フランス大統領選、メディアが本命視する2候補にスキャンダルが浮上

 今年行われるフランス大統領選挙では “極右” とマスコミから報じられる国民戦線のマリーヌ・ルペン氏と決選投票を争う候補者が次期大統領と目されています。

 ところが、その次期大統領の本命候補と目される人物にスキャンダルが次々に浮上しているとロイター通信が報じています。

 

 仏大統領選は7日、主要候補者にさらなるスキャンダルが浮上、結果を巡る不透明感の高まりから、仏独国債の利回り格差は約4年ぶりの水準に拡大した。

 妻の不正給与支給疑惑で支持率が低迷している中道・右派統一候補のフィヨン元首相に続き、中道・無党派のエマニュエル・マクロン前経済相には同性愛者との不倫疑惑が浮上した。

 

 当初、決選投票で争うことになる2名はマリーヌ・ルペン氏(国民戦線)とフランソワ・フィヨン氏(中道・右派:共和党)と目されていました。

 しかし、フィヨン氏が「勤務実態のない妻に秘書として給与を支払った」との疑惑で支持率が低下。それにより、エマニュエル・マクロン氏(中道:無党派)の支持率が上昇し、決選投票でルペン氏を下すという可能性が高まっていた中で今回の不倫スキャンダルが報じられたのです。

 

 マクロン氏は1977年12月生まれの39歳。オランド政権で閣僚を務めた人物だったのですが、今回の大統領選に出馬するため、辞職したという経歴を持っています。

 プライベートでは2007年に24歳年上のブリジット・トロニュー(Brigitte Trogneux)さんと結婚。そのため、「既婚者が同性愛者との不倫関係にある」との疑惑が報じられることになったのです。

画像:マクロン氏の不倫相手と報じられたマチュー・ガレ氏(写真:右)

 ちなみに、マクロン氏の “お相手” として報じられたのはフランス・ラジオで社長を務めるマチュー・ガレ(Mathieu Gallet)氏です。

 マクロン氏は疑惑を即座に否定していますので、「続報」が出ない限りはダメージは限定的でしょう。ただ、「不倫関係」と「同性愛」という対応を誤るとイメージに悪影響が出る分野であり、発言自体に注意する必要があると言えるでしょう。

 

 フランス大統領選挙で最大の注目点は「世論調査の正確性」になると思われます。

 アメリカ大統領選ではメディアが競ってヒラリー・クリントン(民主党)に肩入れし、「クリントン勝利」でストーリーを作る有様でした。選挙結果を受けたマスコミは “隠れトランプ支持者” に焦点を当てたのですが、“隠れルペン支持者” の存在をどれだけ加味しているのかを注意する必要はあるでしょう。

 決選投票に進んだ場合、マリーヌ・ルペン氏の得票率は対立候補に関係なく 30% 台の数字が出ています。この調査が正確に民意を把握できているかには注視しなければなりません。

 なぜなら、差別主義者のレッテルを貼られるリスクを冷静に分析する有権者ほどマスコミの調査に本音を語らないことは十分に想定できることだからです。

 

 マスコミが本命に推す候補がダメージコントロールに失敗するようなことがあると、ルペン大統領の誕生も現実的に起こり得る可能性が高まると言えるでしょう。まずは決選投票でルペン氏と争うことになる候補は誰になるのかに注目する必要がありそうです。