PM2.5 が問題となっている時代に “分煙” は意味がない

 読売新聞によりますと、厚労省が受動喫煙対策に対し、小規模店舗でも禁煙とする方向で最終調整に入ったとのことです。

 小規模店舗では例外的に喫煙を認めるよう働きかけがありましたが、家族連れが利用する飲食店は規模にかかわらず禁煙になることが濃厚と言えるでしょう。ただ、PM2.5 が大きな環境問題になっていることを考えると、この判断は妥当なものと考えられます。

 

 厚生労働省は非喫煙者がたばこの煙を吸い込む「受動喫煙」対策に関し、すべての居酒屋や焼き鳥屋は建物内を禁煙とする方向で最終調整に入った。

 家族連れや外国人客の利用に配慮し、小規模店舗の例外を認めない方針だ。

 

 喫煙で問題となるのは副流煙です。喫煙者ですら嫌うのですから、禁煙者が拒否感を示すことは当然と言えるでしょう。

 “喫煙の自由” を訴えることは可能ですが、健康に悪影響を及ぼすことが明らかであることに加え、“喫煙による損害を受けない権利” を侵害している状況では分が悪くなって当然です。

 また、環境問題の代名詞となっている PM2.5 の数値が「屋内での喫煙」が理由で著しく悪化するという指摘を否定できなければ、風当たりは強くなる一方です。

 

 日本禁煙学会が発表したファクトシート(PDF)に掲載されている店舗内での PM2.5 の数値は以下のとおりです。

表1:PM2.5 の数値(単位:μg / ㎥)
条件・場所数値
完全禁煙・コーヒー店 8
非喫煙家庭 17.8
日本の屋外平均(郊外) 20
完全分煙・FF店(禁煙席) 32
喫煙家庭 46.5
自由喫煙・パチンコ店 148
完全分煙・FF店(喫煙席) 256
非完全分煙・居酒屋(禁煙席) 336
非完全分煙・居酒屋(喫煙席) 496
自由喫煙・居酒屋 568
タクシー・喫煙者1人 1000

 中国で PM2.5 の数値が『緊急事態』として大騒ぎになったときの値が "390" でした。分煙が完璧に行われていない居酒屋と同じぐらいの数値なのです。

 100 を超えると問題視される PM2.5 の値が 300 に到達していること自体が問題なのですが、日本国内でも喫煙が可能な屋内店舗でそれを超える数値が記録されていることは驚きと言えるでしょう。

 

 北京が PM2.5 の影響で視界ゼロになったニュース映像はインパクトの強いものでしたが、健康被害を引き起こすリスクはそれ以上の店舗で家族連れや来日中の外国人観光客に飲食を強いることは酷なことです。

 「問題ない」と主張するのであれば、科学的根拠に基づくデータで反論すべきでしょう。小規模店舗だから例外適用を申請することは論外と言えるのではないでしょうか。