平成29年春場所は “新横綱・稀勢の里” の成績に注目

 3月12日から大相撲・春場所が大阪で開催されます。最大の注目は「横綱・稀勢の里の成績」と言えるでしょう。

 大関・栃東(現・玉ノ井親方)が横綱昇進を見送られた成績で横綱となっただけに今場所での成績次第で風当たりが大きく変化することが考えられるからです。

 

表1:平成29年(2017年)春場所の番付
番付西
白鵬
(32, 宮城野部屋)
横綱 鶴竜
(31, 井筒部屋)
日馬富士
(32, 伊勢ヶ濱部屋)
稀勢の里
(30, 田子ノ浦部屋)
豪栄道
(30, 境川部屋)
大関 照ノ富士
(25, 伊勢ヶ濱部屋)
玉鷲
(32, 片男波部屋)
関脇 高安
(27, 田子ノ浦部屋)
琴奨菊
(33, 佐渡ヶ嶽部屋)
御嶽海
(24, 出羽海部屋)
小結 正代
(25, 時津風部屋)
豪風
(37, 尾車部屋)
前頭筆頭
(30, 伊勢ノ海部屋)
蒼国来
(33, 荒汐部屋)
前頭二 貴ノ岩
(27, 貴乃花部屋)

 

 とは言え、横綱・稀勢の里が優勝すれば、何の問題もありません。「先場所での昇進は早かったのでは?」という懐疑的な声は「新横綱として、優勝したのは立派」という意見にかき消されることになるからです。

 『横綱の地位にふさわしい力士』であることを確立させるためには「千秋楽まで優勝争いの最前線にいる」、もしくは「星1つの差で追いかける」ことが求められていると言えるでしょう。

 

 春場所の注目点として、「土壇場に追い込まれた力士の奮闘」もあげることができます。

 大関・照ノ富士はカド番、琴奨菊は関脇に陥落した直後の場所と正念場を迎えています。先場所は両力士ともに負星の数が2桁に達しており、どれだけ巻き返すことができるかが鍵になります。

 ただ、先場所は途中休場した横綱・大関陣が出場することが確実であり、星を潰し合う展開になることも予想されます。番付下位にいる力士との取り組みで取りこぼしをゼロにした状況にすることが窮地を脱するための絶対条件となるはずです。

 

 「大関の世代交代」が現実味を帯び始めていますが、新大関が誕生するのは来場所以降となるでしょう。なぜなら、関脇の地位にある力士の成績が大関昇進には少し厳しいものだからです。

  • 玉鷲:10勝+10勝+9勝
  • 高安:10勝+7勝+11勝
  • 御嶽海:10勝+6勝+11勝
  • 正代:7勝+11勝+7勝

 大関昇進の目安が「直近3場所で33勝」ですので、「今場所を足がかりとし、5月場所で大関昇進を掴むことができるか」が現実的なシナリオと言えるでしょう。

 そのためには番付上位にいる横綱・大関陣から勝ち星をどれだけ得られるかが大きく影響します。特に、苦手意識の強い力士との取り組み内容で改善が見られた力士ほど飛躍する可能性が高くなると思われます。

 

 20代後半で脂の乗り切った世代に差し掛かった力士が主役に躍り出るのか。それとも、選手寿命が伸びた30代の力士が引き続き主役の座に君臨し続けるのか。春場所に注目です。