇用するより税金を払う方が先だ

 トランプ大統領が難民らがアメリカに入国することを制限する大統領令を出したことに対抗し、スターバックスが1万人の難民を雇用する計画があることを発表したと朝日新聞が報じています。

 ただ、これは反発を招くことになるでしょう。なぜなら、スターバックスは税制を悪用していたことを違法認定された経歴があるからです。国に納めるべき税金を支払わず、難民支援を求める政治姿勢は敵を作ることになると思われます。

 

 米コーヒーチェーン大手のスターバックスのハワード・シュルツ最高経営責任者(CEO)は29日、トランプ大統領が出した難民らの入国を制限する大統領令を受け、世界中で今後5年間に1万人の難民を雇用する計画を策定中だと明らかにした。

 

 「難民に雇用を与える」という姿勢は評価されるべきものです。

 しかし、企業として果たすべき前提条件があることをリベラル思想を持つ経営者は見落としているようです。まず、どれだけ難民の雇用者が増えようと、既存従業員の雇用体系は維持されることです。

 「難民出身者の方が賃金が安く済むから」という理由では中間層を切り捨てていることと同じです。「中間層が1人没落すれば、最貧国の人が10人救われる」という理由を掲げたところで、先進国や途上国では相手にされないことを理解しなければなりません。

 

 次に、進出国で定められた税金をきちんと納税することです。

 ところが、スターバックスは多国籍企業であることを悪用し、租税回避を行い、欧州委員会から違法認定を受けたことを日経新聞に報じられています。

画像:日経新聞が報じた違法節税スキーム

 

 欧州委の公表によると、米スターバックスはオランダの製造子会社が税負担を低く抑える違法な優遇措置を受けていた。具体的には、英国のグループ企業へ多額の技術料を支払うなどして、オランダでの法人税の納税額を少なく済ませる課税手法を認めていたという。

 “ズル” をして、課税額を誤魔化した企業が「人道支援で難民を保護しよう」と呼びかけているのです。難民支援に必要となる税金の支払いを拒否しておきながら、政府に対しては人道的見地から予算(=税金)を惜しみなく費やすべきだと要求しているのです。

 この手法は典型的なフリーライダーのやり方と言えるでしょう。スターバックスが従業員に十分な給与を支払い、進出国での経済活動に応じた法人税を当該国に支払っていれば問題ではありません。

 しかし、やるべきことすらしていない企業が求める活動に共感する人は少ないと言えるでしょう。

 

 「外国からの不法移民や偽装難民より、自国民を大事にすべき」と考える人々がトランプ大統領を生み出す大きな源泉になったのです。

 この現実から目を背け、“人道支援” というキレイゴトを押し出したところで反発は強くなるばかりです。自国民の生活を切り捨ててまで外国人を優遇する政権が突き上げを受けるのは当然です。

 スターバックスがやっていることは自国民の中間層に対する挑発行為と同じなのです。一方的な配慮を強制されたマジョリティーの怒りが爆発した時は手遅れになるという現実から目を背けず、具体的な対応策を講じる必要があるのではないでしょうか。